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第4章 腹ペコ幼女、森を行く
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「ふぃ~助かったぁ」
しんなりしたお化け鳥、襲ってくるときはすごく大きく感じたけど、しんなりした後は、くちばしだけは私の体を貫通する事ができるくらい大きいけど、体自体は小さくて細い。
「これ、食べれるところないよなぁ」
言った瞬間に、自分の言葉にびっくりする。
妖精女王に教わった。私の体の中にはハルの魂の欠片があって、それが飢餓的な空腹感を抱えていて、今の私に影響を与えていると。その影響なんだろうけど、しんなりとしている、まだ生きている鳥を食べると自然に発想した自分が怖い。
生き物を殺して、捌いて、その肉を得るなんて・・・。
そりゃ前の世界では鶏肉だって、豚肉だって、牛肉だって美味しくいただいていた。やる事は同じなんだろうけど、直接命を奪うことが食べることと、私の中で直結していない。
「ハル?大丈夫」
お化け鳥がくっついたままの石を抱えてボンヤリしていた私を心配して、ユルヘンが近づいていてきた。
「えっ、あっ、うん、大丈夫、ちょっと疲れただけだから・・・」
「そっか、でもハル凄いねぇ、弓もないのに鳥を捕まえちゃうなんて、本当に」
何気なくユルヘンが私の手からお化け鳥付きの石を受け取った。あまりにも自然な動きだったんで私も違和感なくユルヘンに石を手渡していた。
「変な鳥・・・、って、あっ」
するとユルヘンの背後にいた黒っぽい影から手が伸びてきて、その石を奪うと、お化け鳥の毛を毟り、ばくっと噛み付いた。
「ちょっ、ちょっとぉ、勝手に食べるなよ~」
な、なにっこの野性味にあふれた影は?よく見ると、私たちと変わらない体の大きさから子供の様に見える。毛の塊がふさふさの服を着ている。服から出ている部分が全体的に毛で覆われていて、指先がやけにかわいらしく短い。でもなにより違っていたのは、頭のつくりのほうだった。
「あの、なんで耳がそんなに長いの?」
思わず幼稚園の頃に語り聞かせで知った赤ずきんちゃんの言葉がよみがえる。
あれはおばあさんに成り代っていたオオカミが、赤ずきんを騙そうとしていたシーンだったっけ。
「んぐ、んぐ、はぁ、なんだお前、このあたりの奴で俺たち知らないのか?」
知らない、知らない。耳が頭の上に並んでピンと立っている人なんて知らない。
顔も毛で覆われていて、鼻がツンっと前に出ている。
「でもだって、それじゃあウサギさんみたいじゃない・・・?」
ユルヘンの影でお化け鳥をんぐんぐ言いながら咀嚼しているそれの顔は、私の知っているウサギそっくりだ。
体も二足歩行で立っているけど、服から出ている足も毛で覆われていて柔らかそう。
「ユルヘン?」
「ああ、彼らは兎人だよ、狩が得意で人と協力する事も多いんだ、村に下りてくることは少ないけど、森には集落もあるみたい」
ふ~ん、そうなんだ。さすが異世界ファンタジー、妖精さんが居るくらいだから、二足歩行するウサギさんがいても不思議じゃないのかな?
不思議の国のアリスに出てくる、丸っこい時計ウサギよりも、だいぶたくましいけどね。
「えっと、私はハルで、こっちはユルヘンだけど、兎人さんのお名前は?」
「ああっ?お前変な奴だな、兎人に挨拶なんてどこの世間知らずだ?まぁいいや、俺は狩人のブレフトだ、助けてもらったから、森の事なら何でも聞きな」
私たちと似たような子供の癖に、なんか偉そう!
私が捕まえたお化け鳥を、勝手に一人で食べちゃうし!
まあね、どうせ私にはガブリと噛み付くなんて事出来なかったけどさ・・・。
「ブレフト、君は何でこんなところに?」
「あ?えっと、まあな、訳ありでよ、獲物探していたらさ・・・」
むむっ、なんか変。狩人とか言ってるけど、もしかしたら
「ブレフト~?もしかしてだけど、貴方、狩出来なくて腹ペコで倒れていただけなんじゃないの?」
「ぶっ、なっ何を!そっそんな事あるわけないじゃないか!」
ありゃりゃりゃ、これは図星だったかな?
