三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

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DESTINY CHAIN

DESTINY CHAIN<III>

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「無言なのは集中してただけでしょ♡♡ 触っちゃったのは、興味があったからで…………♡♡ どっちも別に謝ることじゃないよ♡ 俺はきみが『知りたい』とか『触りたい』って思ってくれてて、本当に嬉しいし♡」

 引っ込めたときのままの、やや丸まっていた手を内側から開いていくように、長い指が絡められた。

「……完璧な言語化なそれであってるんだけど……♡ 言葉にされると恥ずかしい……♡♡」

 手から、声から伝わってくるぬくもりが擽ったくて、下を向いてしまう。

 けれど、木漏れ日のような眼差しが依然わたしに注がれていることは気配でわかった。

「あはは♡ そっかそっか♡♡ ごめんね。……ところでさ、知りたいことはわかった?♡♡」

「……え?」

 発言の意図を掴めればと思い、顔を上げた。

「さっきのは本当に一瞬だったから、きみの疑問がちゃんと解決してたらいいなぁと思って♡♡ もう1回触って、確かめてみる?♡ 解決しててもしてなくても、俺は大歓迎だよ?♡ 気が済んだなら、それはそれで全然構わないんだけど♡♡」

 彼の視線は下方に向いていた。それも、わたしの下半身ではなく彼の身体のほうを。

(『もっとがっつり触ってもいいんだよ♡』ってこと…………?♡)

 その視線を辿るのは容易かった。

 先ほどは自分の手が邪魔してあまりはっきり視認できていなかったけれど、バレエをしているとおぼしきフラミンゴ柄の赤地のトランクスの中心部ははっきりと隆起していた。

(……下着も、いつもお洋服買ってるようなブランドで揃えてるのかな? 今日着てたシャツはシンプルだったから、好み変わったのかなって思ってたけど、そういうわけじゃなかったのかも)

 置かれている状況にはそぐわないことを考えていると、控えめな笑い声が聞こえた。

「随分熱心に見てくれてるみたいだけど、見てるだけでいいの?♡♡ ……なんか俺、さっきからなにがなんでも触ってほしい人みたいになっちゃってるけど♡」

「…………じゃあ、もう少しだけいい?」

 目を合わせて確認するのに先んじて手を伸ばしてしまわないように、もう片方の手を重ねて尋ねた。

「どうぞ♡」

「……し、失礼します……」

 総柄でわかりにくいながらも、フラミンゴの身体が曲がってもこっとしている部分に手を乗せた。

(彼のだからかな。なんかかわいい……♡)

 ちょうど手に馴染んだあたたかいソレが愛おしくなり、手根を軸にして撫でた。

(『太くて裂けちゃいそう』とか『先っぽは入ったけど、太すぎて途中までしか挿入はいらない』とかはなさそうで安心した。やっぱりそうだよね。彼はかわいい女の子よりかわいいもん。おっきいはずなかった……!)

 なんて失礼なことを考えつつも、トランクスの上から愛撫未満にも思える愛撫を続けていると、いちばん高くなっている部分に湿った感覚をおぼえた。
 
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