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アフター・アフター・レイン・トーク
アフター・アフター・レイン・トーク<XLVI>
しおりを挟む「ううん……。わたしだって根拠はないけど、君より好きになれるひとなんて一生現れないと思うし、もし出会っちゃっても君がいい…………。君と一緒にいたいの……。君じゃないとだめ……かどうかはわからないけど、わたしは君だけ見ていたいと思ってるよ。この先起こる楽しいことも悲しいことも全部、君と一緒に経験したい……! わたしは臆病だから怖いものばっかりだけど、君と一緒にいられたら怖くても平気って思えるの……。こんなふうに思わせてくれるひと、他にいないよ」
自分の気持ちを伝えることに必死で、長い言葉をどこで切って息継ぎをしたのかも不明だ。
「えっと……だから、だから…………。……そう! わたしも君と別れるなんて想像もできないの。もしそうなっちゃったらって考えるだけで苦しくて、つらくて……たぶん、どうにかなっちゃう。……あ。だけど、脅したいわけじゃなくてね? 君にもしわたしより好きなひとができたら、その人に……でも、やっぱり譲りたくないなぁ。君のこと、本当に大好きだもん。だから、またわたしをいちばんに好きになってもらえるように頑張るね!」
「きみ…………。そんなふうに思ってくれてたんだね?」
取り留めのない話を最後までじっと聞いていた彼は、ぱちぱちとまばたきを繰り返している。涙もすっかり乾いたようだ。
(意味不明なこと言っちゃったかもしれないけど、彼が泣くことにならなくてよかった)
「たくさん嬉しいこと聞けたけど、他の子に目移りするんじゃないかと思われてるのは心外だなぁ……? 別れるつもりないって言ってるのに。俺、きみが相手じゃないなら一生結婚しなくていいなって思ってるくらいなのに。俺がどれだけきみを好きか、わかってないの? ……でも、正直まだ全然伝えきれてないと思うし、口約束なんて信用できないっていうのもわかる。人の心なんて、少しのきっかけで大きく変わるものだしね……」
ふぅっと息を吐き出したあとに、整った唇が弧を描いた。決して他の人の前では見せない自嘲を含んだ笑みに視線が釘付けになる。
(……いまのは『わたしを信じられない』って意味? それとも、『自分を信じられない』って意味? そんな悲しい顔させたくないのに、かっこいいと思うなんて……)
唇を噛み、この場にふさわしくないことをちらとでも考えてしまった自分を戒めた。
「どう? いま話してて、ぱっと浮かんだものとかない? 『俺たちの愛が永遠になるように願いを込めた品』とかさ。今年1年だけじゃなくて生まれてからずっといい子だったきみには、ご褒美があるべきだと思わない? 次のクリスマスは顔見て挨拶もできないかもしれないんだから、その分甘やかされてほしいんだけどなぁ」
眉尻を下げた彼は、近頃お肉が増量中のわたしの頬を両手でむにっと持ち上げた。
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