「えっ、そうなの?兎人って狩は得意って聞いていたけど」
「うっせいうっせい、兎人だって得意だったり苦手な事があるんだい!どうでも良いだろうっそんな事は!大体おまえらこそ、こんな時間に子供だけで森に来るなんておかしいだろっ」
確かにブレフトの言うとおりだ。私もユルヘンも十代に満たない子供。夜の森に居ていい筈がない。
でも、私にはお父さんを助ける使命があるんだ。
「あのねブレフト、僕たちはアーベさんの狩小屋に向かっているんだ、このハルのお父さんが怪我したって聞いたからさ」
「お父さん?ふんっ確かにあの小屋に数週間前から別の人が来たって話はきいたな、なんだよ怪我とか、やっぱり狩はあの人くらいで、他は駄目なんだな」
ブレフトの口ぶりから、兎人さんたちの間でもアーべ叔父さんが知られていることがわかる。しかも割りと好意的に。けっこうすごい人なんだな、あのアーべ叔父さんって人。領主さんとも知り合いみたいだし、ユルヘンも憧れていたって言ってたし。
「そんな言い方するなよ、ハルのお父さんだってすごい人なんだぞ、町で盗賊三人を追い返したって聞いたし」
わぁお、赤髪お父さんもただの人じゃないみたい。盗賊三人追い返す農夫って、それは凄いと思う。不良漫画のヒーローみたい。
「ふんっ町なんか行ったことないから知らねぇよ、俺らは森で生きてるんだからさっ」
「森より町は凄いんだ、人も一杯居て、銅貨だって使えるんだぞ」
なんか、ユルヘンとブレフトが意地の張り合いみたいになっちゃってる。
クラスでもあったなぁこんな事。私は傍観していただけだけで、巻き込まれないようにしていたけど
「ねぇブレフト、ユルヘン、町とか森とか、どうでもいいの、今はお父さんの居る小屋に向かいたいの」
「そうだね、ごめんハル」
「へっ、小屋の場所ならもうすぐさっ、オーライル・フィルの礼だ、ついてきな」
ブレフトがユルヘンを押しのけて歩き出す。
ちょっとムッとした顔をしたユルヘンだったけど、暗闇で私がはぐれない様に服の裾を掴むと、ムッとした顔を止めて、いつもの優しそうな顔に戻った。
本当、男子って単純で、面倒くさい・・・。
しんなりしたお化け鳥、襲ってくるときはすごく大きく感じたけど、しんなりした後は、くちばしだけは私の体を貫通する事ができるくらい大きいけど、体自体は小さくて細い。
「これ、食べれるところないよなぁ」
言った瞬間に、自分の言葉にびっくりする。
妖精女王に教わった。私の体の中にはハルの魂の欠片があって、それが飢餓的な空腹感を抱えていて、今の私に影響を与えていると。その影響なんだろうけど、しんなりとしている、まだ生きている鳥を食べると自然に発想した自分が怖い。
生き物を殺して、捌いて、その肉を得るなんて・・・。
そりゃ前の世界では鶏肉だって、豚肉だって、牛肉だって美味しくいただいていた。やる事は同じなんだろうけど、直接命を奪うことが食べることと、私の中で直結していない。
「ハル?大丈夫」
お化け鳥がくっついたままの石を抱えてボンヤリしていた私を心配して、ユルヘンが近づいていてきた。
「えっ、あっ、うん、大丈夫、ちょっと疲れただけだから・・・」
「そっか、でもハル凄いねぇ、弓もないのに鳥を捕まえちゃうなんて、本当に」
何気なくユルヘンが私の手からお化け鳥付きの石を受け取った。あまりにも自然な動きだったんで私も違和感なくユルヘンに石を手渡していた。
「変な鳥・・・、って、あっ」
するとユルヘンの背後にいた黒っぽい影から手が伸びてきて、その石を奪うと、お化け鳥の毛を毟り、ばくっと噛み付いた。
「ちょっ、ちょっとぉ、勝手に食べるなよ~」
な、なにっこの野性味にあふれた影は?よく見ると、私たちと変わらない体の大きさから子供の様に見える。毛の塊がふさふさの服を着ている。服から出ている部分が全体的に毛で覆われていて、指先がやけにかわいらしく短い。でもなにより違っていたのは、頭のつくりのほうだった。
「あの、なんで耳がそんなに長いの?」
思わず幼稚園の頃に語り聞かせで知った赤ずきんちゃんの言葉がよみがえる。
あれはおばあさんに成り代っていたオオカミが、赤ずきんを騙そうとしていたシーンだったっけ。
「んぐ、んぐ、はぁ、なんだお前、このあたりの奴で俺たち知らないのか?」
知らない、知らない。耳が頭の上に並んでピンと立っている人なんて知らない。
顔も毛で覆われていて、鼻がツンっと前に出ている。
「でもだって、それじゃあウサギさんみたいじゃない・・・?」
ユルヘンの影でお化け鳥をんぐんぐ言いながら咀嚼しているそれの顔は、私の知っているウサギそっくりだ。
体も二足歩行で立っているけど、服から出ている足も毛で覆われていて柔らかそう。
「ユルヘン?」
「ああ、彼らは兎人だよ、狩が得意で人と協力する事も多いんだ、村に下りてくることは少ないけど、森には集落もあるみたい」
ふ~ん、そうなんだ。さすが異世界ファンタジー、妖精さんが居るくらいだから、二足歩行するウサギさんがいても不思議じゃないのかな?
