2 / 3
『先祖還り』2
しおりを挟む赤ん坊はすくすくと育ち、元気に走り回る子供から少年期を終えるころ、母親が病に倒れた。
神術師の癒しの術も、魔術師の回復魔法も病の進行を妨げることはかなわなかった。
枕元に座る息子を幸せそうに見つめ、母親はゆっくりと眠りについた。
少年は青年へと育ち、街へ何か恩返しがしたいと考え、冒険者となり深淵の魔物を狩る道を選んだ。
青年は街から街へと移り行き、たったひとりで各地の深淵の魔物を倒していく。
欺瞞の眷属の精神汚染の術も、淫欲の眷属の淫汁も、青年には効かなかった。
各地を平定して回っていたある日、彼はとある深淵の王に出会う。
領地を持たない孤高の眷属。
軍隊を持たず、それゆえに個の能力が非常に高い眷属。
だが、そのほとんどは組織化された冒険者たちに狩られ、数を減らしていた。
残るはただ一体、目の前に立ちはだかる深淵の王のみ。
互いに、すぐに気がついた。
殺し合う立場にあれど、体内に流れる闇が同じものであることを。
ふたりが愛し、大切にしていた女性はもういない。
おそらく一瞬だけ、二人の間に感傷に浸る時間が流れた。
深淵の王を倒した者は、勇者と呼ばれる。
青年は冒険者を引退した後、結婚し、子を儲け、孫に囲まれ穏やかに息を引き取った。
勇者の子孫たちは冒険者となり各地に散らばって、子孫を残す者もいれば、戦って命を落とす者もいた。
そうして勇者の血はだんだん薄くなり、誰が勇者の子孫だったかもわからなくなり、彼の名前も功績も時間の波間に消えていった。
53
あなたにおすすめの小説
姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
王様の恋
うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」
突然王に言われた一言。
王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。
ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。
※エセ王国
※エセファンタジー
※惚れ薬
※異世界トリップ表現が少しあります
つまりは相思相愛
nano ひにゃ
BL
ご主人様にイかないように命令された僕はおもちゃの刺激にただ耐えるばかり。
限界まで耐えさせられた後、抱かれるのだが、それもまたしつこく、僕はもう僕でいられない。
とことん甘やかしたいご主人様は目的達成のために僕を追い詰めるだけの短い話です。
最初からR表現です、ご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる