253 / 489
アフター・アフター・レイン・トーク
アフター・アフター・レイン・トーク<Ⅷ>
しおりを挟む「そっかぁ。……わたしにできること、なんにもなさそうだね……」
思っていた数段落ち込んだ声が出てしまったけれど、いまさら取り繕うこともできない。
「じゃあさじゃあさ、ふたりっきりのときにきみがじーっと見てきたら、『キスOK』のサインだと思っていい?♡♡」
だが、彼はそれを一瞬で明るいほうに転換させてくれる。
「なんかそういう、ふたりだけに通じる合図決めるのってわくわくしない?♡ きみはこれのことも覚えてくれてるみたいだし♡」
「!」
頬を包まれただけでなく顎を少々上に向かされ、顔が火照ってきた。
(ほっぺ包んで遠回しにキスしていいか訊いてくれてたこと、やっぱり君も覚えてくれてたんだね。……自分でも結構気に入ってたのかな?♡ わたしもすごく好き。キスの合図だけじゃないの。君にもらった思い出の全部が大切で、すごく愛しい……。一生かけても返しきれる気がしないけど、わたしからも君にたくさんのものをあげたい。……わたしにしかあげられないものがあるんだって信じたい)
ヒールの分だけでは、身長の差は埋まらない。乙女特有の悩み。踵を上げて、唇を突き出して。触れるか触れないかの消化不良なキスにもかかわらず、彼は嬉しそうに受け止めてくれた。
「…………うん♡ わたしもそういうの好き♡ だけど、見つめてなくても君が『したいな』って思ったときにしていいよ?♡ わたしが全部握ってるの不公平だもん……」
「いいの?♡ 俺、本当にキスしまくるよ?♡ きみの息が苦しくなっちゃって、おめめがうるうるになっちゃうようなキスもするよ?♡♡」
彼の手が首の後ろに回ってきた。ネックレスのチェーンの上に指が乗らないように避けてくれている。
「の、望むところだよ! ……不意打ちでされるのも、いつものわたしじゃなくなっちゃうみたいなキスも、君からだったら絶対嬉しいし……♡♡」
頭部を固定された状態で行われる逃げ場のないキス。想像しただけで発熱してしまいそうだ。
「…………さっき計ったときはほんとに熱なかったけど、一日中ベッドの上で過ごす休日も悪くないかもね?♡♡」
彼の手がするりと肩まで下りてきた。文句の付け所のないルックスに大人びた立ち振る舞い、妄想を搔き立てる上品な誘い文句――――。いよいよ発熱寸前だ。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる