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第一章 ウィルとアルと図書館の守人
星に願いを
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夕食を終えて幼い子供たちを寝かしつけるのは年長者の役目だ。
僕は眠たそうに目を擦り欠伸を見せる幼い兄弟たちをベッドのある寝室へと連れて行く。
今すぐにでも眠りたいはずなのに子供たちは必死に起きていようと抵抗を繰り返す。
「ねぇねぇ、ウィルにいちゃん、絵本読んでよー」
「いいけど、眠くないの? ローダ」
眠くない、と口では言うものの、瞼はほぼ半分閉じている。
その必死さに僕は思わず微笑した。
ローダの隣で一緒に横になっているメリルも眠い目を擦りながら絵本の物語を今か今かと待ちわびているようだ。
仕方なく僕は子供たちがとくに気に入っている一冊の本を手に取り、ページを捲った。
「じゃあ、読むよ。昔々あるところに……」
僕はゆっくりと子供たちに読み聞かせる。
よくある昔話を綴った夢物語の一つだ。
一人の王子がある大陸に立ち寄るとそこには邪悪な魔王に支配されいる王国があった。
その国の王様が王子に助けを求める。
この国を支配する魔王を倒してくれと。
そして魔王によって捕らわれた最愛の姫を救い出して欲しいと。
もちろん王子はそれを了承して魔王退治の旅に出る。
途中、数人の仲間を得て、幾多の困難な道をくぐり抜けようやく王子たち一行は魔王の住む城へ到着し、仲間と力を合わせて魔王を撃退。
捕らわれのお姫様も無事に救出して帰還。
そしてお約束の王子とお姫様は恋に落ち、結婚。
幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
と、まあ、こんなお話を僕は数十回と幼い子供たちに読み聞かせている。
かく言う僕も幼い頃に義母であるマリーに何度もしつこくせがんで読んで貰った記憶がある。
だから本の内容は目を瞑ってでも読むことができる。
ローダやメリル、他の子供たちも同様にこの絵本の物語が大好きなのだ。
いや、読んでもらえることが嬉しいのかもしれない。
成長し、読む側となった今だからわかる小さな真実。
僕はふっと息を零した。
「……ようやく寝たかな?」
子供たちはいつの間にか深い眠りに落ちていた。
おそらく読み始めてすぐに眠りに落ちてしまったのだろう。
僕にも凄く身に覚えがあるから。
そっと本を閉じて、ベッドサイドのテーブルに本を置いた。
可愛い兄弟たちが風邪を引かない様に小さな腕を毛布の中に収める。
よほど深い眠りについているのか、少し動かしただけでは目を覚ますことはないだろう。
小さな額にそれぞれ触れる程度のキスを落とした。
なるべく音を立てないように蝋燭の灯ったランプを持って部屋の出口へ向かった。
扉から覗く子供たちの寝顔を最後まで確認しながら扉を閉めた。
丁度そのとき、別の部屋からもう一人の年長者であるマールが部屋からそっと出てきたところだった。
僕たちは小声で「おやすみ」と言い合い、それぞれの寝室へと戻った。
自分の部屋に入ってホッ、と息をつく。
時計へ目をやると既に九時を回っていた。
僕もそろそろベッドに入らなければならない。
明日も学校があるからだ。でもその前に僕は机へと向かった。
机の端にランプを置いて、一冊のノートを手に取り、開いた。
僕は日課で必ず日記を付けるようにしている。
今日あった出来事を簡単にまとめて書き出していくのだ。
楽しかった事、悪いことも、悲しい出来事も全て日記に書き出していく。
今日はレズリーとロガに本当の両親のことでからかわれた。
「本当の両親、か」
手を止めて、僕はふと、窓から覗く空を仰いだ。
今夜は星がよく見える。
明日もきっとよく晴れることだろう。
この空の下の何処かに、僕の本当の両親は生きているのかな?
