107 / 108
壊れた日常
しおりを挟む
いつも傍にいた人がある日突然消えた…彼がいなかった日常に戻っただけなのに何でかな?胸にぽっかり穴が空いたみたいに苦しい…
「…な……」
「……」
「…せなってば!聞いてるの!?」
「…え?何か言った?」
見上げると慌てふためく理沙の姿があり首を傾げる。
「ちょっ、そんなボケ今はいらないから早く前向いて!当てられてるんだってばっ!」
理沙の言葉通り前を向くと教卓の上で怒り顔の先生が仁王立ちで眉毛をピクピクさせていた。
「ええっと…い、今行きますっ!」
何も書かれていない数学のノートを手に取り慌てて黒板の前へと駆け出した。
何も書いてないけど書いてますよ~的なノリで誤魔化せば大丈夫大丈夫!
目の前の数式に解いてますよ~ノートを先生に見えないように見比べながら書き記していく。
こんな問題、豹なら私より先に解いちゃうんだろうな…もっと難しい数式とか使ってほんとあっという間に……
「美嶋…?どうかしたのか?具合でも…」
「な、何でもないですっ!ほんと…大丈夫ですから…っ」
「あ、ああ……」
先生の心配する声にふと自分が涙を流している事に気付き慌てて袖で涙を拭うと何でもないように笑みを向けた。
「それより、先生解き終わりましたので戻ってもいいですか?」
「ん?あ…あぁ!?何だこれは!?」
「へ?」
先生のあまりの驚きように黒板に目を向けると何故か問題の答えと共に次の問題まで書き解いていた。
「す、すみませんっ!!!」
うわぁ…やっちゃった…
自分でも思いもよらない失態に恥ずかしさのあまり真っ赤になりながら頭を下げ謝ると苦笑いする先生の声が返ってきた。
「あははは…まぁ、次の問題を書くのが省いて助かったと受け取っておくよ」
「す、すみません…」
*
「星那、今日何かおかしいよね…?」
「え?そんな事ないよ?」
暖かな日差しの中で屋上にて皆でお昼ご飯を食べていると突然理沙が不思議そうに問いかけてきた。
「えー、でも授業中もどっか上の空で数学の時なんか書いてる時急に涙なんか流してたし…何かあるよね?絶対」
「うっ…な、何にもないってば!!」
鋭い理沙の追求に怯みそうになりながらも必死で否定していると唐突にひのちゃんが口を開いた。
「もしかして…昨日、豹先輩と何かありました?」
「っ…」
ひのちゃんの問いかけに昨日の出来事が脳内を過ぎり胸を締め付けられた。
「え…星那?本当に宮端くんと何かあったの…?」
「もしかして、まだプレゼント貰ってないとかか?」
俯く私の姿に理沙とまひるが問いかけるが私はその言葉が胸に刺さる。
「…わ……で…っ」
「星那…?」
「星那先輩…?」
「豹の事それ以上言わないで…っ!聞きたくないの……何も聞きたくないの」
授業中は直ぐに止んだのに豹の話を切り出されたせいか次々と零れる涙に何もかもが嫌になった。
「星那先輩、何か…」
「分かった、言わない!もう言わないし聞いたりしないからとりあえず…星那おいで?」
理沙は両手を広げるといつもと変わらない笑みを向けた。
「理沙……っ!!」
理沙のその笑顔が今の私にはとても安心して勢いよく飛びつくと止まらない涙が益々溢れ出し子供のように泣きじゃくった。その間、理沙はずっと子供を宥めるように優しい手つきで私の背中を撫でてくれたのだった…
*
どんな事があっても店は開けると言う蓮さんのポリシーと共に私もどんな事があってもホストとして店に出る事をやめなかった。
「せなくん、ほら苺タルトあるよ~!食べないの~?」
「……食べさせて」
「っ…もうっ!仕方ないな~ど~ぞ!…美味しい?」
「…別に」
「あんっ!いつもより冷たいせなくんも素敵~!!」
お客様がいつもと違う星那の塩対応に悶絶している頃、その様子を見ていた明が蓮さんに問いかけた。
「あの、蓮さん。せなの奴いつもと何か違いませんか?何か接客対応が豹に似て冷てぇというか…それに、肝心の豹は休みだし…何かあったんすか?」
「さぁ…」
「ちょっ、それ答えになってないっすよ!蓮さん」
「うるせぇ!お前は接客に集中しろ。またお客様にお世話されても知らないからな!」
「ぐっ…が、頑張ります」
蓮の見事な指摘に何も言えなくなり口黙ると目の前のお客様に集中したのだった。
一方、明に問いかけられた蓮は星那のいつもと違う様子に頭を悩ませていた。
あいつは…せなは豹が好きなんだよな……
昨晩、星那が告白した事に暗い影が胸中に落ち目を逸らしたくなる程辛かったが翌朝今にも消えそうな星那の様子に一番辛いのは星那なんだと思った。それは同じ気持ちだったはずの隆二も同じで自分の気持ちより今は星那の気持ちを何よりも目を向けなければならないのだと…
「豹……あいつ何であんな真似をしたんだよ…っ」
今何処で何をしているのか?星那を含め一緒に暮らしていた俺達は何も知らないのだとこの時初めて気づいたのだった…
「…な……」
「……」
「…せなってば!聞いてるの!?」
「…え?何か言った?」
見上げると慌てふためく理沙の姿があり首を傾げる。
「ちょっ、そんなボケ今はいらないから早く前向いて!当てられてるんだってばっ!」
理沙の言葉通り前を向くと教卓の上で怒り顔の先生が仁王立ちで眉毛をピクピクさせていた。
「ええっと…い、今行きますっ!」
何も書かれていない数学のノートを手に取り慌てて黒板の前へと駆け出した。
何も書いてないけど書いてますよ~的なノリで誤魔化せば大丈夫大丈夫!
