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最悪の目覚め
最悪の目覚め<1>
<千尋side>
『目が覚めたら、いちばん仲のいい男友達の家だった』。
『どうしよう』。
――――大方、そんなことを考えてるんだろうな。俺が想いを寄せる彼女は。
呆れるレベルに鈍感なこの子は、ひとの気も知らないで恋愛相談を持ち掛けてきて。
何度目だ、このくだり。
…………いい加減、俺を選べばいいのに。
「こんなにいい男が近くにいるのに、どうかしてる。見る目なさすぎ……。お目が低い…………」
なんてぼやいてみたって、負け惜しみにしかならないのはわかってるけど。
いまのぼやきだって、絶対、全っ然、一文字も聞こえてなかったよね?
その証拠に、眉間の皺深くしちゃってさ。
自己評価が高すぎる?
いやいや、本当のことだから。
……ていうか、無自覚って、最も重い罪だと思わない?
めちゃくちゃ可愛い顔で見つめてくるくせに、誘ってるつもり一ミリもない女の子とかさ。
――――言い方に棘があった?
そりゃそうだよ。俺は今、隣にいる子のことを言ってるわけだから。
それに、心の中まで取り繕う必要なんてないじゃん?
なんだかんだ言って、女の子だって、ちょっと自信過剰なくらいの男が好きみたいだし。
――――まあ、ずっと近くにいるのに靡きもしないこの子は、特殊かもしれないけど。
彼女をちらと見やれば、いつの間にかむくりと起き上がり、こめかみに手を当てている。
眉間の皺はさっきより濃くなって……。どんな顔してもかわいいけど、叶うことなら、君の眉間の皺を伸ばすだけの職に就きたい。
二日酔いの頭痛を少しでも和らげたいのか、記憶の糸を手繰り寄せようともがいているのか……。
大方そんなところ……というか、ほぼほぼ後者で間違いないと思う。だって、今のポーズ、彼女の好きな名探偵キャラがよくしてるやつだし。
あの野郎がやってもなんとも思わないけど、彼女がしてるんだったら話は別だ。可愛くて可愛くて、正直、めちゃめちゃに犯したい。
俺はどれだけこの子に惚れてるんだろうな。
昨日は午前三時のおやつ代わりにしこたま抱いたっていうのに、朝っぱらから勃ち上がっちゃって、まあ。
まだまだ『優しい鏑木くん』でいる必要があるから、こんな物騒なブツは掛け布団で隠しちゃおう。
…………咄嗟に昨日とか言っちゃったけど、今日じゃんね。
幸せすぎて浮かれてるのかも、俺。
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