yours-夢の罪過-

片喰 一歌

文字の大きさ
587 / 657
第二の試練

第二の試練<13>


******


 昨日の残りのケーキを朝食にして(冷蔵庫に大きめのスペースが生まれたのはいいけど、それと引き換えに口の中が甘々地獄に堕とされてしまった。『お昼はしょっぱいものにしようね!』とどちらからともなく約束を取り付けてしまったほどだ。)から、俺たちは約束通り外に出た。

 ――――え? 『あのあと2回戦に突入したんじゃないか』って?

 してないしてない。してたら、外になんて出て来られなかったんじゃないかなあ。

 首に抱き着かれたあと、ちゅって触れるだけのキス一回で堪えた俺、大々的に表彰されるべきだと思う。わりと本気で。

 先週ほどではないけど、夏の日差しはやっぱり暴力的で、そういう意味でも長袖のフーディーを合法的にかつ角を立てずに着せることに成功してよかったと思う。

(『yours』様々だよ、本当に。……お礼も兼ねて、次のシリーズも大量買い決定だな。全種類全カラー買ってもいい。これからは俺の分だけじゃなくて、紗世ちゃんの分も確保しておかなきゃいけないし……って、元々買い揃えてたか♡♡ 俺って、つくづく気が早いなあ。準備もしすぎだろってくらいするし…………。そのわりに、想定外の出来事ハプニングにはめっぽう弱いし、意外と頼りない。……けど、そういうのは紗世ちゃんが強いから、これでいいのかな。紗世ちゃんは逆にノープランで突っ走りがちなタイプだし、これはこれでバランス取れてるのかも。ベストカップルでベストコンビな俺たちって、最強じゃない?♡♡)

 独りで歩くとき、かなりの確率で向けられる不躾な目線の半数以上は、俺に擦り寄る可愛い可愛い子猫ちゃんに向けられていた。

 彼女より20cm以上身長の高い俺が普段使いしてる服を着てるんだから、隠すべきところ――胸元とか太腿とか――はきちんと隠れているはずだ。

 ――――にもかかわらず、メリハリボディはオーバーサイズの服を着たくらいじゃ隠せないらしく、黒猫になった彼女は、下手すると露出度の高い服を身に纏っているとき以上にエロカワだった。

 街行く人の視線を総ナメにしてしまうほど可愛い彼女のこと。会話の途切れた間も、俺は前ではなくずっと彼女を見ていて、何度か人にぶつかりかけた。あと、太い柱にも。

「……今日の鏑木くん、ちょっとぼーっとしてない? 横に私がいるから、寝不足とか?♡♡」

「それもあるかもだけど、今日は可愛い黒猫ちゃんと一緒だからさ♡♡ かわいこちゃんが俺のそばから離れて、どっか行かないようにって気張ってるの♡♡」

「私、どこにも行かないのに♡♡ でも、鏑木くんがずっと私のこと見ててくれて嬉しい♡♡」

 抱いた左腕に身体を擦り付けてくる彼女は、いつも以上に猫みたいだった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389