目の前の数式に解いてますよ~ノートを先生に見えないように見比べながら書き記していく。
こんな問題、豹なら私より先に解いちゃうんだろうな…もっと難しい数式とか使ってほんとあっという間に……
「美嶋…?どうかしたのか?具合でも…」
「な、何でもないですっ!ほんと…大丈夫ですから…っ」
「あ、ああ……」
先生の心配する声にふと自分が涙を流している事に気付き慌てて袖で涙を拭うと何でもないように笑みを向けた。
「それより、先生解き終わりましたので戻ってもいいですか?」
「ん?あ…あぁ!?何だこれは!?」
「へ?」
先生のあまりの驚きように黒板に目を向けると何故か問題の答えと共に次の問題まで書き解いていた。
「す、すみませんっ!!!」
うわぁ…やっちゃった…
自分でも思いもよらない失態に恥ずかしさのあまり真っ赤になりながら頭を下げ謝ると苦笑いする先生の声が返ってきた。
「あははは…まぁ、次の問題を書くのが省いて助かったと受け取っておくよ」
「す、すみません…」
*
「星那、今日何かおかしいよね…?」
「え?そんな事ないよ?」
暖かな日差しの中で屋上にて皆でお昼ご飯を食べていると突然理沙が不思議そうに問いかけてきた。
「えー、でも授業中もどっか上の空で数学の時なんか書いてる時急に涙なんか流してたし…何かあるよね?絶対」
「うっ…な、何にもないってば!!」
鋭い理沙の追求に怯みそうになりながらも必死で否定していると唐突にひのちゃんが口を開いた。
「もしかして…昨日、豹先輩と何かありました?」
「っ…」
ひのちゃんの問いかけに昨日の出来事が脳内を過ぎり胸を締め付けられた。
「え…星那?本当に宮端くんと何かあったの…?」
「もしかして、まだプレゼント貰ってないとかか?」
俯く私の姿に理沙とまひるが問いかけるが私はその言葉が胸に刺さる。
「…わ……で…っ」
「星那…?」
「星那先輩…?」
「豹の事それ以上言わないで…っ!聞きたくないの……何も聞きたくないの」
授業中は直ぐに止んだのに豹の話を切り出されたせいか次々と零れる涙に何もかもが嫌になった。
「星那先輩、何か…」
「分かった、言わない!もう言わないし聞いたりしないからとりあえず…星那おいで?」
理沙は両手を広げるといつもと変わらない笑みを向けた。
「理沙……っ!!」
理沙のその笑顔が今の私にはとても安心して勢いよく飛びつくと止まらない涙が益々溢れ出し子供のように泣きじゃくった。その間、理沙はずっと子供を宥めるように優しい手つきで私の背中を撫でてくれたのだった…
*
どんな事があっても店は開けると言う蓮さんのポリシーと共に私もどんな事があってもホストとして店に出る事をやめなかった。
「せなくん、ほら苺タルトあるよ~!食べないの~?」
「……食べさせて」
「っ…もうっ!仕方ないな~ど~ぞ!…美味しい?」
「…別に」
「あんっ!いつもより冷たいせなくんも素敵~!!」
お客様がいつもと違う星那の塩対応に悶絶している頃、その様子を見ていた明が蓮さんに問いかけた。
「あの、蓮さん。せなの奴いつもと何か違いませんか?何か接客対応が豹に似て冷てぇというか…それに、肝心の豹は休みだし…何かあったんすか?」
「さぁ…」
「ちょっ、それ答えになってないっすよ!蓮さん」
「うるせぇ!お前は接客に集中しろ。またお客様にお世話されても知らないからな!」
「ぐっ…が、頑張ります」
蓮の見事な指摘に何も言えなくなり口黙ると目の前のお客様に集中したのだった。
一方、明に問いかけられた蓮は星那のいつもと違う様子に頭を悩ませていた。
あいつは…せなは豹が好きなんだよな……
昨晩、星那が告白した事に暗い影が胸中に落ち目を逸らしたくなる程辛かったが翌朝今にも消えそうな星那の様子に一番辛いのは星那なんだと思った。それは同じ気持ちだったはずの隆二も同じで自分の気持ちより今は星那の気持ちを何よりも目を向けなければならないのだと…
「豹……あいつ何であんな真似をしたんだよ…っ」
今何処で何をしているのか?星那を含め一緒に暮らしていた俺達は何も知らないのだとこの時初めて気づいたのだった…
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる