三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

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アフター・アフター・レイン・トーク

アフター・アフター・レイン・トーク<CXCI>

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(『女の子のと違って』? …………そうかなぁ。女の子のも、相当怖い見た目してると思うけどな……? 自分のはじめて見たとき、『食虫植物みたいだなぁ』って思っちゃったし、『手鏡使ってまで確認しなくてよかったかも』って後悔した記憶もある…………。彼が女の子の大事なところを怖いとか気持ち悪いとか思ってないってことはわかったし、安心したけど……。でも、ここって人によって形全然違うんだっけ? 元カノさんたちのと全然違って、グロくて気持ち悪いって思われちゃったら?)

 不安を顔に出してしまっては、口を噤んだ意味がなくなってしまう。

「……ん?♡ 甘えたくなっちゃったのかな?♡♡」
 
 あたたかい胸に顔を擦り付けたら、頭上から甘い声が降ってきた。

(でも、彼って意外と変わってるところあるし…………。めちゃくちゃ許容範囲広いし……案外平気そうな気もする)
 
「…………おーい? 黙っちゃってからしばらく経つけど、大丈夫? ……返事ないってことは、それだけ真剣に考えてくれてるってことかな。変な質問しちゃったと思ったけど、こんな変なことでも真剣になってくれて嬉しいな……♡ もうちょっとしたら、もう一回声掛けるね?♡♡ ……俺はどうしようかな?♡♡ シンキングタイムのあいだ、かわいいお顔見てようかな♡♡ 隠したりはしないけど、逸らされたりはするから、意外と照れてる以外のお顔ってまじまじ見られないんだよね♡♡」

 考え事に集中しているせいで聞き取れないけれど、彼がわたしを見てなにか話しているのはなんとなくわかった。

(男のひとのは…………どうだろう? 元カレたちのはあんまり大きくなかったし、舐めさせられてるとき……と、挿れられてるときも見ないようにしてたから怖い感じはしてなかったけど、あんまり大きいと怖くなっちゃうかも。……彼のはどのくらいかな? 女の子よりかわいいお顔してるし、そこまで大きくなさそうだけど…………。どんな感じでも、彼のならいろんな方法で気持ちよくしてあげたいな……♡♡ わたし、いつからこんなえっちな子になっちゃったんだろう?)

「…………そろそろ答えられそう?♡ ……考えまとまった?♡」

 顔を上げ、じぃっと見つめていたら、微笑みかけられた。優しげな笑顔の裏に見え隠れしているのは、まだ私が知らない彼の一面だろうか。

「………………あるよ?♡ 自分から『舐めたい』と思う日が来るなんて思ってなかったけど、君のは舐めてみたい……♡ 『下手くそ』って言われてるから、気持ちよくしてあげられないかもしれないけど…………」

 ふたつの瞳の奥にちらちら揺らめく焔に誘われ、再び胸板に指を滑らせながら正直な気持ちを伝えた。
 
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