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第三の試練
第三の試練<21>
「主人公がそんなじゃあ、色っぽい内容にも展開にもならなそうだけど……。たまにはそんなデートもありなのかしらね~♡♡ でも、こんなに可愛い紗世ちゃんが色気のない女の子だって思われちゃうのはママも悲しいわ~? 全然そんなことないのにねえ」
「私たちはほとんど毎晩エッチしてるもん! ――――あ、ヤバ」
首から下――どころか顔まで含めても実年齢より20かそれ以上若く見える実の母の手元で量産されるカルパスのゴミが、あろうことかゴミ箱の中で形作られる避妊具の塔と重なって、気付けばこの夏一番の失言をかましていた。
(私はまた――――! 言う必要のないことを……。いや、でも……どんな映画だって、楽しく観れればそれでいいでしょ?)
「あらあらまあまあ♡♡ 毎晩してるの?♡ ママとパパが結婚したときと同じじゃない♡ ……付き合ったときからだったかしら?♡ まあどっちでも同じよね♡♡ 随分お熱いのね~♡♡ 毎晩会ってくれるなんて、紗世ちゃんの理想のメンズなんじゃない?♡ さぞかしイイ男なんでしょうね~♡♡ それとも、ご近所に住んでたりするのかしら~♡ もう一緒に住んでるの?♡ いや~ん♡♡ 彼氏は幸せ者ねえ♡♡」
一人で盛り上がり始めたおかあさんのコップに素早く視線を走らせる。
――だが、角度を変えて見てみても麦茶以外のものには見えなかった。
普段から色んなお酒を見たり飲んだりしている私から見てそうなんだから、間違いない。
この人はどうやらお酒が入っていなくても酔っ払ったときのテンションで話すことが出来るらしい。
(おかあさん、本当は今、私たちが半同棲みたいになってることも知ってたりしない……? 相手があの千尋くんなのは知らないだろうけど。名前出したら一発でわかるだろうなあ。面食いのおかあさんが覚えてないわけないよね、娘のイケメン幼馴染のこと)
しかし、おかあさんの異様な勘のよさが引っ掛かる。
実家に帰っていない間も、探偵を雇うなりなんなりして、私の動向(主に恋愛事情)を監視していたり――なんて、疑いすぎだろうか。
「…………今の彼氏はいい人だし、いい男だよ。私でいいのかなって思う。……先に好きになってくれたのが向こうってことも、いまだに信じられないの。……こないだ、うちの給湯器が壊れちゃって。修理来てもらえるまで一緒に住むことになったんだけど……」
氷の入った麦茶を口に含み、喉を潤してから切り出した。
(なんか……千尋くんのこと話してると、めちゃめちゃ喉渇くなあ。彼氏のこと話しててこんな風になること、今までなかったのに。……好きすぎるのかも、千尋くんのこと)
しかし、冷たい麦茶が通過したそばから私の喉は余計に熱を持つのだった。
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