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第二の試練
第二の試練<16>
「まいったなあ、今のは本当にからかうつもりなんてなかったんだけど♡ …………拗ねるなよ。どうせあと少ししたら、身長差なんて気にならなくなるだろうし?♡♡」
背中を曲げて上から覗き見た彼女の顔は小さく、身体はよりいっそう細く、俺はこのとき初めて彼女の黒猫ルックの威力を心の底から理解したといっても過言ではない。
「え?」
勘のいい彼女なら、瞬時に発言の意味を理解して赤面するなりなんなりしてくると思ったが、予想は外れて少し間の抜けた声が空中に投げ出された。
そんな風に、たまにびっくりするくらいピュアになっちゃうところも可愛くて離したくなくなるポイントだよな♡
「約束してたじゃん。家帰ったらナニするんだっけ?♡♡」
にやけを抑えきれないまま、先ほどよりもシンプルでイージーな質問を投げかけた。
難度的には、アタック練習用に上げられたサーブを打つくらい簡単だったはずだ。
ただそれは答えに辿り着くまでのことであって、意外と照れ屋な彼女が人通りの多い場所で答えを口にすることに関してはイージーではないだろう。
「…………朝……の続き……だよね♡♡」
周りに人が多いのを気にしたのか、彼女は直截的な単語を避け、俺にだけ伝わる符牒を選び出した。
「いいね、その言い方♡♡ 俺たちだけにしか伝わらない♡ スパイにでもなった気分――――なんて言ったら、ムードぶち壊しだし、空気読めないにも程があるよね。俺さ、今、紗世ちゃんにそう言ってもらうまでは、二人だけの世界に浸るためには絶対的に二人っきりになる必要があると思ってたんだよ。……でも、そんなことなかったね。俺たちはどこにいても、二人っきりの空間と世界を作り出せる。ほんとありがとね、紗世ちゃん♡♡ 雑踏の中にいるのに、朝、部屋に二人でいたときみたく『世界に二人っきり』になったみたいで、そそられたよ…………♡♡」
「私がせっかくそっち系っぽくない言い方選んだのに、思い出させるようなこと言うかなあ……っ!?♡ ちひろくんってほんっとに意地悪でエッチだよね…………♡」
負けじと『直截的なワードを使用せずに、いかに朝の出来事を鮮明に思い出させることが出来るか』に挑んでみたら、彼女は昨日の午後や朝のような声音で俺の名を呼んだ。思わぬ収穫だ。
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