夜空にふっと星が流れて落ちた。
流れ星だ。
「どうして僕は、捨てられたんだろう」
流れ星に僕は、そんな言葉を投げかけていた。
僕は眠たそうに目を擦り欠伸を見せる幼い兄弟たちをベッドのある寝室へと連れて行く。
今すぐにでも眠りたいはずなのに子供たちは必死に起きていようと抵抗を繰り返す。
「ねぇねぇ、ウィルにいちゃん、絵本読んでよー」
「いいけど、眠くないの? ローダ」
眠くない、と口では言うものの、瞼はほぼ半分閉じている。
その必死さに僕は思わず微笑した。
ローダの隣で一緒に横になっているメリルも眠い目を擦りながら絵本の物語を今か今かと待ちわびているようだ。
仕方なく僕は子供たちがとくに気に入っている一冊の本を手に取り、ページを捲った。
「じゃあ、読むよ。昔々あるところに……」
僕はゆっくりと子供たちに読み聞かせる。
よくある昔話を綴った夢物語の一つだ。
一人の王子がある大陸に立ち寄るとそこには邪悪な魔王に支配されいる王国があった。
その国の王様が王子に助けを求める。
この国を支配する魔王を倒してくれと。
そして魔王によって捕らわれた最愛の姫を救い出して欲しいと。
もちろん王子はそれを了承して魔王退治の旅に出る。
途中、数人の仲間を得て、幾多の困難な道をくぐり抜けようやく王子たち一行は魔王の住む城へ到着し、仲間と力を合わせて魔王を撃退。
捕らわれのお姫様も無事に救出して帰還。
そしてお約束の王子とお姫様は恋に落ち、結婚。
幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
と、まあ、こんなお話を僕は数十回と幼い子供たちに読み聞かせている。
かく言う僕も幼い頃に義母であるマリーに何度もしつこくせがんで読んで貰った記憶がある。
だから本の内容は目を瞑ってでも読むことができる。
ローダやメリル、他の子供たちも同様にこの絵本の物語が大好きなのだ。
いや、読んでもらえることが嬉しいのかもしれない。
成長し、読む側となった今だからわかる小さな真実。
僕はふっと息を零した。
「……ようやく寝たかな?」
子供たちはいつの間にか深い眠りに落ちていた。
おそらく読み始めてすぐに眠りに落ちてしまったのだろう。
僕にも凄く身に覚えがあるから。
そっと本を閉じて、ベッドサイドのテーブルに本を置いた。
可愛い兄弟たちが風邪を引かない様に小さな腕を毛布の中に収める。
よほど深い眠りについているのか、少し動かしただけでは目を覚ますことはないだろう。
小さな額にそれぞれ触れる程度のキスを落とした。
なるべく音を立てないように蝋燭の灯ったランプを持って部屋の出口へ向かった。
扉から覗く子供たちの寝顔を最後まで確認しながら扉を閉めた。
丁度そのとき、別の部屋からもう一人の年長者であるマールが部屋からそっと出てきたところだった。
僕たちは小声で「おやすみ」と言い合い、それぞれの寝室へと戻った。
自分の部屋に入ってホッ、と息をつく。
時計へ目をやると既に九時を回っていた。
僕もそろそろベッドに入らなければならない。
明日も学校があるからだ。でもその前に僕は机へと向かった。
机の端にランプを置いて、一冊のノートを手に取り、開いた。
僕は日課で必ず日記を付けるようにしている。
今日あった出来事を簡単にまとめて書き出していくのだ。
楽しかった事、悪いことも、悲しい出来事も全て日記に書き出していく。
今日はレズリーとロガに本当の両親のことでからかわれた。
「本当の両親、か」
手を止めて、僕はふと、窓から覗く空を仰いだ。
今夜は星がよく見える。
明日もきっとよく晴れることだろう。
この空の下の何処かに、僕の本当の両親は生きているのかな?
夜空にふっと星が流れて落ちた。
流れ星だ。
「どうして僕は、捨てられたんだろう」
流れ星に僕は、そんな言葉を投げかけていた。
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