5 / 489
彼と彼女の放課後
彼と彼女の放課後<Ⅱ>
しおりを挟む(言い方を変えてみたらいいのかな? 『そろそろ次のステップに行きたい』とか? ……遠回しでわかりにくいかなあ。それだったら、はっきり伝えて引かれたほうがまだいい……?)
上に乗っているお皿を何枚かどけて、今日使わせてもらうフリルプレートを出した。
どのお皿も本当に趣味がよくて、眺めているだけで満たされる。
満たされると言っておきながら、頭のなかは現状への不満でいっぱいだなんて、『かたはらいたし』とはこういうことをいうのかもしれない。
(…………やっぱりやだ。無理。言えない。はしたない女だと思われたくないもん。彼に限ってそんなことないと思うけど……!)
お皿の上にレースペーパーを乗せて、その上にクッキーを綺麗に並べたら完成だ。
(……そういえば、この前レースたっぷりのかわいい下着買ったけど、気に入ってくれるかな? わたしはひと目惚れしちゃったんだけど……って、レースペーパー見てこんなこと考えるとか、わたしって本当はものすごくえっちな子なのかも……!?)
問題のレースペーパーを隠すようにクッキーを並べていったけれど、服の下に潜り込んできた彼の手によって下着を脱がされる妄想から逃れることはできなかった。
(下着の脱がし方になんてバリエーションもなにも…………いや、わりとありそうな気がしてきた……。わたしは使ったことないけど、前が開くタイプのブラもあるし、そもそも『脱がす』じゃなくて『引きちぎる』感じの人もいるもんね。……思い出さなくていいことまで思い出しちゃった……)
考え事をしながらだったけれど、作業自体は量のわりには早く終わったから、飲み物を用意してくれている彼の様子を見学することにした。
「……あ、きたきた♡ そっちはもう終わった?♡♡」
彼は近付いたわたしにいち早く気付き、笑顔を見せてくれた。
(好き……♡♡ 彼は準備のあいだもきっと、さっきまでの内容とか復習してたんだろうなぁ。…………それに引き替え、わたしは…………)
制服を汚さないようにエプロンをつけた彼は、性的な欲望とはかけ離れた清潔でさわやかな印象だったものだから、先ほどまではなんともなかったのに、いまになって羞恥心が込み上げてきた。
「う、うん♡♡ クッキーいっぱいあったから、おっきいお皿貸してもらったよ」
「了解♡ お菓子の用意、ありがとね♡」
「どういたしまして♡ 君も飲み物の用意してくれてありがとう♡ わたしもここで見てていい?♡♡」
「もちろん♡ きみはお砂糖たっぷりで甘~いのが好きなんだよね♡」
慣れた手つきでミルクパンを火にかける彼が寄越した視線は、わたしの焼いてきたクッキーより、彼がおすすめの茶葉で淹れてくれるミルクティーよりもずっとずっと甘くて、脳髄が幸福に蕩けてしまいそう。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる