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DESTINY CHAIN
DESTINY CHAIN<XXXIV>
しおりを挟む「最初はね、これでも気のせいとか思い違いだと思ってたんだよ? ……でもさ、俺が唇舐めると、きみが……大人のキスしたあとみたいな……♡ いや、大人のキスしたあとよりも色っぽい、悩ましげな顔で俺のことじーっと見てくるって気付いちゃって♡♡ そんなの見せられたら、確かめたくなるのが人情ってものじゃない?♡」
(検証してるうちに唇舐める回数が増えたんだとしたら、本当にわたしのせいだなぁ……。思ってたよりもがっつりしっかり、わたしのせい……だなぁ)
「一回や二回ならまだしも、毎回そんなことが続いたら、さすがに思い違いじゃないって気付くでしょ♡ きみが俺を見てる以上に、俺はきみを見てるんだから♡♡」
彼が自身の目の脇を軽く叩いた。
――――すべてを見透かしてしまっているような瞳。わたしが恐れ、恐れる以上に愛している彼の瞳。
瞳の奥に深く潜って心の奥底を浚う視線を真似て、彼の瞳の奥を探ろうと試みたけれど、やはりなにも見えてこない。
「…………確かに、好きだけど♡ わたしに見せるためだけに、唇荒らしてほしいなんて思ってないよ?」
「きみならそう言うだろうと思った♡♡ ……でもね、そうじゃないんだよ。俺はさっきの、『きみが喜んでくれるから』じゃなくて、『きみの視線を独り占めしたいから』やってるの♡♡ だから、そんなふうに責任感じなくて大丈夫♡」
あたたかな手が割れ目の上で動いた。
指先を埋めたままなのでそう大きな動きではなかったけれど、陰核に伝わる刺激は実際の動きの何倍にも及んだ。
(えっちなことするときも優しいってわかったのはいいけど、やっぱり普段の彼とは少し違うんだ……♡)
いつもの彼であれば、頭を撫でてくれていただろう。イレギュラーな事態に、胸の高鳴りが抑えられない。
「そうなの? ……それなら、もうなるべくしないで? そんなことしなくても、わたしは君のこと見てるから……♡♡」
「わかったよ♡ ……でも、急に禁止されると、ちょっと困るというか……♡」
「え?」
「たとえば、甘いものが大好きな人が、ダイエットのために毎日のおやつを我慢しようとしたとして……。いきなりなんにも食べないように……なんて、できると思う? 相当意志が強い人なら、できなくもないだろうけど、そもそも意志の強い人って、あんまり甘いもの好きじゃなさそうだし、食べる習慣もなさそうだよね。まぁ、いまのは俺の偏見なんだけど。……きっと、普通の人は、いつも食べてるおやつを食べなかった分、反動でご飯食べちゃうか、最悪の場合、夜中にスイーツ爆食……なんてこともありえるんじゃないかな。最終的なゴールは間食をなくすことだとしても、最初のうちはふかしたさつまいもとか、果物とか食べたほうがスムーズに移行できるんじゃないかな?」
「確かに……! わたしもダイエットしたくなったら、参考にするね!」
「きみが? ダイエット? 必要ないと思うけどなぁ。まぁ、きみがしたいなら止めはしないけど。……でも、どこをどう見ても必要ないよなぁ……。いや、でも、これはあくまで俺から見て必要ないってだけで、身体の軽さの変化とかって本人しかわからないし、きみにはきみの理想があるだろうし、気持ちを押し付けるのもよくないよね」
不用意な発言をしてしまったせいで、彼の視線が全身を這い回る。
隠すのが間に合わなかった代わりに、不自然に見えない程度におなかを引っ込めた。
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