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二章 《林間合宿編》

火花散る!?まさかの争い〜原因は誰?〜

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桃が梅木 ライチの手伝いをしていた頃、山の中にある川辺にて食材採取に来ていた鳳梨 グアバ・木通 檸檬・国光 林檎・小堺 瓜の一行は至極しごく真面目に…

「おい!さっき俺の竿に当たったぞ!」

「すみませんっ!!!」

本当に至極真面目に…

「れ~くんが釣った魚、僕のボックスに移しちゃおっと」

「なっ!?それならりんりんの魚のえさは全部奪うからね!」

本当に本当に至極真面目に…

「はぁ!?そんな事誰が許すと思ってんのさぁ?」

「りんりんがズルするのが悪いんでしょーが!」

「お前ら煩いっ!静かに釣れ!そして、魚は全部俺様の物だ!」

うん、います。

未だに一匹も釣れていないのに我が物顔で他人の魚を持って高笑う会長の隣で犬と猿‥否、木通 檸檬と国光 林檎は冷ややかな目で見ていた。

「会長を見てると自分の傲慢ごうまんさがまだ可愛い事を思い知るよ」

「それは俺も同感」

自分よりも遥かに我儘わがままなグアバの姿にいつも周りを振り回す林檎も少しは思う事もあったらしい。例によって珍しく素直だ。

「…ねぇ、りんりん」

「な~に?」

「昨日のA班の女子生徒とついでに棗先生が行方不明になった事件の原因って……りんりんでしょ?」

「っ‥!?な、何言ってるの?もしかして、あまり釣れてないからってついに頭でもおかしくなったんじゃないの?」

「女子生徒と棗先生が見つかった落とし穴で見つけちゃったんだよね…大成功って書かれた看板を。まぁ、誰かが叩き割ったせいでボロボロで土の中に埋まってたけどね」

「それが何なの?僕とどういう関係があるわけ?」

「その書かれた文字さ、りんりんの文字に似てるんだよね」

「そんな似てるからって僕がやったって決めつけるわけ?ふざけるのも大概たいがいにしなよ!」

「ふざけてるのはりんりんの方でしょ?開会式前、りんりんが居ない事を知ってる奴が一人居たんだよね」

「は?そんな奴いるわけないじゃん」

「それが居たんだよ、りんりんのファンの女の子が一人がね」

「そんなのどうせガセに決まってるって。れ~くんはそんなたかがファンの女の子の話を信じるの?馬鹿じゃないの?」

「馬鹿じゃないよ。少なくとも俺はりんりんよりどんな女の子も大切にする。穴に落ちた女の子もね」

「ふ~ん……で、結局は何が言いたいの?僕が原因となった犯人だって事だけ?」

「違うよ。俺が一番言いたいのは女子生徒を傷つけてた事が………許せへんだけや」

「へぇ……れ~くんの本性久しぶりに見たなぁ…まさか苺ちゃんより本気だったりして?」

ドンッ!!!

持っていた釣り竿を投げ捨てると流されるがままに林檎の胸ぐらを掴みかかる。

「何?」

「俺が苺ちゃんより本気だって?…冗談も程々にしいやガキ」

「おぉ~こわこわ!一体女子生徒とどういった関係なんだか?」

「りんりんこそ女子生徒と一体どういう関係なのかな~?会長から聞いたよ、昨日りんりんが女子生徒に掴みかかった事。今みたいにね?」

「チッ……前々から嫌いなんだよね…お前みたいなチャラいだけの中身が空な奴」

「はぁ?」

その瞬間、二人の中で何かが切れたのか怒りに任せるがままに取っ組み合い以上の殴り合いが始まった。

「おい!お前ら止めないかっ!!!」

「”会長は黙ってて!!!”」

「うっ……」

二人の余りの威圧感に中身がヘタレな会長ことグアバは内心ビクビクの恐怖心でしかなく腰が引けたのだった。

「か、会長?止めないんですか?」

「止めるに決まっているだろうが!生徒会メンバー同士が喧嘩など許されるわけないからな。だ、だがあの中に入ろうものなら俺は確実に怪我を……」

「会長?」

隣で不思議そうに首を傾げる小堺 瓜の様子にヘタレな弱虫心が働いた。

「貴様が先に止めてこい」

「え?む、無理ですよっ!?ひ弱な僕では直ぐにボロボロになってやり返されるのがオチですもん。それに普通ここは会長が止めるとこですよ!」

「何を言っている?だから、貴様が先に行くんだろうが」

「だ、だから何で僕がっ!?」

「下僕は主の言う事は絶対!主が身を呈して行くのなら先に下僕が体を張るのは当然だろ?だからだ」

「そ、そんな理不尽なぁ……それに下僕になった覚えなんてないのに」

「何か不満でもあるのか?」

「い、いえっ!」

「なら早く行かないか?下僕」

「うっ……分かりました、行ってきます」

グアバの身のすくむ程の威圧感に負け渋々未だに殴り合っている二人へと向かった。

「あ、あの……お二人共そのへんでもう止め‥ゴブッ!!!」

バタンッ!!!

