yours-夢の罪過-

片喰 一歌

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第二の試練

第二の試練<20>


「そういうものかなあ……」

 腕の力とは反対に彼女の声は弱々しくて、少し強めの風の音にすら負けてしまいそうだった。
  
「そういうものだよ。お互いが影響与え合ってこそでしょ、人間関係って。恋愛じゃなくたってそうじゃん。…………というか、俺たち、すでに他の人から見たら相当そっくりなカップルなんじゃないかな。長いこと一緒にいるし、考え方とか使う言葉とか、かなり似てきてるんじゃない? 服のセンスとかはさ、そもそも男女でデザイン違うから被らないってだけで。――それに、俺んちはそのうち紗世ちゃんちにもなるしさ?♡♡ 俺のセンスだけじゃなくて、紗世ちゃんのセンスも積極的に取り入れてかないと♡♡ いつまでも他人の空間にお邪魔してる感が消えないんじゃ、居心地もよくないだろ。スペースなら余ってるし、カーテンとかシーツ類も全然好きなのに変えてくれて構わないからね。調和は乱れるかもだけど、そのほうが『紗世ちゃんと一緒に住んでる』って実感湧いて、俺も嬉しいから♡」

「! そ…………そう……だったね……♡♡ そっか、私は私んちで使うもの選んでたんだ? ……と思っていいってこと……だよね?」

「そうそう、それが言いたかった♡ よかったよ、同棲の話覚えてくれてるみたいで♡♡ 忘れられちゃってたら悲しいなあと思ってたんだ。何回も忘れられても、しつこく申し込むからいいんだけどね♡ 最愛の彼女と一緒にいられる時間は長ければ長いほど幸せだし♡♡」

「忘れられるはずないのに……♡♡ これからお試し同棲始まるってときなんだから……♡♡」

「ああ、そうだった♡ 俺、妄想のしすぎで現実と理想ゆめ混同しちゃってたのかな♡ でも、妄想が現実になったら――――♡ いや、妄想を現実にしてもらっちゃえば、なんにも問題ないよね♡♡ 紗世ちゃんにもその気があるみたいで安心したよ♡ 早く俺んちが紗世ちゃんちになればいいのに……♡♡ 色々準備あるだろうから、すぐには無理かもだけどさ、俺はいつでもいいからね♡ ……一緒に住んだらどんなことしたい?♡」

「……一緒に住まないと出来ないことがあればしたいけど……♡ 意外となくない? ……一緒に出来ることなら、大抵は一緒に住まなくても出来るよね?」

「その通りだとは思うけど、つれないこと言うなよ♡ 一緒に住んだら、朝も夕飯も一緒に食べられるじゃん。それだけでも価値あると思うけどなあ、俺は。ほら、紗世ちゃんセレクトの鍋つかみミトンの出番でもあるし♡♡」

 右手で鍋を掴むフリをしたら、彼女がわずかに瞳を潤ませた。

 彼女には他のものを掴むジェスチャーに見えたのだろうか。可能性としては低くない。

 俺の一挙一動でいかがわしい妄想をしちゃうようなエッチな子猫ちゃんを、今夜はどう調理してあげようか♡♡
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