三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

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アフター・アフター・レイン・トーク

アフター・アフター・レイン・トーク<CXXX>

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「あはは♡ ありがとう♡ 気持ちだけありがたく受け取らせてもらうよ♡♡」

「遠慮しないでいいのに…………」

「遠慮してるわけじゃないよ♡ 枕になんてしちゃったら、せっかくのふわふわ感がなくなっちゃうかもしれないし、小さくなっちゃったらもっと悲しいもん♡♡ 俺、きみのことぎゅーってするときにおっぱいがむにゅって当たるのすごく好きでさ♡♡ こうして……こう♡ これこれ♡♡ これだよ♡♡」

 ボタンこそいくつか外れているものの、まだなにも脱いでいない彼がいつものようにふわっと抱き締めてきた。

 直に感じるシャツの質感は、当たり前だけれどさらっとしていた。接触冷感タイプではないと思うけれど、素肌にはその素材が少しひんやりとして感じられた。

(君は脱がないの…………?♡ 君の肌はシャツと違ってあったかいよね。……あったかいじゃなくて熱いかも……。この前は遠慮して触らないようにしてたんだと思うけど、あのときから裸で抱き合ってみたかった。今日は?♡ 今日は裸になってぎゅーってしてくれる……?♡)

 ふたりの身体には隙間なんて最初から存在していなかったのではないかと思うほど、彼はわたしの身体を自分のほうに引き寄せ、同時に彼の身体を押し付けてくる。
 
「それにさ……♡ ここに頭なんて載っけてたら、ちゃんとかわいがってあげられないでしょ?♡♡ 俺はきみのここを枕にするよりも、揉んだり吸ったり舐めたりさせてほしいと思ってるだけ♡♡」

 潰された胸はただでさえ甘く疼いて仕方がないのに、具体性を持った言葉で妄想まで掻き立てられてしまった。そのどれもがこっそり考えていたことだ(し、妄想の世界では毎回とても気持ちよくさせられてしまっている)けれど、本物の彼にされてしまったらどんなに――――。

「…………えっち♡」

 本人を前にしての妄想を止めたのは、その妄想の犠牲者である彼自身の行動だった。彼はブラジャーに守られた右の胸を覆ったかと思うと、むにゅんっとひと揉みしてきた。

「なんとでもどうぞ♡♡ ……早くチェック終わらせて、たくさん触らせてもらおうっと♡♡ 大丈夫♡ そんなに時間かけてねちねちしたりはしないから♡」

 しかし、彼はそのことを咎められてもどこ吹く風で、赤い赤い舌を口から出した。

「…………お肌のチェックする前にキスしたい♡♡ ふかいの……♡」

「俺もしたいと思ってた♡♡ じゃあ、とびっきり濃厚なキスしちゃおっか♡♡ ……大好きだよ……♡」

 思いきって首に腕を回して受け止めたキスは、少し大人な味がした。
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