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第三の試練
第三の試練<7>
「運動量は紗世ちゃんと付き合ってからめちゃくちゃ増えたと思うし、それが原因かな?♡♡ つまり、俺のカラダは紗世ちゃんのおかげで紗世ちゃん好みになってる……ってこと♡ これからも紗世ちゃんの好きな体型キープさせてね?♡♡ 紗世ちゃんの協力は必要不可欠だから♡」
「…………私で協力出来るなら……♡♡」
「なに言ってんのさ♡ 紗世ちゃん以外に出来ないじゃん♡♡」
抱き寄せて髪に顔を埋めた。
シャンプーは部屋に充満する香りよりいくらかましだったけど、やっぱり彼女が愛用しているものや俺が家で使っているものには及ばない。
「……早く出よ?♡♡」
黒猫のフーディーをぐいぐい押し付けてくる彼女の頬は、数杯目のお酒を飲んでいるときくらいの色になっていた。
「『人心地つく』って、こういうときのための慣用句なのかもな……」
車に乗り込んでシートベルトを締めて、車内の空気を取り込んだ。
息を大きく吸うために大きく吐き出したとき、昨日の夜から俺の鼻腔を犯していた独特な臭いが解き放たれてしまいそうで怖かった。
常識的に考えたら――いや、考えるまでもない――、そんなことはありえないとわかるが、なるべく部屋の空気を吸わないようにする→脳に十分な酸素が行き渡らない→思考力の低下という負の連鎖が起きていたのだろう。
(とんだ災難だったな……。紗世ちゃんにも悪いことした。下調べの甘さは反省しないとだけど、俺たち向けじゃないことがわかったのはよかった)
「じゃない? まさか車乗って『落ち着く』と思う日が来るなんてびっくり……。久しぶりに帰る実家より落ち着かないホテルとか、滅多にないよ」
と笑い飛ばす彼女が発した、ある単語にはっとする。
(そうだ。他にもあったじゃん、超重大ミッション。俺にしか出来ないわけじゃないけど、俺から言うのが一番効果あるって予測は間違ってないはず――……)
いつ実家の話をして帰省を促すべきか迷っていた――というのはさっきまでの俺の状況で、彼女がその単語を出すまでは頭の隅に追いやられていた。
「実家といえばさ、紗世ちゃんが前に帰ったのっていつ?」
彼女は決して実家と折り合いが悪いわけではない。
だが、『結婚まだ?』という無責任な期待に満ちた催促に嫌気が差し、数年前を境に帰省を取り止めていた。
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