363 / 489
アフター・アフター・レイン・トーク
アフター・アフター・レイン・トーク<CXVIII>
しおりを挟む「…………きみってば、甘いにおいさせて、柔らかい身体ぴったりくっつけてきちゃってさ……♡♡ 終わったらやっと生殺しから解放されると思ってたのに、今度は『抱かれたい』なんて言い出してくれちゃって♡ 確かに、俺だって映画観てたときみたいなイチャイチャで終わらせるつもりは最初からなかったよ?♡♡ きみのことおいしく食べちゃおうと思ってた♡♡ だけど、急いだり焦ったりすることじゃないし、一気に進めちゃおうとも思ってなかったけどね♡ でも、さっきからのきみ見てたら、最後までしちゃってもいいんじゃないかって気がしてきて……♡♡」
言葉を切った彼の口角は上がったままだ。左右対称とは言いがたく、左のほうがやや上にきているように見えた。整ったものが少しだけ歪に形を変えるさまは、どうしてこうも美しいのだろう。わたしは彼の作り出した不穏な美に魅せられていた。
(『最後』…………。彼のがわたしのなかに入ってきてひとつになるところまで……だよね?♡♡ ……やっと今日、わたしは彼のものになれるの……?♡♡)
「きみには俺がなにに見えてるかわからないけど、いまの俺、腹ぺこの狼みたいな感じだよ?♡♡」
「狼……? ……君が?」
「そう、狼♡♡ 動物あんまり詳しくないけど、人間だってお腹空いてるときって凶暴に……凶暴までいかなかったとしても多少機嫌悪くなったりはするし、お腹ぺこぺこの状態で御馳走出されたら、がっついちゃったするものなんじゃないかな? 我慢の限界で『いただきます』も忘れてがぶっと齧り付いて、お口の周りが汚れてもそのままお腹が膨れるまで食べ続けたりして……♡♡ 食欲が落ち着く頃には、お皿の上はなんにもなくなってるかもしれないね?♡♡」
話を終えた彼は、たったいま食事を終えたかのように舌なめずりをした。唾液で艶めいた唇から目が離せない。口元ばかり見ていては、わたしの願望が彼にも伝わってしまうのに。
「君もそうなるかも…………ってこと?」
「そういうこと♡ 俺、ずっと抑えてたんだよ?♡♡ そのせいで映画の内容半分くらいしか覚えてない♡♡ 『せい』って言っちゃったけど、きみのせいにしたいわけじゃないよ?♡ きみのかわいいところにいちいち欲情しちゃってる自分の責任♡♡ でも、赤ずきんちゃん…………赤ずきんってよりうさぎかな?♡♡ 子うさぎちゃんは俺に食べられちゃいたいみたいだから、『待て』ができたご褒美も兼ねて、きみのことたくさん舐めさせてよ…………♡」
(趣旨変わっちゃってないかなぁ!?? わたしが保湿サボってないかどうか確かめるみたいな話が、どうしてこんなことになっちゃってるの…………!)
綺麗な顔が急接近してきて、身体がどんどん後ろに逃げてしまう。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる