三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

文字の大きさ
387 / 489
アフター・アフター・レイン・トーク

アフター・アフター・レイン・トーク<CXLII>

しおりを挟む

「ビッグサイズ先輩を帰らせたあと、『危ないから送っていくね』なんておせっかいまでしちゃって…………♡ 送り狼になる気はなかったけど、頭の中はお姫様を裸にして一緒に気持ちよくなる妄想でいっぱいだったんだよ?♡♡」

(彼はどんな妄想してたんだろう……?♡ というか、いつもどんな妄想してるんだろう……?♡ 『裸』って言ってるし、着たままより脱がせてするのが好きそうなのは伝わってきたけど…………♡ 自分は着たままがいいのかなぁ。でも、さっきの話聞いてる感じ、ふたりとも裸でするのが好きそう……♡♡)

 生まれたままの姿になった彼を思い描こうとしたけれど、いつも見えている顔以外でいままで見たことのある彼の身体のパーツは、首元と両肘から下くらいのもので、シルエットを予想するのが関の山だった。

「一緒に気持ちよくなる妄想?♡ ……ほんとに?♡」
 
「ほんとだよ♡♡ きみを助けた週の俺が勉強も手につかなくて大変だったことなんて知らないでしょ?♡ 少し油断してると、きみとエッチなことする妄想で頭いっぱいになっちゃって……♡ 夢にまで出てきちゃうし、毎日のように無精しちゃうしであのときは大変だったなぁ♡♡ あのすぐあと中間試験だったんだけど、あのときはさすがに連続総合1位記録途切れるかと思ったよ♡♡」

 回想を続ける彼は当時の夢の内容も思い出しているのだろうか。すぐ近くで聞こえる声が低くなり、耳の奥に重く響いた。

「いまは?♡ ……もう落ち着いちゃった……?♡♡ わたしとえっちなことする妄想…………してないわけじゃないみたいだけど、前ほどじゃない? いまはわたしとふたりっきりだから、そういうことも考えてるよってだけ……?」

「そんなわけないって♡♡ 俺は出会った日からいまもずっと、きみのこと抱きたくて気が狂いそうだよ…………。頭のなかでは何回もめちゃくちゃにしちゃってるし、たまに本気で泣かせちゃってるけど、現実では優しくしないとなぁって思ってる。でも、本当に優しくしてあげられる自信は全然ない♡ そのくらい余裕ないってこと♡♡ ……好きなんだ。本当に大好きで、愛してて…………。あの頃よりいまのほうが切実に『きみのこと抱きたい』って思ってる。だから、もし本当に抱かせてもらえるってなったら、抑えてた分激しくしちゃうかも……♡ それでも、きみは俺に抱かれたい……?」

 再び後ろから抱き締められる。きっと彼が自分を落ち着けるためにしている深呼吸がかえってわたしの欲に火を点けて、触れられていない部分も含めて全身がかっかしてきた。

「………………うん。抱いてほしい……♡」

「ほんと?♡♡」

 彼はデクレッシェンドがかかっているにも程がある返事をきっちり聞き取り、顔を覗き込んできた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

処理中です...