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愛してる
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いつもと違う悲しげに揺れる豹の黒い瞳を真っ直ぐに見つめる私…なのに何処か切なくて苦しい…これは夢?いや、未来なのかな?どっちか分からない感覚を他所に目の前の私は何か言っている…それは…
「んっ…豹…?」
気づいた時にはそれが夢なのか未来なのかという事よりもいつの間に自室のベッドの上にいるという事よりも、目の前で真っ直ぐに鋭い瞳で見つめている豹の姿に惹き付けられた。
冷たい…悲しい…苦しい…
そんな表情をする豹に私は何も出来なかった。否、出来るはずもない。喉元に鋭く光る細い刃物が向けられていたのだから…
「な…んで……?」
何で?どうして?そんな疑問の言葉しか出なかった。
「これが俺とお前の宿命だ」
こんなに冷たく悲しい目をする豹を私は知らない…そう、何も私は豹の事を知らない。じゃあ、これが本当の豹なの?今までのは全て嘘だったの?
「私に…キスしたのも嘘だったの…?」
「っ……」
声に出すつもりはなかった。ただ心の中で出す声がいつの間にか言葉として声に出ていた。
豹の冷たく見つめる瞳が微かに揺れるとその瞬間、蓮さんと隆二さんの叫び声が響いた。
ドンッ!!!
「せな…っ!!!」
「豹!お前何してんだっ!?」
突然の事に戸惑い豹はあっという間に蓮さんと隆二さんによって引き剥がされ拘束され刃物が床に落ちる音がした。
「あ……」
普通ならここで怖がるなり震えるなりするんだと思う。でも、不思議と恐怖感など湧かなかった。だって、何よりも豹が悲しそうだったから……
「せな、来るなっ!」
「せなっ!!」
必死に止める蓮さんと隆二さんの声が響くけど私は足を止めなかった。ベッドから起き上がり入口近くで拘束されている豹に近づき目を合わせる。
「豹……」
「来るなっ!!」
「っ…」
鋭く突き刺すような瞳が真っ直ぐに見つめ返され拒絶する言葉が返された。でも、それは本気で嫌で拒絶する言葉ではなく私の為に言っている様にも感じられた。何故ならそう叫ぶ豹の表情には辛そうに見えたから。
本当は…?本当の豹の気持ちは…?私はこれが本当の豹だって信じない。だって、あの時言ったんだもん!豹を信じるって…!
「……私まだ貰ってない」
「え……っ…」
豹の言葉を塞ぐようにそっと触れた唇は初めてのキスより熱く感じた。
「…私が一番欲しい物あげるって言ったでしょ?…嘘つき」
「っ…俺は…」
「私はっ!私は豹を信じるから…っ!!どんなに拒絶されても邪険にされても離されてもいい!豹が私の事嫌いでもいい!それでも私は豹の傍に居たいのっ!それくらいもう…豹のこと……」
不意に頬をつたる涙が零れながら私は無我夢中で叫んだ。それくらいもう豹のことを……
「……愛してる」
「っ………」
豹の頬にそっと手を伸ばし触れると涙と一緒に笑みが零れた。
私は…豹を愛してる…だから何があっても私は豹を信じる。そう決めたから…
豹の瞳が大きく揺れ一瞬驚いた表情が見え直ぐに苦しげな顔で私を見返すと重苦しく口を開いた。
「……俺は…」
バァンッッ!!!
「きゃっ!?」
突然窓ガラスが割れ黒い服を着た男達が五人程入って来た。
「しくじったな、豹」
「くっ…お前ら…」
…え?豹の知り合い?
突然の事に何が何だか分からず私を含め蓮さんと隆二さんも固まっていた。
「この後、自分がどうなるかぐらい自分で分かるよな?」
「ああ、分かってる」
豹は苦虫を噛み潰したように顔を拒めると諦めたようにゆっくりと頷いた。
「蓮さん、隆二さん……すみません」
「くっ…」
「なっ…!?」
豹は一瞬にして拘束していた蓮さんと隆二さんの腕を振りほどくとあっという間に黒い服の人達の元へと立っていた。
「せな……俺はお前が嫌いだ。だからもう……好きになるな」
背後にある窓越しに輝く満月が豹を包むように照らし艶やかな茶髪が儚く揺れると冷たく突き放すような言葉だけが嫌になるくらい耳に響いた。
「…っ……あ…」
何も言えなかった…黒い服の人達と共に一瞬にしてその場から消えた豹に私は何も出来なかった…
「せな…?」
隆二さんの問いかける声に何も答えることなく、私はただ頬を伝う涙が冷たくて…最後に残った豹の言葉が胸を締め付けた。
「んっ…豹…?」
気づいた時にはそれが夢なのか未来なのかという事よりもいつの間に自室のベッドの上にいるという事よりも、目の前で真っ直ぐに鋭い瞳で見つめている豹の姿に惹き付けられた。
冷たい…悲しい…苦しい…
そんな表情をする豹に私は何も出来なかった。否、出来るはずもない。喉元に鋭く光る細い刃物が向けられていたのだから…
「な…んで……?」
何で?どうして?そんな疑問の言葉しか出なかった。
「これが俺とお前の宿命だ」
こんなに冷たく悲しい目をする豹を私は知らない…そう、何も私は豹の事を知らない。じゃあ、これが本当の豹なの?今までのは全て嘘だったの?