不思議の国のアリスに出てくる、丸っこい時計ウサギよりも、だいぶたくましいけどね。
「えっと、私はハルで、こっちはユルヘンだけど、兎人さんのお名前は?」
「ああっ?お前変な奴だな、兎人に挨拶なんてどこの世間知らずだ?まぁいいや、俺は狩人のブレフトだ、助けてもらったから、森の事なら何でも聞きな」
私たちと似たような子供の癖に、なんか偉そう!
私が捕まえたお化け鳥を、勝手に一人で食べちゃうし!
まあね、どうせ私にはガブリと噛み付くなんて事出来なかったけどさ・・・。
「ブレフト、君は何でこんなところに?」
「あ?えっと、まあな、訳ありでよ、獲物探していたらさ・・・」
むむっ、なんか変。狩人とか言ってるけど、もしかしたら
「ブレフト~?もしかしてだけど、貴方、狩出来なくて腹ペコで倒れていただけなんじゃないの?」
「ぶっ、なっ何を!そっそんな事あるわけないじゃないか!」
ありゃりゃりゃ、これは図星だったかな?
「えっ、そうなの?兎人って狩は得意って聞いていたけど」
「うっせいうっせい、兎人だって得意だったり苦手な事があるんだい!どうでも良いだろうっそんな事は!大体おまえらこそ、こんな時間に子供だけで森に来るなんておかしいだろっ」
確かにブレフトの言うとおりだ。私もユルヘンも十代に満たない子供。夜の森に居ていい筈がない。
でも、私にはお父さんを助ける使命があるんだ。
「あのねブレフト、僕たちはアーベさんの狩小屋に向かっているんだ、このハルのお父さんが怪我したって聞いたからさ」
「お父さん?ふんっ確かにあの小屋に数週間前から別の人が来たって話はきいたな、なんだよ怪我とか、やっぱり狩はあの人くらいで、他は駄目なんだな」
ブレフトの口ぶりから、兎人さんたちの間でもアーべ叔父さんが知られていることがわかる。しかも割りと好意的に。けっこうすごい人なんだな、あのアーべ叔父さんって人。領主さんとも知り合いみたいだし、ユルヘンも憧れていたって言ってたし。
「そんな言い方するなよ、ハルのお父さんだってすごい人なんだぞ、町で盗賊三人を追い返したって聞いたし」
わぁお、赤髪お父さんもただの人じゃないみたい。盗賊三人追い返す農夫って、それは凄いと思う。不良漫画のヒーローみたい。
「ふんっ町なんか行ったことないから知らねぇよ、俺らは森で生きてるんだからさっ」
「森より町は凄いんだ、人も一杯居て、銅貨だって使えるんだぞ」
なんか、ユルヘンとブレフトが意地の張り合いみたいになっちゃってる。
クラスでもあったなぁこんな事。私は傍観していただけだけで、巻き込まれないようにしていたけど
「ねぇブレフト、ユルヘン、町とか森とか、どうでもいいの、今はお父さんの居る小屋に向かいたいの」
「そうだね、ごめんハル」
「へっ、小屋の場所ならもうすぐさっ、オーライル・フィルの礼だ、ついてきな」
ブレフトがユルヘンを押しのけて歩き出す。
ちょっとムッとした顔をしたユルヘンだったけど、暗闇で私がはぐれない様に服の裾を掴むと、ムッとした顔を止めて、いつもの優しそうな顔に戻った。
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