“Boo”t!full Nightmare

片喰 一歌

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We hope your Halloween is a ”Treat”!

We hope your Halloween is a ”Treat”!【47】

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「あれこれ申し上げましたが、私たちはそういった生前の未練を抱えた方々よりも劣った存在です。ここにいる四名は、ですから」

 表情を引き締めて続きを話すパックは、意気揚々とボケを連発していたあのパックと同一人物とはとても思えない。

「本来であれば、私たちは与えられた生を謳歌すべきではないのかもしれません。ただただ復讐のためだけに命を――この命を正規の命ほんものと見做せるか否かについても疑問は残りますが――燃やすべきなのかもしれません。そうでなくては、皆の代表として示しがつきませんからね」

 彼が語る言葉に胸がズキズキ痛むのは、同族の行動が彼らを生み出してしまったことに対する罪悪感をおぼえているせいだろうか。
 
 それとも、時折見せる人外めいた価値観や類稀なる美しさを除けば、彼らが普通の人間のようにしか見えないからだろうか。一緒に過ごした時間がそのまま情に変換されてしまっているせいだろうか。

「……ああ、すみません。関係のないことまでお話ししてしまいました」

 ――――パックが私のほうを見て一瞬だけはっとしたことになんて気付かなければよかったのに。きっと彼は私の反応を見て、まだ続けるはずだった話をやめてしまった。
 
「パックってさ、人間より人間っぽいこと言うね?」

「おや? そうでしょうか? ……喜べばいいのか怒ればいいのかわからないご感想ですね」

 パックは白い手袋を付けた手を口元に持って行った。
 
 いままで会った人の中で最も上品に笑う彼のその仕草を、私はあと何回見ることができるのだろう。彼はその手の下で、口角を下げたり歯を食い縛ったりはしていないだろうか。

「あ……そっか! そうだよね!? なんかすごく嫌な思いさせたかも……。ごめん…………!」

「いえ。私が人間たち…………ああ、大丈夫。貴女の事ではありません。……に近しいというのは、私自身も痛感しております。ようで」

 それはいずれ――――あと数時間後に迫った別れを見据えての言葉なのではないかと思ったけど、残念ながら私たちはそこまで突っ込んだことを聞く間柄ではない。コンビはコンビでも、数時間後に自動的に解散することが決定付けられている未来のない相方だ。

「…………話を戻しましょうか。どれだけ飾り立てようと、冥界は冥界です。そして、冥界というのは言わずもがな。行き場のない死者たちのための場所です。安息の地など存在しません。どこへ行っても死者の念が充満しています。彼らにとっては、酸素のようなものかもしれませんね。彼らというか我々もでしょうか。念の濃い場所では、我々も調子がいいですから」

「言われてみればそうかも! 嫌~な雰囲気の場所に限って元気に動き回れちゃうんだよね~。普段は結構忘れてるけど、そういうときに『そういえば、命なんてないのに生き物の真似してるんだったな』って思い出すよ。……でもさ、自分以外の念で強化されるとか、なんかかっこいいよね♪」

「生存戦略のための進化と考えてもかっこいいな」

「命もないのに、生きてる人たちと出会えるのもラッキーだよねぇ。うふふふ」

 私自身は復讐の対象から外れるということもあってか、四人はとても和やかに会話している。自身の成り立ちや在り方をありのまま受け止めている彼らのほうが生者の私より生き生きしているように見えて、私のほうが概念的にはよほど死者に近いのかもしれないと思った。
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