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DESTINY CHAIN
DESTINY CHAIN<XXXIX>
しおりを挟む「……そう……。甘いものは前から好きだったけど、キスは別に好きじゃなくて…………。でも、君とのキスは大好きで……。喉が渇いたら、お水が欲しくなるみたいに、少しでも『好き』とか『寂しい』って思うと、したくなっちゃうの……」
唇の乾燥、延いては罅割れを招く彼の困った癖を注意するべきかとも思ったのだけれど、彼がそれをする理由の一部が依然明らかになっていない段階で注意してしまうのは、ひどく安易かつ無粋に思えた。
「…………ひとつ聞きたいんだけど、きみが俺を『好き』だと思ってない瞬間って……ある?♡♡」
「ないよ。寝てるときはわからないけど、起きてるときはずっと好き…………。君みたいに、ちゃんと伝えられてはないけど、いつも好きって思ってる……。ごめんね、なかなか言えなくて。不安……だよね」
「……ありがとう♡♡ ……そうだなぁ。不安というより……。実を言うと、すこーし不満だなと思うことはなくもなかったりするんだけど…………。でも、『好き』って言葉の重さとか、『好き』って一回伝えるのに必要なエネルギーが人によって違ってるってこと、ちゃんとわかってるから。それを考えると、無理強いはしたくないなって思うし。……それに、俺がカジュアルに好き好き言うタイプだから、忘れそうになるのも仕方ないかもしれないけど、『好き』って伝える手段は、別に言葉だけじゃないんだよ?♡♡」
「…………確……かに?」
「ほんとに納得してくれてる?♡ 俺たちが持ってるのは、口や声帯……だけじゃないよ?♡♡ 唇だって腕だってあるし、目の動きだって、伝わるものは伝わるの♡ 俺はすぐにきみのことぎゅーってしたり、ちゅーしたりしちゃうけど、たぶん……きみのこと見てるだけでもバレバレだと思うんだよね♡♡ 『好き』って気持ち、全然隠せてないでしょ?♡ 隠してるつもりもないけどさ♡ ……とにかく、きみには伝えてる自覚はないかもしれないけど、俺にはしっかりばっちり伝わってきてるから、不安に思わなくて大丈夫ってこと♡」
優しく語りかけられ、長い指の先のほうを咥え込む蜜壺が収縮した。
「…………えぇと、このあたりで話戻そうか? ……整理するね。きみは、寂しくなったり好きだって思ったりすると、俺とキスしたくなる。でも、俺のことを『好き』だと思ってないときはないって話だった。……ってことはさ、きみも俺と一緒で、ずーっとキスしてたいと思ってくれてるってことだよね♡♡」
「そういうことになっちゃう…………というか、そう……だよ……?♡♡」
「じゃあ、やっぱりおんなじだ♡♡ もうわかっちゃったと思うけど、俺の唇舐める癖も、きみが甘いお菓子が欲しくなる理由とおんなじ。『口寂しいから』♡♡」
細めた目が唇をロックオンしているのがわかり、期待を込めてわずかに隙間を開けた。
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