案の定、一発KOで終わりました。

「委員長!?だ、大丈夫ですか?」

慌てて周りの男子生徒達が小堺を回収するなり駆け寄ると、その様子を見ていた会長ことグアバから恐怖心からくる変な汗が溢れる。

「会長、とりあえずもう一つの川辺に向かった先生の誰かに助け呼んで来ます」

「あ、ああ」

「俺は下山してログハウスにいる奴らにこの事を知らせてきます」

「わ、分かった」

「”会長!それまでお二人をお願いします!”」

男子生徒達のキラキラとした信頼の眼差しに内心ガクブルなグアバの表情は引きつった。

「ま、任せてお…け‥」

や、やばいっ!すっごく怖くてたまらない!今すぐにでも逃げ出したいっ!!!などと口がさけても言えない会長(ヘタレ)は目の前の二人に恐る恐る向かうのであった。

「お、お前ら…いいかげん止めないか?」

「”はぁ?煩い!邪魔だ!外野は黙ってろ!!!”」

ドンッ!!!

二人揃ってのこぶしが顔面目がけて飛んでくるなり反動でその場にうずくまる。

「うっ……だ、だが会長としてこれくらいの事で負けるわけにはいかないし…それに、苺にも振り向いてほしいからな。あと、あいつにこれくらいの事で負けたらまたしかられてしまう…」

最後に頭に浮かんだのは仁王におう立ちのまま真顔でゴミを見るかのような目で見下ろす星野 桃の姿だった。

「うっ…あの目を向けられるくらいなら……」

この後の状況よりマシだと考えたら自然と体が動き起き上がると目の前の二人に向き直る。

「……お前らいいかげんにしろ」

先程とは違い真っ直ぐな真剣な目で睨みつけるグアバに周りの残っている男子生徒達一同が肌にピリつく威圧感を感じていた。だが、その後の展開は期待とは多少外れていた。果敢かかんに挑むグアバに対し二人は容赦ようしゃなく跳ね返しまたグアバが起き上がり挑むという決着のつかない無限ループだったのだ。

 *

三人の決着のつかない無限ループが行われている頃、棗 杏子・桜桃 小豆・白波 ココナ・星七 苺・星野 桃は残りの女子生徒達とログハウスの掃除に追われていた。

「お姉様、A班の布団はこれで全部ですか?」

「うん、あとは他の班事に布団をかないと」

「シーツや枕類は既に星野さん達がやってくれたみたいなので、あとは布団だけですね」

「うん、じゃあ半分はお願いね」

「はい!」

こんな感じで一人一人が分けながら終わりも見えてきた頃、突然事件は飛び込んできた。

ドンドンドンドンドンッ!!!

「大変ですっ!!!助けて、助けてくださいっ!」

物凄い足音で叫びながらやって来た男子生徒に一息つこうとお茶を用意していた桜桃 小豆・白波 ココナ・星七 苺・星野 桃と女子生徒数名は首を傾げた。

「どうしたの?そんなに慌てて」

最初に切り出したのはこの状況でも眉一つ動かさない桜桃 小豆だった。

「じ、実は木通 檸檬と国光 林檎が殴り合いになって…それで会長が間にいて…」

余りにも良くない状況なのか?男子生徒の説明は断片だんぺん的なものだった。

「君、少し落ちついて?ゆっくりで大丈夫だから一回深呼吸して話してくれるかな?」

「は、はい…っ!」

若干パニック状態の彼にヒロインである星七 苺は近づくなり頭を優しく撫でると柔らかな笑みで説明をうながした。

さすが、ヒロイン。傍から見たら笑顔が天使だ。

「すぅ~…はぁ~……実は、釣りをしてる時に何があったのか突然生徒会の木通 檸檬と国光 林檎が喧嘩を始めてしまったんです。それを止めようと先に委員長の小堺 瓜が間に入ったんですが、跳ね返されて倒れてしまって…そこであとは会長にお願いしてその間に皆に知らせようと下山したんです。もう一人はもう一つの釣り場にいる先生に知らせに行きました。今頃はまだ会長が体を張って止めてると思うんですが……」

「状況は分かったわ。会長が止められるとは考えにくいけどとりあえず喧嘩の仲裁ちゅうさいが必要ってわけね。ここは、先生達より…」

「私よね!」

自信満々に胸を張って言う星七 苺にウンウンと首を縦に振る桜桃 小豆は早々に女子生徒達と共に他について行く人はいないか?とキャンプファイヤー組につのったのだった。

「私はあまり行く気にはなれないのですが、お姉様はどう……お姉様?」

ギクッ!?

ココナの言葉にその場で固まる。何故なら、私の足は既に自室へと向いていたからだ。

行きたくない。心底行きたくない。ヘタレ会長が怪我してようが、檸檬と林檎がどうなろうが知った事ではないというか…むしろ関わりたくないのだよ!それに、ヒロインが居れば問題すぐに解決するじゃん!それならそれで良かったね、はい終わり!ってなるじゃないか。

「お姉様、一体どちらへになるおつもりで?」

「うっ…」

この子絶対私の心読んでるよ……

悪魔的な笑みを浮かべるココナに正直ゾッとした。

「大丈夫よ!ヒヨコちゃん。私がついてるわ!」

「は?ちょっ!?離し…て‥」

突然背後から現れた桜桃 小豆に首根っこをつかまれそのまま強制的に引きられたのだった。

「た……すけ…て…」

「お姉様、いってらっしゃいませ!」






















    
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