カラメリゼの恋慕

片喰 一歌

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疑惑

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「応よ。なにぶん量が多いが……。その腹に全部……収めてくれるか?」
 
「うん。欲しい、欲しいの…………。いっぱい出して…………」

 情けなく腰を押し付けて懇願したが、自分の意思で動かしているのか、勝手に揺れてしまっているのかももうわからない。

「顔が見れねェのが残念だ」

 重く深く打ち込むようだったピストンは、いつしかペースアップしていた。きっともうは近い。

「明るくしてもう一回しようよ。私も貴方の顔と身体、見たいし……♡」

 視界を可能な限り暗くした現在の状態は、鍛え抜かれた肉体を味わうのにはうってつけだが、表情の推移や筋肉の躍動を確かめることは出来ない。

「言ったな? その服引っぺがして、隅々まで見てやるから覚悟しとけよ?」

「いいよ。いっぱい見て……。今日はまだ触ってくれてないとこも触ってね」

 ぽよぽよしていたお腹に作ったくびれも。やっとのことで引っ込めたあばら骨も。あまり成長していない胸も。見て、触って、私を感じてほしい。

「そういや、上も下も全然だったか。いいぜ。……オレも触ってもらいてェ場所があるんだが、いいか?」

 私が返事をする前に、彼は縛めを解いてくれた。

「うん。どこでも触るよ」

 元より断る気はなかったのに。せっかくだ。指を曲げ伸ばしして、滞っていた血の巡りをよくする準備運動でもしておこう。

「ありがとよ。ってなわけで…………。お前さんの腕でオレに抱き着いちゃくれねェか? 首でも背中でも好きな場所で構わねェんだ」

 照れたように小声で並べられた願い。彼はきっとはにかんでいる。

「了解」

 少し考えて、腰元に手を伸ばした。

「…………そっちでも欲しがってんのか♡♡ たまげたねェ……♡」

「そういうこと。全然出なかったら許さないから。私以外で抜いたら、この手でちょん切ってあげる」

「おいおい、おっかねェな♡ いつからんな物騒になったよ?♡ ……お前さんのほうこそ、そのへんのオトコと浮気してんじゃねェのか……?」

 最初は明るかった声色に、だんだんと不穏な影が差してきた。――が、実はこれも計算通りだ。

「してないよ。私の、貴方から、作ってくれてもいいけど……?」

「…………最初っからそういう魂胆かい。また一杯食わされちまったなァ。素直に言やあいいだけなのに」 

 口の周りまでベタベタになるキスが繰り返し行われる。最後のひと押しさえあれば、彼は絶頂を迎えられるはずだ。
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