596 / 657
第二の試練
第二の試練<22>
「まあ、紗世ちゃんに食べてもらうって前提なら、下手なものは作れないね。結果的に毎食凝ったもの出すことになる……とかはありそう♡♡ 料理してるとこ見てくれてるなら、なおさら張り切っちゃうかも♡」
腕まくりでもしてみせようかと思った(男の腕の筋フェチの女の子って多いでしょ?)けど、どちらの袖を捲るにしても彼女を振り払うことになる。
――ので、右腕で軽くガッツポーズと力こぶを作る中間くらいのポーズをした。
「キッチン入られるの嫌じゃないの? ……お料理好きな人って、キッチンに人入れるの嫌がるイメージだったんだけど。鏑木くんは違うんだね……?」
彼女は最大限言葉を選びながらも、正面から疑問をぶつけてきた。
(…………料理したのか、俺以外の奴と? ……いやいや、今のあれだろ。昔の謎CMに引っ張られすぎだろ。ミーム汚染ヤバすぎだよ、俺の脳内。陰キャ乙すぎる。日陰者でどうもすみませんね。……って誰に向かって言ってんだか。まあ、ヤバいのは拗らせた中身と独り言が鳴り止まない体質だけじゃないけどな。恋人と一緒に料理するくらい、ありふれたイベントだろ。なんにも特別なことじゃないよ。……俺みたいな恋愛初心者には特別ですけどね? そんな日常イベントにすら嫉妬するとか、見苦しいにも程があるぞ? そんなことより、彼女に食べてほしい料理を考えるほうがよっぽど建設的だよ。……なんだろうなあ。鉄鍋振ってるとこ見せたらおめめハートにして『かっこいい♡♡』って言ってくれたりしないかなあ。いやいや、俺の私利私欲だって、それは。中華は特に四川とか自信あるけど、紗世ちゃんの食べたいもの食べさせてあげれなきゃ本末転倒じゃん)
上目遣いの瞳も不安に揺らいでいる。――自分の質問の仕方に不備がなかったか気にしてるのか、キッチン立入禁止令が敷かれたり入室制限を設けられたりするのを恐れてるせいかな。
「嫌だったら、最初から見ててほしいなんて言わないって♡♡ うちのキッチンは、俺の他に一人ギャラリーが入った程度で動線変更しなきゃならなくなるほど狭くもないし♡♡ 刃物とか火とかに近付きすぎないように気を付けてくれてれば、好きに見ててもらって構わないよ。…………ああ、試食もお願いしよっかな?」
「鏑木くん?♡♡ 私、ちっちゃい子くらい注意力ないと思われてない……?♡ 包丁と火の扱いくらいならどうってことないし、簡単な作業なら手伝えるから使ってくれていいのに♡」
彼女は目と眉の間を狭くして、頬をぷくっと膨らませた。
網の上で膨らんだお餅みたいなその頬に吸い付いて、涎でべたべたにしたら、君はどんな反応を見せてくれるんだろう。
あなたにおすすめの小説
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。