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夕顔別当
第二十二夜
しおりを挟む「別のトコって、どこ? 胸? お腹?」
だが、紅さんはまだまだ首を縦に振ってはくれない。
今までの相手だったら、露出した隙間から手を滑り込ませていたかもしれないが、今夜の彼女はなかなかどうして手強い。
「紅さんが吸ってくれるなら、どこでも……」
「胸だったら良い。けど、翠、敏感そうだし。そしたら、下も欲しくなっちゃいそう」
なんともピントのズレた心配をするものだ。
発言者が彼女でなければ、殆ど膨らみのない胸を遠回しに揶揄しているのかと思っていた事だろう。
「ええと、つまり……『突っ込むブツがないからダメ』って言いたいんですか? 私、そんな性欲オバケに思われてます? まあ、否定は出来ませんけど。……今はなんか、デカすぎず短すぎずカリ高で女の欲望に従って作ったバイブみたいな完璧で凶悪なブツより、指とか舌とかの方が欲しいかなあ……みたいな……」
私にしてはオブラートに包んだ物言いを選べた方と思うが、それでも内容が内容だけに『何を言っているんだ』という印象は拭えない。
「嬉しい。……けど、今はやめとこ?」
「どうしてですか?」
「さっき、気付いたけど……血の匂い、してる気がする。トイレ行って来た方が良い。多分、まだそんな出てないし。棚の中にナプキンと、予備のパンツも置いてたと思う。使って良いよ」
視線を下に遣った彼女が何を言いたいかは明白だった。
「生理来るの、もう少し先だと思ってたんですけど……紅さんの嗅覚を信じて、行ってきますね」
思えば、首元とも胸元ともつかない場所を軽く吸われた程度でアソコが切なくなってしまったのも、ホルモンバランスが変わったせいだったのかもしれないし、そもそも寝不足で周期が乱れてしまったという可能性もある。
「良かった。無事……」
トイレの個室に駆け込んだ後、ズボンとパンツを同時に下ろしたが、赤い血は付着しておらず。
「…………だけど、無事じゃ……ない。鼻良いな、紅さん」
半信半疑で局部を拭ってみると、トイレットペーパーの真ん中辺りが茶色いカスで汚れていた。
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