yours-夢の罪過-

片喰 一歌

文字の大きさ
610 / 657
第二の試練

第二の試練<36>


 だが、そんな無敵の可愛ささえ霞むような事実が明かされて黙っておけるほど、俺はお行儀がよくない。
 
「恋愛感情が…………お互いにない!? それ本当!?? どっちかがはっっっっちゃめちゃに無理してるとかない!??? 俺はそれが気になるし、心配なんだけど」

 自分でも軽く引くほど取り乱してしまった。最後にやっと冷静になれたけど、焼け石に水だろう。

「うん。鏑木くんが私以外に興味なかったのと同じだよ…………って、自分で言うとすごい自信家みたいで恥ずかしいんだけど……♡♡」

(自信持っていいのに♡♡ 事実なんだから♡)
 
「あと、鏑木くんも言ってたけど、結婚すると経済的だったり社会的なメリットもあるでしょ? それに比べたら、たぶん恋愛的なメリットって薄すぎるくらいで――……」

(それは言えてる。俺にとってはそんなことないけどね!? 薄くないよ、写真で映えるレベルにはたいたチークくらい濃いよ!! 家帰って鏡見たら卒倒しそうなくらい濃いよ! 紗世ちゃんは写真映え重視してないんだろうな。控えめで可愛い♡♡ すっぴんのときもうっすらピンクで可愛いから血色足す必要がないんだろうな。睫毛だって長さも量も足りてるからマスカラもまつパも必要ないし、アイシャドウで陰影つけなくてもおめめぱっちりしてるし、瞳の色も綺麗だからカラコンいらずだし、唇だって元の色が大優勝なんだよな。わざわざ色味消してその上からリップ塗ってるのもったいないなあと思うけど、吸血鬼みたいに毒々しい赤とか悪役みたいなブラウンリップとか紫リップとかもしてくれるし、それはそれで好き。メイクしててもしてなくても可愛い紗世ちゃんってすごくないか?♡♡)

「…………鏑木くん?」

 なぜかわからないがチークの喩えからメイクいらずの彼女の美貌に思考が飛躍し、長い間黙りこくっていた俺の腕に衝撃が走った。

 衝撃といってもそれほど強いものではない。隣の子猫ちゃんに肘で小突かれた程度で痛みを訴えるほど、俺は柔じゃない。

 俺が現実に戻るのに必要な分ちょうどの力加減だった。――今の何倍もの力の肘鉄を食らっても、俺は同じように言ったと思うけど。
 
「え? ……あ、いや。紗世ちゃんはチークなくてもほっぺの色可愛いよなあと思って……?」

 我ながら変なところを切り取った発言だとは思うが、堂々と著作権を侵害して有名配信者のおこぼれにあずかっている厚顔無恥な切り抜き動画作成者の何兆倍とましだろう。

「なにそれ♡♡ 急に?♡ 私、他の子に比べたらチークする意味あんまりないかもだけど、今日は忘れたりサボったりしないで叩いてきてるよ?♡ ほら、ちゃんと見て?♡」

 どうせこのあとは今よりずっと近くでお互いの顔を見ることになるのに、彼女は背伸びまでして俺に頬を見ろとせっついてくる。
感想 0

あなたにおすすめの小説

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。