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We witch you a happy halloween!!
We witch you a happy halloween!!【1】
しおりを挟む「さて、色好い返事がいただけたところで……到着しましたよ、カリン」
パックの声が耳を擽った。報告サンキュー、でもいちいち顔を近付けんでいい。いい人なのは間違いないけどパーソナルスペースが猫の額なんだよ。
私? たぶん想像の通り。毎朝乗ってようと満員電車は安らげない。そろそろ内臓zipファイルになってるんじゃないかな。心臓と肺が一体化してたりして。HAHAHA。ちっとも笑えねぇ~!!
「危険人物に遭遇せずに済んでよかった」
「ね。こんな時間だから心配してたけど、一人もいなくて運が良かったね」
いまのヴィニーの『一人もいなくて』っていうのは『不審者に遭遇しなかった』って意味なんだろうけど、ここに来るまで誰ともすれ違ってない。それどころか人の気配も感じなかった気がするんだけど、考えすぎ……だよね?
「こんな日もあるんだねぇ」
パックは『五分も歩けば到着する』だかなんだかって教えてくれた記憶があるけど、着いてみれば体感一分くらいだったな。一分はないだろうけど、五分もかかってない。たぶん。
つまり、パークのアトラクと待ち時間と同じ方式。実際にかかる時間よりも長めに伝えておいてくれると、ちょっと得した気分になれるからいいよね。そういうホスピタリティ最高。私も見習いたい。
聞いてるか、物件探し中の『駅から○○分』的な謳い文句。お前たちは絶対に許さない、絶対にだ。
「みんなありがと。結構近いんだね」
もう用は済んだわけだし、手離してもいい頃合いだと思うんだけど、肝心のパックは私の手を離す気配がない。繋いだ手をぶんぶん振ってアピールしても、もっと強く握り返されただけだった。
「ええ、そうでしょう」
いや、そうだけどそうじゃねぇよ。逆逆。こんなときまで律儀にボケなくていいって。まぁ減るもんでもないし、気が済んだら離してくれるでしょ。てなわけで、ひとまず放置決定。
「うふふ、駅チカっていいよねぇ」
そういやコンビニ寄る隙もなかったけど、結局みんなのゴリ押しでお菓子作る事になっちゃったし、その必要もないか。初めて通る道だからよく見ておこうと思ってたはずなのに、会話に集中しすぎてあんま周囲に気を配る余裕がなかったのが心残り。あと、からあげクンの期間限定フレーバーも。
てか、ぶっちゃけどこをどんな風に通ったか見てないから、現地解散だったら詰む。帰りは駅まで送ってもらおう……と固く誓ったところで、いっちょ連れてこられた場所とご対面といきますか!
「…………おお! キレーだしめっちゃ広い!」
目の前の光景に思わず息を吞んでしまった。お洒落なフェンスに囲われた洋館を実際に見たのなんて、神戸の異人館に行って以来かもしれない。
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