三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

文字の大きさ
342 / 489
アフター・アフター・レイン・トーク

アフター・アフター・レイン・トーク<XCVII>

しおりを挟む

(うわぁ、大胆…………!! 男の人もまんざらじゃなさそう……。でも、こんなかわいい子にリードされたら誰だって嬉しいか…………。参考にしていいか迷うなぁ。ホラー映画なんて参考にしてどうするのって感じもするけど。……下のほうは映ってないけど、やっぱりいじってるのかな……?)
 
「ダメなんて言うはずないでしょ♡♡ なんなら俺の膝乗る?♡♡ 最初からもっと限界までくっついてればよかったのかな?♡ 気が利かなくてごめんね♡」

 愛情の行き交っている様子がはっきりわかるキスに見惚れていたら、待ち望んでいた返事が返ってきた。

「ううん。くっつかせてくれるならいいよ……♡♡ それと、わたしこそ元から甘えさせてくれるつもりだったって気付かなくてごめんね?」

 膝の上に載せてくれるつもりなら、脚のあいだにいては邪魔になるだろう。横にずれると、行動から意図を察した彼が膝を揃えて座り直した。

「ううん♡ そこがきみのかわいいところでもあると思うよ♡♡」

「そこってどこ?」

「俺の下心に気付かないくらい純粋なところ♡♡ 彼氏から『ホラー観たい』って言われたら、大抵の女の子はと結び付けて考えるんじゃないかと思うけど、きみは映画楽しもうとしてくれたもんね♡ 怖いのに頑張ってくれて嬉しかったなぁ♡♡」

 画面を眺める彼が頭を撫でてきた。

『あっ♡ そこ、イイ……っ♡♡』

『動き止まってんだけどー?♡♡ 腕治るまでオマエがするっつったよな?♡♡』

 視線を追いかけてみると、ふたりは髪と息を乱して激しく身体を揺らしていた。

(さっきよりすごいことになってる…………! 彼の声ばっかり聴いてて気付かなかった……♡)
 
 下半身はもちろんのこと、デコルテから下はちらとも見えないにもかかわらず、ふたりが絡み合うさまは見ている側が恥ずかしくなってしまうほど濃厚だった。

「……どうせ鈍感だもん」

 子ども扱いされたようで悔しくて、つーんとそっぽを向いてしまう。

「きみがちょっと鈍くなるのは恋愛絡みだけでしょ?♡ 普段は全然鈍感じゃないし、気にすることじゃないと思うよ?♡♡ 無垢な感じでかわいいし、俺は好きだな♡」

(でも、わたしがそういうことに疎いせいで、彼がえっちなことしたいサイン出してても気付けないかもしれないし…………。いままでにも何回もスルーしてきちゃったかもしれないし…………。わたしってつくづくだめだなぁ……)

「ほーら♡ 機嫌直して♡♡」

「……有耶無耶にしようとしてない?」

 無言でいたのはいままでの自分の行いを反省していたからなのだけれど、彼はわたしが黙っているのを剥れているせいだと思っているらしく、ひょいっと持ち上げられて膝に乗せられた。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

処理中です...