三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

文字の大きさ
453 / 489
DESTINY CHAIN

DESTINY CHAIN<V>

しおりを挟む

(『彼の手は大きい』ってずっと思ってたけど、本当はそうじゃないのかも…………。わたしの手に比べたら大きいのはそうなんだけど、彼の手が大きいというより、わたしの胸が小さいだけ……みたいな)

 彼の手にすっぽり覆われてしまった貧しい胸を一瞥し、自嘲した。

「でも、おっぱいは前にも触らせてもらったことあるんだよね♡ きみだって、今日はここを好きにされるの……いや、のことをする覚悟で来てくれてるんだもんね♡♡ そういうわけで、この綺麗な脚…………開いてもらってもいい?♡♡」

 上半身から下半身へ、するする滑り下りてきた手が止まったのは、太腿の上だった。

「んっ♡♡」

「あ、ごめんね。急に触ってびっくりし…………もしかして、きみって脚も性感帯だったりする?♡♡」

 予期せぬ刺激に驚いて声を出してしまうと、彼が声を潜めて訊いてきた。

 わたしたちの他に誰もいないのに気を遣ってくれているのがおかしくて、嬉しくて、口元から上のほうに順に表情が緩んだ。

「…………そう、なのかも♡ でも、わたし……どこでも君に触ってもらうと気持ちよくなっちゃうから、どこが気持ちいいところでどこがそうでもないところなのか、わからない……♡ 全部優しく触ってくれるからかな……?♡♡」

 彼に触れられた部分に残った熱を追いながら、先日のことを振り返った。

 先日というのはもちろん、大雨に濡れて、うちで雨宿りがてら一緒に入浴したときのことだ。

(一緒にお風呂に入ったとき、洗われてたらどうなっちゃってたんだろう……?♡♡ いまみたいなえっちな気分になって、彼のこと…………♡♡)

「それって、指とか手で触られることを言ってる?♡♡」

「……えっと? どういうこと……?」

「ふふふ♡♡ さっき、きみが毎日の保湿ケアをサボってないか、確かめさせてもらったでしょ?♡ ……そのとき使から♡」

 彼は含み笑いののち、舌先を覗かせた。

「!」

「思い出してくれた?♡♡ 俺になにをされたか♡ どんなふうに確認されたか♡ 思い出してくれてるなら、少しは想像もしやすいんじゃないかな?♡ ……もちろん両方選んでくれてもいいけど、きみはどんなふうに鎮めてほしい?♡♡ おなかとお股、まだむずむずしてるよね?♡」
 
「……えぇっと……♡ 『舌のほうが痛くなりにくそう』って言ってたっけ……?♡♡」

 確信を持った声に煽られて、より大胆な答えを選びたくなってきた。
 
 ――――いや、そうではない。わたしはきっと、最初から彼に――――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

処理中です...