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壊れた日常
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いつも傍にいた人がある日突然消えた…彼がいなかった日常に戻っただけなのに何でかな?胸にぽっかり穴が空いたみたいに苦しい…
「…な……」
「……」
「…せなってば!聞いてるの!?」
「…え?何か言った?」
見上げると慌てふためく理沙の姿があり首を傾げる。
「ちょっ、そんなボケ今はいらないから早く前向いて!当てられてるんだってばっ!」
理沙の言葉通り前を向くと教卓の上で怒り顔の先生が仁王立ちで眉毛をピクピクさせていた。
「ええっと…い、今行きますっ!」
何も書かれていない数学のノートを手に取り慌てて黒板の前へと駆け出した。
何も書いてないけど書いてますよ~的なノリで誤魔化せば大丈夫大丈夫!
目の前の数式に解いてますよ~ノートを先生に見えないように見比べながら書き記していく。
こんな問題、豹なら私より先に解いちゃうんだろうな…もっと難しい数式とか使ってほんとあっという間に……
「美嶋…?どうかしたのか?具合でも…」
「な、何でもないですっ!ほんと…大丈夫ですから…っ」
「あ、ああ……」
先生の心配する声にふと自分が涙を流している事に気付き慌てて袖で涙を拭うと何でもないように笑みを向けた。
「それより、先生解き終わりましたので戻ってもいいですか?」
「ん?あ…あぁ!?何だこれは!?」
「へ?」
先生のあまりの驚きように黒板に目を向けると何故か問題の答えと共に次の問題まで書き解いていた。
「す、すみませんっ!!!」
うわぁ…やっちゃった…
自分でも思いもよらない失態に恥ずかしさのあまり真っ赤になりながら頭を下げ謝ると苦笑いする先生の声が返ってきた。
「あははは…まぁ、次の問題を書くのが省いて助かったと受け取っておくよ」
「す、すみません…」
*
「星那、今日何かおかしいよね…?」
「え?そんな事ないよ?」
暖かな日差しの中で屋上にて皆でお昼ご飯を食べていると突然理沙が不思議そうに問いかけてきた。
「えー、でも授業中もどっか上の空で数学の時なんか書いてる時急に涙なんか流してたし…何かあるよね?絶対」
「うっ…な、何にもないってば!!」
鋭い理沙の追求に怯みそうになりながらも必死で否定していると唐突にひのちゃんが口を開いた。
「もしかして…昨日、豹先輩と何かありました?」
「っ…」
ひのちゃんの問いかけに昨日の出来事が脳内を過ぎり胸を締め付けられた。
「え…星那?本当に宮端くんと何かあったの…?」
「もしかして、まだプレゼント貰ってないとかか?」
俯く私の姿に理沙とまひるが問いかけるが私はその言葉が胸に刺さる。
「…わ……で…っ」
「星那…?」
「星那先輩…?」
「豹の事それ以上言わないで…っ!聞きたくないの……何も聞きたくないの」
授業中は直ぐに止んだのに豹の話を切り出されたせいか次々と零れる涙に何もかもが嫌になった。
「星那先輩、何か…」
「分かった、言わない!もう言わないし聞いたりしないからとりあえず…星那おいで?」
理沙は両手を広げるといつもと変わらない笑みを向けた。
「理沙……っ!!」
理沙のその笑顔が今の私にはとても安心して勢いよく飛びつくと止まらない涙が益々溢れ出し子供のように泣きじゃくった。その間、理沙はずっと子供を宥めるように優しい手つきで私の背中を撫でてくれたのだった…
*
どんな事があっても店は開けると言う蓮さんのポリシーと共に私もどんな事があってもホストとして店に出る事をやめなかった。
「せなくん、ほら苺タルトあるよ~!食べないの~?」
「……食べさせて」
「っ…もうっ!仕方ないな~ど~ぞ!…美味しい?」
「…別に」
「あんっ!いつもより冷たいせなくんも素敵~!!」
お客様がいつもと違う星那の塩対応に悶絶している頃、その様子を見ていた明が蓮さんに問いかけた。
「あの、蓮さん。せなの奴いつもと何か違いませんか?何か接客対応が豹に似て冷てぇというか…それに、肝心の豹は休みだし…何かあったんすか?」
「さぁ…」
「ちょっ、それ答えになってないっすよ!蓮さん」
「うるせぇ!お前は接客に集中しろ。またお客様にお世話されても知らないからな!」
「ぐっ…が、頑張ります」
蓮の見事な指摘に何も言えなくなり口黙ると目の前のお客様に集中したのだった。
一方、明に問いかけられた蓮は星那のいつもと違う様子に頭を悩ませていた。
あいつは…せなは豹が好きなんだよな……
昨晩、星那が告白した事に暗い影が胸中に落ち目を逸らしたくなる程辛かったが翌朝今にも消えそうな星那の様子に一番辛いのは星那なんだと思った。それは同じ気持ちだったはずの隆二も同じで自分の気持ちより今は星那の気持ちを何よりも目を向けなければならないのだと…
「豹……あいつ何であんな真似をしたんだよ…っ」
今何処で何をしているのか?星那を含め一緒に暮らしていた俺達は何も知らないのだとこの時初めて気づいたのだった…
「…な……」
「……」
「…せなってば!聞いてるの!?」
「…え?何か言った?」
見上げると慌てふためく理沙の姿があり首を傾げる。
「ちょっ、そんなボケ今はいらないから早く前向いて!当てられてるんだってばっ!」
理沙の言葉通り前を向くと教卓の上で怒り顔の先生が仁王立ちで眉毛をピクピクさせていた。
「ええっと…い、今行きますっ!」
何も書かれていない数学のノートを手に取り慌てて黒板の前へと駆け出した。
何も書いてないけど書いてますよ~的なノリで誤魔化せば大丈夫大丈夫!
