三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

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アフター・アフター・レイン・トーク

アフター・アフター・レイン・トーク<CCIII>

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(……む、むむむ……、胸板…………、胸板が……! 彼の胸板が私の胸と直に…………!!! 思いっきり乳首押し付けちゃってる……! どうしよう? 身体離したほうがいいよね!? ……でも、まだもう少しだけ……♡♡ ぎゅーってしててほしい……♡♡ いいよね?♡ あと少ししたら、ちゃんとどくから……♡ あと少しだけ、このままで…………♡♡)

「…………おーい? 固まっちゃってるけど、大丈夫?」

 肩をとんとん叩いて呼びかける彼はいつもどおりだ。

「へ……平気! びっくりして…………あと、君にぎゅーってしててもらいたくて、どけなかっただけだから……♡♡」

 優しく気遣ってくれる彼に少し肩透かしを食らいつつ、どさくさ紛れに本音を添えた。

「えぇ?♡♡ なにそれかわいすぎ♡♡ それなら、もっとぎゅーってしていいかな?♡ いいよね?♡」
 
 返事をするより早く腕に力がこもった。

(さっきまでは『ぎゅっ』って感じだったけど、いまはほんとに『ぎゅー』ってしてくれてる……♡♡)

「………………て」

 しばらく無言で抱き合うだけの時間が続いたあと、彼がなにかを呟いた。

「え?」

「おてて、そこでいいの?♡♡ ……きみはいいのかもしれないけど、俺はそこに置かれてると……ちょっと寂しいなぁ…………」

 聞き返したら、彼が睫毛を伏せた。

 長い睫毛が作り出す影は彼の持つ美貌をいっそう際立たせていたけれど、影の長さゆえにより寂しい印象を受けた。

「……じゃあ、こっち……♡」

 マットレスにつけていた手のひらを裏返して、彼の背中にそっとくっつける。

 ただそれだけのことなのになんだか気恥ずかしくて、はじめてハグをした日みたいにぎこちない触れ方になってしまった。

「あはは♡ ごめんね、ぎゅーってさせちゃった♡♡」

 すると、彼はもう一度、わたしを抱き締め直した。もっと強く抱き着いてもいいということだろうか。

「ううん、わたしがしたくてしてるから……♡」

「そっか♡ ……嬉しいなぁ♡♡ ねぇ、いま思ってること言ってもいい?♡♡ はじめてどっちも上裸でぎゅーってした感想♡」
 
「どうぞ……?♡」

「きみのおっぱい、ふわふわだね♡♡ 先っぽは硬くなってるみたいだけど…………♡♡」

「……恥ずかしい♡」

「大丈夫♡ 俺とお揃いだから♡♡」

 背中を丸めて先端の感触が伝わらないようにしようとしたけれど、それを予測していたらしい彼が両腕で肩を固定してきた。

「…………でも、君は胸板もしっかりしてるから、硬くなっててもわかりにくいもん……。なんかずるい……!」

「わかりにくくてずるい?♡♡ じゃあ、直接触ってみてもいいよ?♡ 俺はきみのおっぱい触らせてもらったことあるけど、きみは俺の乳首触ったことなかったもんね♡」

 恥ずかしさのあまりおかしなことを口走ってしまったと反省していたら、そっと身体を離した彼が提案してきた。
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