モブキャラCの私は乙女ゲーム世界で助言役を勝ち取りました

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二章 《林間合宿編》

写真の行方は地獄?天国?

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国光林檎が部屋に来る一時間前、モブである星野 桃は絶賛だらけ中だった。

「あぁ~‥足痛い腰痛い疲れた」

「お姉様大丈夫ですか?宜しければマッサージ室に行って来たらどうですか?」

「マッサージ室かぁ‥あんまり気は進まないなぁ‥」

教員室や医務室がある中間には小さなマッサージ室というものがある。主に女性の先生がマッサージをしてくれるのだが生徒同士がマッサージをする事もあり利用する人は多い。設置された理由としては登山等で疲れきった体を癒す為らしいがそんな部屋私的にはいらな過ぎる。そんな部屋を設置するくらいなら登山を無くせばいいと思う。切実に。

「では、ココナがお姉様のマッサージを‥」

「却下」

「うぅぅ‥そんな~!ココナの癒しはどうなるんですか!」

「癒しが欲しいのは私の方」

ココナがするとマッサージじゃなくなるから絶対却下だ。

…コンコンコンッ

「誰か来たみたいですね」

ココナを足蹴りにしながら音のするドアへ視線を向ける。

「私が出ましょうか?」

「ううん、私が出る」

ココナの提案に首を横に振るとドアへと恐る恐る向かう。

私とココナを訪ねる人なんているはずな…

「やっほ~!もものん!」

ガチャッ

「お姉様?どうしました?」

「嫌、ちょっと幻覚が見えた気がして…」

ドンドンドンッ!!

「ももの~ん!遊びましょ~!」

「うっ‥ついに幻聴も聞こえてきたみたい」

「それは大変ですわ!?ココナが代わりに出ますからお姉様は早くお休みになって下さい!」

「はぁ~…やっぱり私が出るからココナは大人しくそこにいて」

「で、でも‥」

ね?ココナ?」

「は、はい!」

無理やり作った笑顔に思いっきりの圧をかけココナを止めると重い足を回れ右と向き直る。

ここでココナまで出てくると幻覚や幻聴じゃ済まなくなるわ。ここは嫌でも…凄く嫌でも私が出なければ‥っ!

ガチャ‥

「あっ!」

「何か御用ごようでしょうか?

「そんな~先生なんて言われても照れちゃうなぁ~」

ですよね?」

「うん!先生だよ~!えへへっ」

イラッ…

あれ?何か段々イライラしてきたんだけど

中々話が進まない自称(仮)先生にしびれを切らし無理矢理話を切り出す。

「あの、何か御用があって来たんですよね?」

「あ!そうそう!そうなんだよ~!実はね、これをもものんに見せたくてさぁ‥」

そう言いながら右ポケットから取り出したのは1枚のだった。

「こ、これって…」

それを前にして一瞬私の思考はフリーズした。

「可愛いよね~!先生これ見つけた時思わずキュンキュンきちゃった♪」

そのはまさしく私が落とし穴に落ちる原因となったココナの写真でありそこに写るのは思わず思考がフリーズする程の隠し撮りされたであろうヨダレを垂らしクマのぬいぐるみに抱きついて眠る私の姿だった。

「か…‥し‥」

「な~に?もものん?聞こえないよ~?」

「返して‥っ!!!」

怒りか恥ずかしさか思考がグチャグチャになりながらもすぐ様写真に手を伸ばす。

「あ、こらこら!だ~めだって~!」

「ちょっ何でですか!?返しに来たんじゃないんですか!」

「ノンノン~!返しに来たんじゃなくてしにきたんだよ~ん!」

「は?」

という言葉に必死にジャンプしていた足をピタッと止める。

「ふふ~ん!もものんに提案です!明日のキャンプファイヤー、先生に付き合ってください!」

「え、嫌です」

「ノンノン!もものんには二択しかないのです!一、先生とキャンプファイヤーに付き合う。ニ、それをしなければこの写真が全校内に広まりま~す!さぁ、どれがいい?ももの~ん!」

その二択って二つとも最悪。全校内に広めるとかこのヤンデレ教師なら有り得る話だし…

「はぁ……仕方ない」

「え、先生とキャンプファイヤーに付き合ってくれるの~?」

「はい」

「え、えええーっ!?い、いいの!?」

「その前に、最後に写真を見せてくれませんか?出来れば手に持ってちゃんと見たいのですが…」

「もちろん!いいよー!はい、ど~ぞ!」

「ふふっ、ありがとうございます」

あっさりと渡してくれた写真を受け取るなり私は真上から一気に破いた。

ビリッ!

「アアアッ!?な、なな何するのもものん!?せっかくの可愛らしい写真がぁー!!」

「写真?何の事ですか?これはただのですよ?」

ビリビリと細かく原型が無くなるまで破くと僅かに残った紙を棗 杏子に投げつける。

「これで取り引きのとやらは無くなりましたね。それでは、もう何も御用が無いようですので失礼します。」

「ちょっ、待って‥」

「さよなら」

「もものんっ!」

「さ・よ・な・ら」

ガチャ‥

満面の笑みでそう言い返すとドア越しに大人ながら泣きわめく棗 杏子の声が聞こえてきたがスルーする事にした。

ヤンデレ教師に弱みを握られずに済んで良かった。本当に良かった。

清々しい気持ちで部屋へ戻ると大人しく正座のまま待っていたココナが不思議そうに首を傾げていた。

「お姉様、一体誰だったのですか?」

「ん~‥ただの気のせいだったみたい。やっぱり幻聴ね」

「そうだったのですね」

「それより、ココナ‥」

「何ですか?お姉様?」

「大切なものはね、一度無くしたら戻って来ないものなのよ」

「え、それってもしかして‥…」

「ココナ、諦めも時には必要よ」

「お…お姉様のバカァァァァァァッ!!!うわぁ~~~~ん!!!」

その瞬間、ココナは地獄へと叩き落とされたかのようにその場に泣き崩れたのだった。












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