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第二の試練
第二の試練<21>
「一緒に住んでも、鍋つかみ使うのは鏑木くんでしょ……♡♡」
彼女は俺の腕を抱きつつ、余っている生地をきゅっと握り締めた。照れながら言う台詞でもなかった気がするんだけど、可愛いからいっか♡♡
「ご飯の支度は俺に全任してくれる感じ?♡ 嬉しいなあ♡♡ 毎食手抜けないね♡ …………あ、今のは嬉しい悲鳴だから気にしないで♡ 俺は紗世ちゃんのためにご飯作れるのが嬉しいの。信用してくれてる証拠じゃん」
「? 信用してるよ? こないだのことだって、寝てるときに襲われたのも本当だけど、鏑木くんに睡眠薬盛られたわけじゃないもん。…………それと……たぶんなんだけど、鏑木くんの手抜き料理って、普通の人からしたらかなり凝ってるんじゃないかと思うよ……?♡♡」
(紗世ちゃん的には、どのへんから『凝ってる』ことになるんだろうな…………?)
「パックのご飯とか、使ったことないでしょ? 市販のカレールーも最後に使ったのいつ? ツナマヨとかすら自作してそうだし、トマトソースだってきっとトマトから作ってるでしょ?」
(それは『凝ってる』なのか…………? ……っていうのはおいといて。紗世ちゃんの中では、俺ってえらいマメな男に分類されてるっぽいな……。先週だったっけ、『自治体に畑借りて野菜作ってそう』とかも言われたもんな……? 自作出来るものはひと通り試したことあるのは合ってるけど、時間ないときとか普通に缶詰のお世話にもなってるよ?)
思考する傍ら、ほとんど自炊をしないという彼女の腕前についても考えた。
さっきの質問的に、一時期はちゃんとしてたかする気持ちはあったけど、趣味じゃないから億劫で――みたいな感じと見た。
つまり、やれば出来る子ってこと。やっぱり、並んでキッチンに立つのもいいかもしれない。パンとか作りたいかも。
「そうかなあ。そうだといいけど♡ パックのご飯は……災害用にストックしてあるだけだな。でも、炊き立て命だから、小分けにして冷凍とかもしない。カレールーは――普通に味が好きなやつもあるから、たまに使うこともあるけど。ツナマヨは家では作らないなあ。食べたくなったらコンビニでおにぎり買ってるね。…………あ、でも、サラダチキンは自作してるな。市販のも美味しいんだけど、ローストビーフとか煮豚とかああいうお肉煮込む系は、大容量のお肉が安く買えたときによく作るね。煮込み時間に他の作業並行出来るし、材料費の何倍のクオリティに仕上げるのが楽しいから。……あ、ごめん。興味ないよな、こんな話」
「ううん♡ お料理のお話してるときの鏑木くん、すっごく楽しそうで私も嬉しくなるから、また聞きたいなあ♡♡ 今度はお料理してるとこ見ながら♡」
すりすり頬擦りする彼女は、ここが外で自分がばっちりメイクしているということを忘れてしまっているんだろうか。
俺は誰に見られても構わないし、服も洗えばいいだけだから気にしないけど。
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