目の前の数式に解いてますよ~ノートを先生に見えないように見比べながら書き記していく。
こんな問題、豹なら私より先に解いちゃうんだろうな…もっと難しい数式とか使ってほんとあっという間に……
「美嶋…?どうかしたのか?具合でも…」
「な、何でもないですっ!ほんと…大丈夫ですから…っ」
「あ、ああ……」
先生の心配する声にふと自分が涙を流している事に気付き慌てて袖で涙を拭うと何でもないように笑みを向けた。
「それより、先生解き終わりましたので戻ってもいいですか?」
「ん?あ…あぁ!?何だこれは!?」
「へ?」
先生のあまりの驚きように黒板に目を向けると何故か問題の答えと共に次の問題まで書き解いていた。
「す、すみませんっ!!!」
うわぁ…やっちゃった…
自分でも思いもよらない失態に恥ずかしさのあまり真っ赤になりながら頭を下げ謝ると苦笑いする先生の声が返ってきた。
「あははは…まぁ、次の問題を書くのが省いて助かったと受け取っておくよ」
「す、すみません…」
*
「星那、今日何かおかしいよね…?」
「え?そんな事ないよ?」
暖かな日差しの中で屋上にて皆でお昼ご飯を食べていると突然理沙が不思議そうに問いかけてきた。
「えー、でも授業中もどっか上の空で数学の時なんか書いてる時急に涙なんか流してたし…何かあるよね?絶対」
「うっ…な、何にもないってば!!」
鋭い理沙の追求に怯みそうになりながらも必死で否定していると唐突にひのちゃんが口を開いた。
「もしかして…昨日、豹先輩と何かありました?」
「っ…」
ひのちゃんの問いかけに昨日の出来事が脳内を過ぎり胸を締め付けられた。
「え…星那?本当に宮端くんと何かあったの…?」
「もしかして、まだプレゼント貰ってないとかか?」
俯く私の姿に理沙とまひるが問いかけるが私はその言葉が胸に刺さる。
「…わ……で…っ」
「星那…?」
「星那先輩…?」
「豹の事それ以上言わないで…っ!聞きたくないの……何も聞きたくないの」
授業中は直ぐに止んだのに豹の話を切り出されたせいか次々と零れる涙に何もかもが嫌になった。
「星那先輩、何か…」
「分かった、言わない!もう言わないし聞いたりしないからとりあえず…星那おいで?」
理沙は両手を広げるといつもと変わらない笑みを向けた。
「理沙……っ!!」
理沙のその笑顔が今の私にはとても安心して勢いよく飛びつくと止まらない涙が益々溢れ出し子供のように泣きじゃくった。その間、理沙はずっと子供を宥めるように優しい手つきで私の背中を撫でてくれたのだった…
*
どんな事があっても店は開けると言う蓮さんのポリシーと共に私もどんな事があってもホストとして店に出る事をやめなかった。
「せなくん、ほら苺タルトあるよ~!食べないの~?」
「……食べさせて」
「っ…もうっ!仕方ないな~ど~ぞ!…美味しい?」
「…別に」
「あんっ!いつもより冷たいせなくんも素敵~!!」
お客様がいつもと違う星那の塩対応に悶絶している頃、その様子を見ていた明が蓮さんに問いかけた。
「あの、蓮さん。せなの奴いつもと何か違いませんか?何か接客対応が豹に似て冷てぇというか…それに、肝心の豹は休みだし…何かあったんすか?」
「さぁ…」
「ちょっ、それ答えになってないっすよ!蓮さん」
「うるせぇ!お前は接客に集中しろ。またお客様にお世話されても知らないからな!」
「ぐっ…が、頑張ります」
蓮の見事な指摘に何も言えなくなり口黙ると目の前のお客様に集中したのだった。
一方、明に問いかけられた蓮は星那のいつもと違う様子に頭を悩ませていた。
あいつは…せなは豹が好きなんだよな……
昨晩、星那が告白した事に暗い影が胸中に落ち目を逸らしたくなる程辛かったが翌朝今にも消えそうな星那の様子に一番辛いのは星那なんだと思った。それは同じ気持ちだったはずの隆二も同じで自分の気持ちより今は星那の気持ちを何よりも目を向けなければならないのだと…
「豹……あいつ何であんな真似をしたんだよ…っ」
今何処で何をしているのか?星那を含め一緒に暮らしていた俺達は何も知らないのだとこの時初めて気づいたのだった…
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