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HONEYDEW RAIN
HONEYDEW RAIN<LI>
しおりを挟む「ちっともしてないよ、退屈なんて♡ きみはずっとここに……俺と一緒にいてくれたでしょ♡ お顔が見えるに越したことはないけど、俺の見える場所にいて、おしゃべりもしてくれてた♡♡」
荒ぶっていた水面と一緒に気持ちも落ち着いてきたと思った矢先、ふわっと微笑みかけられて体温が一気に上昇する。
(いろんなとこ見てたみたいだけど、剃り残しなかったかな? 背中のほう自分じゃ見えないし…………)
彼と一緒に過ごすのは精神衛生上とてもよさそうだけれど、寿命の減り方も凄まじい気がしてならない。
「…………一緒にっていえばさ」
なにか閃いたのだろう。彼は驚いた猫ちゃんのように目を見張った。
「うん?」
「俺、きみと一緒に暮らす家はめちゃくちゃこだわりたいと思ってるんだよね♡」
(突然!? …………でもないのかな。君にとっては。……というか、『一緒に』で思い出すのが『わたしと暮らす家』って、本当にずっと一緒にいてくれる気でいるんだ……♡♡ 嬉しいな♡)
デレデレとも形容できそうな顔を見つめて、率直な感想を飲み込んだ。そうでもしないと、わたしは彼以上にだらしない笑みをお披露目してしまう気がしたから。
「いま住んでるおうちは違うの? わたしはお邪魔するといっつも『君の好きそうなものでいっぱいだなぁ♡』って思うんだけど…………」
瞳を閉じ、彼のセンスが存分に発揮された空間を思い描いた。
わたしの家は客観的に見ても住みやすく整えられている部類だと思うけれど、個人的には彼がひとりで生活を営んでいるあの空間には遠く及ばないと思う。
(自分の部屋より落ち着いていられる気もするんだよね。『本当はわたしもいまから君のおうちに住みたいくらい♡』……なんて思ってても図々しすぎて言えないけど!)
「置いてるものと使ってるものはもちろん全部気に入ってるよ? ……あれ、どっちも同じかな? とにかく家にあるものは全部お気に入り! 絶対間に合わせとかで済ませたくなくて、多少不便でも『これだ!』って思えるもの見つけるまで買わないし」
インテリアについて語る彼はとてもきらきらしている。きらきらしているのは普段からだけれど、いまの彼はよりいっそう眩しい。
(すごくこだわりが強いのに、砂時計はわたしに選ばせてくれるんだ。……センスを信頼されてるみたいで嬉しいけど、趣味に合わないものは絶対に選べないなぁ。責任重大だ……!)
クリスマスプレゼントとしてリクエストされたティータイマーはもちろんいろいろ調べているけれど、いまだに候補さえ絞れていない。なにせ素敵なものが多すぎるのだ。
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