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二章 《林間合宿編》
緊急事態発生〜最悪のマッサージ~
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地獄の涙中の約二名を残し桃は体を癒す為にマッサージ室へと来ていた。
あまり気は進まないけど山登りに落とし穴にもう体がボロボロだし背に腹はかえられない。
意を決してマッサージ室のドアノブに手をかけた瞬間悲痛の呻き声が聞こえた。
「イヤァァァッ!無理無理無理ーーー!!!」
や…やっぱりや…
ガラッ!
「おや、これは珍しい新客ですね」
なっ…!?
引き返そうとマッサージ室を後にしようとした拍子にドアが開き呼び止められた声に体が硬直した。
な、ななななんでここに!?
冷や汗ダラダラで恐る恐る後ろを振り返るとメガネ越しのにこにこスマイルで見つめる柿本 蜜柑がいた。
「入らないんですか?星野 桃さん」
「わ、私は別に…」
蜜柑の誘う言葉を拒否しようと首を横に振ると蜜柑の背後から何故かくたくたな小豆が顔を出した。
「ひ……ひよこちゃんっ!は、入りなよ!絶対気持ちいいから‥っ」
呼吸を乱しながら言われても説得力がないんですが…
一体彼女の身に何があったのか?と問いかけたくなるようなくたくたな小豆を見るなりますます腰が引けた。
「あなたも体を癒しに来たのですよね?ならば、私のマッサージを受けて損はしませんよ」
「は、はぁ…」
どうしよう…逃げ道になる言葉が浮かばないんだけど
幸いにも一番会いたくないヒロインである苺はいないが、この状況はあからさまに危険な感じしかしない。
「さぁ、お入りください」
「おいで、ひよこちゃん」
何故か満面な笑みの二人から手を差し出され頭の中で危険警報が鳴りながらも手を伸ばしてしまった。後に後悔する事になるとも知らずに…
*
渋々踏み入れたマッサージ室にはアロマの匂いが溢れ目に優しい白と緑の壁には観葉植物が散らばっていた。
「すぅ~~~‥はぁ~~……で、これは一体何ですか?」
「何と言われましてもただのマッサージ用の寝台ですよ」
へぇ…ただの寝台ねぇ‥…
蜜柑の言葉に私は再度目の前の物を一瞥した。
手首や手足に金属製の錠を付けた寝台がマッサージ用の寝台って言っていいものか…
ただ今の状況、一言で言えば” 逃げ場なし”の一言だ。蜜柑の言葉通り動くなり寝台にうつ伏せになった私は何故かガシャという音と共に寝台に設置された金属製の錠に手首と手足を固定されまるで拷問にかけられる前の状況に陥っていた。
どうにかして逃げるにはっと…
唯一動く視線を巡らせるとくたくたから半分ぐらい回復したらしい小豆と目があった。
お願い!助けて!
助けを求めるように目だけで訴えると小豆は何か察したらしくニコッと笑みを向けた。
え、察してくれた?
「ひよこちゃん、もう大丈夫よ」
へ?
「蜜柑に任せておけば完全に癒されるから安心して身を委ねなさいな」
いやいや危険しかないって!
「じゃあ、私は完全に癒されたから帰るわ。またね、ひよこちゃん」
何を言っているんですか!小豆さんっ!?待って、行かないでぇぇぇぇぇ!!!
表情はニコニコと体はややよろけながら帰って行く桜桃 小豆を内心絶叫しながら呆然と固まった。
「コホンッ!では、初めましょうか?星野 桃さん」
「は…はい‥」
完全に逃げ道絶たれた
引きつり気味に頷くと蜜柑は悪魔的な笑みで手首を回す。
「さて、足からやっていこうかと思うのですがその前に一つお願いを聞いて頂けますか?」
うっ、嫌な予感
「星七 苺さんの耳に私のマッサージが上手い事を伝えて欲しいのです」
「お断りします」
「ふふっ、そう言うと思いました」
「いっ…!?痛たたたたたたっ!!!」
突然足に痛みが走り身動きをするが手足を固定されてる為無意味でしかなかった。
「星七 苺さんに伝えてくれますよね?」
「そ…そんなの……他の人に頼めばいいでしょっ!痛い痛い痛い!!」
「何を言っているんですか?こういう事は利用出来る道具にしか出来ない事だからあなたに頼んでいるのですよ」
道具…やっぱりこいつにとって私は利用出来る道具って事か。薄々分かってたけど、だからってここまでする!?
「それで‥もっ!…嫌っ!!!」
「中々強情ですね…それなら‥」
「イヤァァァァァァ!!無理無理!!痛い痛い痛い痛い痛い!!!」
「筋肉の奥まで刺激を与えてますから痛いのは当然です。それで、どうですか?気は変わりましたか?」
「うぅぅ…もう…っ!や、やめ…て‥…」
「なら伝えてくれますよね?」
「つ、伝えます‥からだから…やめ…」
「取り引き成立ですね。では、改めてマッサージを初めましょうか…」
え、改めて?
そう言った蜜柑の手つきが急に止まったかと思えば優しく撫でるようにゆっくりと動き始めた。
「…あ……んっ…」
気持ちいい…というか、ヒロインへのアピールに協力するってだけでこんなあっさり手のひら返すなんて攻略関係者全員バカなの?単純バカなの?あぁ…でも今は……
「…何も考えられな…ぃ…」
~数分後~
「おや?寝落ちしてしまいましたか‥これは困りましたね」
手首と手足を固定されたままうつ伏せで気持ちよさそうに眠る桃の姿につい吹き出しそうになる。
「さて、このまま彼女を部屋に返すとすれば問題になりかねないですし‥」
女子寮に入った檸檬のにのまいは御免こうむると思いふと浮かんだ案はある意味賭けだった。
「まぁ、今なら彼も居ませんし一先ず隠すにはこれしか方法はありませんね」
*
無事戻って来たA班のメンバーはそれぞれマッサージや食事や男女共用で時間帯別での使用であるお風呂などで体を癒していた。その中でちょうど桃がマッサージ室にいる頃、タイミングがいいのか悪いのか男子の時間帯としてお風呂が解放され使用していた木通 檸檬はいつもよりやや早めに自室へ戻ろうとしていた。
「あ~~~お風呂気持ちよかったぁ!ん~…もう蜜柑先輩帰って来たかな?いや、さすがに早いか」
同じA班である蜜柑とは部屋割りも一緒となった為、つい部屋に帰って来たのか気になった。
少しは一人の自由も欲しいからね
そうこうしている内に自室へ着くと誰もいない前提で部屋へと入る。
「ふぁ~…まだ少し時間あるしほんの少しだけ寝よっかなぁ…」
まだ疲れが残ってる足で一番近いベッド(蜜柑のベッド)に欠伸混じりに潜り込む。
「ん…………やわらかい……んっ!?」
バサッ!
潜り込むなり何か柔らかい感触を感じ目が覚め慌てて起き上がりその正体を見ると…
「なっ!?も…ももも桃ちゃん!?」
そこに居たのは同室の蜜柑ではなく居るはずもないスヤスヤと小さく寝息を立て眠る桃の姿だった。
「な、なななな何でここに!?」
あまり気は進まないけど山登りに落とし穴にもう体がボロボロだし背に腹はかえられない。
意を決してマッサージ室のドアノブに手をかけた瞬間悲痛の呻き声が聞こえた。
「イヤァァァッ!無理無理無理ーーー!!!」
や…やっぱりや…
ガラッ!
「おや、これは珍しい新客ですね」
なっ…!?
引き返そうとマッサージ室を後にしようとした拍子にドアが開き呼び止められた声に体が硬直した。
な、ななななんでここに!?
冷や汗ダラダラで恐る恐る後ろを振り返るとメガネ越しのにこにこスマイルで見つめる柿本 蜜柑がいた。
「入らないんですか?星野 桃さん」
「わ、私は別に…」
蜜柑の誘う言葉を拒否しようと首を横に振ると蜜柑の背後から何故かくたくたな小豆が顔を出した。
「ひ……ひよこちゃんっ!は、入りなよ!絶対気持ちいいから‥っ」
呼吸を乱しながら言われても説得力がないんですが…
一体彼女の身に何があったのか?と問いかけたくなるようなくたくたな小豆を見るなりますます腰が引けた。
「あなたも体を癒しに来たのですよね?ならば、私のマッサージを受けて損はしませんよ」
「は、はぁ…」
どうしよう…逃げ道になる言葉が浮かばないんだけど
幸いにも一番会いたくないヒロインである苺はいないが、この状況はあからさまに危険な感じしかしない。
「さぁ、お入りください」
「おいで、ひよこちゃん」
何故か満面な笑みの二人から手を差し出され頭の中で危険警報が鳴りながらも手を伸ばしてしまった。後に後悔する事になるとも知らずに…
*
渋々踏み入れたマッサージ室にはアロマの匂いが溢れ目に優しい白と緑の壁には観葉植物が散らばっていた。
「すぅ~~~‥はぁ~~……で、これは一体何ですか?」
「何と言われましてもただのマッサージ用の寝台ですよ」
へぇ…ただの寝台ねぇ‥…
蜜柑の言葉に私は再度目の前の物を一瞥した。
手首や手足に金属製の錠を付けた寝台がマッサージ用の寝台って言っていいものか…
ただ今の状況、一言で言えば” 逃げ場なし”の一言だ。蜜柑の言葉通り動くなり寝台にうつ伏せになった私は何故かガシャという音と共に寝台に設置された金属製の錠に手首と手足を固定されまるで拷問にかけられる前の状況に陥っていた。
どうにかして逃げるにはっと…
唯一動く視線を巡らせるとくたくたから半分ぐらい回復したらしい小豆と目があった。
お願い!助けて!
