モブキャラCの私は乙女ゲーム世界で助言役を勝ち取りました

Shell

文字の大きさ
25 / 85
二章 ゲーム開始

天然?偽物?ヤンデレ先生の捕獲と記憶の喪失

しおりを挟む
目が覚めたら白い空間にいて目の前に神だと名乗る白い人魂もどきがいて『貴方は、お亡くなりになりました』とか『転生して頂きます』とか非現実的な台詞を聞かされるなんて話がまた……あったら良かったのに。

「あれれ~?もう目が覚めたの?平気?頭大丈夫?」

目が覚めて飛び込んで来たのは神だとか名乗る人魂もどきではなく、天然だと称される我が担任の棗 杏子の姿だった。

「頭大丈夫かと聞きたいのは私の方です」

現在、私は腹痛で気を失った為か薬品が香る保健室のベッドの上にいた。そして、何故か目の前にいる棗 杏子の他攻略対象者と同じく私が見える現象については薄々予想はしていた。四人が見えるのなら残りの攻略対象者が見えないとかありえないからね。

「良かったぁ~!元気そうで何よりだ」

あの、人の話聞いてました?頭大丈夫かって聞いたのに人の話スルーですか?

「あ!そうそう、今ね~同僚の先生に苺貰ったから食べようと思ってた所だから一緒に食べよ?ね?」

あ、駄目だ。この人話通じない。

「はぁ……あの、腹痛で苦しんだ生徒に食べ物はないと思います」

深い溜息をつき意を決して真顔でさらりといい返すと目をぱちくりさせ不思議なものでも見るかのような謎過ぎる反応が返ってきた。

「え?何で~?」

よし、もう知らない。私はこいつと話す事にさじを投げる。

「よっと…」

「え…ほしのん?」

「授業に戻ります」

「えぇ!?ちょっと待ってぇぇぇぇ!!」

「へ…うひゃんっ!?」

真っ直ぐに出口へと向かう足を引っ掛けられ前のめりにコケるとそこからダイブするように覆い被さってきた。

「つ~かまえたっ!」

ガキか!少しは成人男性に下敷きにされる小柄な女子高生の気持ちも考えろっ!

「早くどいて貰えませんか?」

「お断りしますっ!」

「なっ…」

「僕ね~、ほしのんにお願いがあるんだ。だから、それを叶えてくれるまで離したくないんだよね~」

お願い?何だそれ?つい数分前まで存在自体知らなかった私にお願いなんてする事自体ありえないんだが…それに、ほしのんってなんだ?あだ名か?いい迷惑だ

「叶えてくれないかな~?叶えてくれるよね?ほしのん」

はぁ…毎度毎度お願いって…

「…お断りします」

「え!?何でなんで??」

「何でも何も内容も分からないようなお願いを叶える道理などないです。それに、内容を聞いたとしても私じゃなくても叶えてくれる人なんて周りにいくらでもいると思いますけど…?」

「ふふんっ!他の人じゃ駄目なのだよ~、ほしのん」

「っ…あのですね!お願いもそうですけど、ほしのんほしのんってやめて貰えませんか?遥かに不愉快です」

「え~?じゃあ、もものん?」

変わってねーよ!

「だから、あだ名ではなくて普通に星野でいいです」

「え~!それじゃ、可愛くないじゃん!」

「あのですね…可愛いとかいう問題ではなくて先生として普通に星野とかでいいと思います。私としてもあだ名とか求めてませんから」

「もうっ!もものんは、見かけによらず辛辣なんだから…ん?あれ?これ前にも似たような事を言ったような…」

突然頭を抱えて眉間にシワを寄せる棗の様子に私は五歳の頃の記憶を思い出していた。五歳の頃、棗と一緒に商店街へ行った際に棗は今と同じ事を言っていた。『桃ちゃんは見かけによらず辛辣だなぁ』という言葉を…それらの記憶は彼ら攻略対象者達から消えていたのかどうか確証はないが今の様子を見る限りそれは確かなのだろう。

ま、一先ず今はここからの脱出!

「すぅ~…はぁ……あ!窓の外に宇宙人がいる!?」

幼稚的な発想だがを見せていない今の彼なら引っ掛かるだろう。

「えぇ!?宇宙人!?どこ?どこどこ??」

…ほらね

まんまと引っかかった棗が窓際へと向かった隙に私はすかさず保健室から脱出した。

…バタンッ

「ねぇ、宇宙人なんてどこにも…あれ?あ~、逃げられちゃったか……変わってなくて安心したよ、

まるでこうなる事が分かっていたかのように棗 杏子は桃が出て行った先を見ながら口元を上げた。

しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜

文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。 花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。 堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。 帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは? 異世界婚活ファンタジー、開幕。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

処理中です...