カラメリゼの恋慕

足の置き場所

「ん゛♡♡ も……、無理……だ、ってぇっ♡♡」

　歩行時の刺激も、今考えたら、この状況に移行する前の『慣らし』段階だったのかもしれない。

「…………っ、ハハッ♡♡ 男勝りなお前さんが、一端の嬢ちゃんみてェに可愛くなっちまうのは見ものだねェ♡♡」

　私を抱えたまま立ち、前後に腰を振る彼は、そろそろ疲労が浮かび始めてもいい頃だと思うが、全身に流れる大量の汗を除いて、まだまだ余裕がありそうに見える。

「悪かったね、可愛くなくて……♡」

「誰がいつ『可愛くない』なんつったよ？♡♡」

　ひときわ深い突きが襲った。

「んっ♡♡」
　
「そのギャップがいいんだろうが♡ 普段はキリッとして恋人オレにも媚びねェのに、セックスんときはしおらしくなっちまって…………♡ どっちのお前さんも可愛いさ…………」　

「ぁあっ♡ 普通、突きながらそういうこと言う……？♡♡」

「おいおい♡ オレが普通じゃねェのは、お前さんもよく知ってるだろ？♡ 足でガッチリ固定して、お前さんだって普通じゃねェオレのこと愛してんだろうが」

　動きを制限された彼は、鬱陶しがるどころか息を弾ませて嬉しそうに笑んだ。

「足……は、だって…………このほうが安定するし…………♡♡」　

「動きやすくて助かってるよ♡♡ けど、媚びてくれてるわけでも、ねだってくれてるわけでもねェのか？♡」
　
「…………ううん、そうだよ。媚びてるし、ねだってる。自分でも意味わかんないくらい、貴方のがここに欲しい……」

　首元から漂う香りは、きっとどんな自白剤より強力に違いない。
　
「愛してる……。貴方じゃなきゃ嫌だ……。こんな、毎回……何年も待たされて、ろくに旅行も出来ないのに……。貴方以外と恋愛したいって思えないの……！」

「ありがとよ♡」
　
「だから、責任取って、私のこと愛して！　これからもずっと……。どんなに遠くにいても…………」　

　決して臭いわけではないが、オトコというよりオスという感じのフェロモンが出ているとしか思えない香りに、猛攻を受ける場所のさらに奥が反応している。

「……口ん中ズタズタにしたくなきゃ、黙って耐えてるこったな……♡」

　彼には私以上に内部の動きがわかるのだろう。肉と肉が激しくぶつかる音の中、腹の奥に何かが漏れる感覚をおぼえた気がした。