「私に…キスしたのも嘘だったの…?」
「っ……」
声に出すつもりはなかった。ただ心の中で出す声がいつの間にか言葉として声に出ていた。
豹の冷たく見つめる瞳が微かに揺れるとその瞬間、蓮さんと隆二さんの叫び声が響いた。
ドンッ!!!
「せな…っ!!!」
「豹!お前何してんだっ!?」
突然の事に戸惑い豹はあっという間に蓮さんと隆二さんによって引き剥がされ拘束され刃物が床に落ちる音がした。
「あ……」
普通ならここで怖がるなり震えるなりするんだと思う。でも、不思議と恐怖感など湧かなかった。だって、何よりも豹が悲しそうだったから……
「せな、来るなっ!」
「せなっ!!」
必死に止める蓮さんと隆二さんの声が響くけど私は足を止めなかった。ベッドから起き上がり入口近くで拘束されている豹に近づき目を合わせる。
「豹……」
「来るなっ!!」
「っ…」
鋭く突き刺すような瞳が真っ直ぐに見つめ返され拒絶する言葉が返された。でも、それは本気で嫌で拒絶する言葉ではなく私の為に言っている様にも感じられた。何故ならそう叫ぶ豹の表情には辛そうに見えたから。
本当は…?本当の豹の気持ちは…?私はこれが本当の豹だって信じない。だって、あの時言ったんだもん!豹を信じるって…!
「……私まだ貰ってない」
「え……っ…」
豹の言葉を塞ぐようにそっと触れた唇は初めてのキスより熱く感じた。
「…私が一番欲しい物あげるって言ったでしょ?…嘘つき」
「っ…俺は…」
「私はっ!私は豹を信じるから…っ!!どんなに拒絶されても邪険にされても離されてもいい!豹が私の事嫌いでもいい!それでも私は豹の傍に居たいのっ!それくらいもう…豹のこと……」
不意に頬をつたる涙が零れながら私は無我夢中で叫んだ。それくらいもう豹のことを……
「……愛してる」
「っ………」
豹の頬にそっと手を伸ばし触れると涙と一緒に笑みが零れた。
私は…豹を愛してる…だから何があっても私は豹を信じる。そう決めたから…
豹の瞳が大きく揺れ一瞬驚いた表情が見え直ぐに苦しげな顔で私を見返すと重苦しく口を開いた。
「……俺は…」
バァンッッ!!!
「きゃっ!?」
突然窓ガラスが割れ黒い服を着た男達が五人程入って来た。
「しくじったな、豹」
「くっ…お前ら…」
…え?豹の知り合い?
突然の事に何が何だか分からず私を含め蓮さんと隆二さんも固まっていた。
「この後、自分がどうなるかぐらい自分で分かるよな?」
「ああ、分かってる」
豹は苦虫を噛み潰したように顔を拒めると諦めたようにゆっくりと頷いた。
「蓮さん、隆二さん……すみません」
「くっ…」
「なっ…!?」
豹は一瞬にして拘束していた蓮さんと隆二さんの腕を振りほどくとあっという間に黒い服の人達の元へと立っていた。
「せな……俺はお前が嫌いだ。だからもう……好きになるな」
背後にある窓越しに輝く満月が豹を包むように照らし艶やかな茶髪が儚く揺れると冷たく突き放すような言葉だけが嫌になるくらい耳に響いた。
「…っ……あ…」
何も言えなかった…黒い服の人達と共に一瞬にしてその場から消えた豹に私は何も出来なかった…
「せな…?」
隆二さんの問いかける声に何も答えることなく、私はただ頬を伝う涙が冷たくて…最後に残った豹の言葉が胸を締め付けた。
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