助けを求めるように目だけで訴えると小豆は何か察したらしくニコッと笑みを向けた。
え、察してくれた?
「ひよこちゃん、もう大丈夫よ」
へ?
「蜜柑に任せておけば完全に癒されるから安心して身を委ねなさいな」
いやいや危険しかないって!
「じゃあ、私は完全に癒されたから帰るわ。またね、ひよこちゃん」
何を言っているんですか!小豆さんっ!?待って、行かないでぇぇぇぇぇ!!!
表情はニコニコと体はややよろけながら帰って行く桜桃 小豆を内心絶叫しながら呆然と固まった。
「コホンッ!では、初めましょうか?星野 桃さん」
「は…はい‥」
完全に逃げ道絶たれた
引きつり気味に頷くと蜜柑は悪魔的な笑みで手首を回す。
「さて、足からやっていこうかと思うのですがその前に一つお願いを聞いて頂けますか?」
うっ、嫌な予感
「星七 苺さんの耳に私のマッサージが上手い事を伝えて欲しいのです」
「お断りします」
「ふふっ、そう言うと思いました」
「いっ…!?痛たたたたたたっ!!!」
突然足に痛みが走り身動きをするが手足を固定されてる為無意味でしかなかった。
「星七 苺さんに伝えてくれますよね?」
「そ…そんなの……他の人に頼めばいいでしょっ!痛い痛い痛い!!」
「何を言っているんですか?こういう事は利用出来る道具にしか出来ない事だからあなたに頼んでいるのですよ」
道具…やっぱりこいつにとって私は利用出来る道具って事か。薄々分かってたけど、だからってここまでする!?
「それで‥もっ!…嫌っ!!!」
「中々強情ですね…それなら‥」
「イヤァァァァァァ!!無理無理!!痛い痛い痛い痛い痛い!!!」
「筋肉の奥まで刺激を与えてますから痛いのは当然です。それで、どうですか?気は変わりましたか?」
「うぅぅ…もう…っ!や、やめ…て‥…」
「なら伝えてくれますよね?」
「つ、伝えます‥からだから…やめ…」
「取り引き成立ですね。では、改めてマッサージを初めましょうか…」
え、改めて?
そう言った蜜柑の手つきが急に止まったかと思えば優しく撫でるようにゆっくりと動き始めた。
「…あ……んっ…」
気持ちいい…というか、ヒロインへのアピールに協力するってだけでこんなあっさり手のひら返すなんて攻略関係者全員バカなの?単純バカなの?あぁ…でも今は……
「…何も考えられな…ぃ…」
~数分後~
「おや?寝落ちしてしまいましたか‥これは困りましたね」
手首と手足を固定されたままうつ伏せで気持ちよさそうに眠る桃の姿につい吹き出しそうになる。
「さて、このまま彼女を部屋に返すとすれば問題になりかねないですし‥」
女子寮に入った檸檬のにのまいは御免こうむると思いふと浮かんだ案はある意味賭けだった。
「まぁ、今なら彼も居ませんし一先ず隠すにはこれしか方法はありませんね」
*
無事戻って来たA班のメンバーはそれぞれマッサージや食事や男女共用で時間帯別での使用であるお風呂などで体を癒していた。その中でちょうど桃がマッサージ室にいる頃、タイミングがいいのか悪いのか男子の時間帯としてお風呂が解放され使用していた木通 檸檬はいつもよりやや早めに自室へ戻ろうとしていた。
「あ~~~お風呂気持ちよかったぁ!ん~…もう蜜柑先輩帰って来たかな?いや、さすがに早いか」
同じA班である蜜柑とは部屋割りも一緒となった為、つい部屋に帰って来たのか気になった。
少しは一人の自由も欲しいからね
そうこうしている内に自室へ着くと誰もいない前提で部屋へと入る。
「ふぁ~…まだ少し時間あるしほんの少しだけ寝よっかなぁ…」
まだ疲れが残ってる足で一番近いベッド(蜜柑のベッド)に欠伸混じりに潜り込む。
「ん…………やわらかい……んっ!?」
バサッ!
潜り込むなり何か柔らかい感触を感じ目が覚め慌てて起き上がりその正体を見ると…
「なっ!?も…ももも桃ちゃん!?」
そこに居たのは同室の蜜柑ではなく居るはずもないスヤスヤと小さく寝息を立て眠る桃の姿だった。
「な、なななな何でここに!?」
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