yours-夢の罪過-

片喰 一歌

文字の大きさ
71 / 655
仮初恋人遊戯

仮初恋人遊戯<27>


 猥談を切り上げた俺たちは、ようやくゲームをスタートさせたわけだけど――――。

「ぴええええ!! こっちこないで……! ゾンビ! ノー、ゾンビ!!」

 開始早々、彼女はゾンビを怖がって悲鳴を上げている。こんなに取り乱すことあるんだ。
 
 怖がるふりとか酔っちゃったふりとかするタイプじゃないし、意外だし新鮮……ってだけじゃなくて、カタコトでゾンビを拒絶するさまに、まんまと庇護欲をそそられてしまった。

 人前で抱き着くのは照れ屋さんな性格からして難しそうだけど、隣にいるんだし、正式じゃないとはいえ彼氏なんだし、もっと俺のこと頼ってくれていいのにな。

 元々、そういうリアクションを期待して誘ったんじゃないかって?

 …………さあ、どうでしょう?♡♡

「あー……。このゲームのゾンビ、リアルだし迫力あるよね。数も多いし」

「そう! そうなの……!!」

 俺自身はゾンビ映画を鑑賞しながら飲食出来るタイプだし、そういうのが怖いって感覚には共感してあげられないけど、たぶんそのあたりが怖いんだろうなってことを挙げたら、ものすごい勢いで同意された。

「このゾンビさんたちは、なんで集団で行動してるの!? 小学生の女の子でもないのに!」

 恐怖のあまり独特な怒り方しちゃってるな。でも、なんだかんだ逃げないで立ち向かうところが彼女らしいかも。

「せ…………正々堂々、ひとりずつかかってこーい!!」

 言いたいことはわかるけど、難易度ノーマルでもゾンビがひとりずつしか襲ってこないってなると、たぶんヌルゲーすぎてクレームきちゃうと思うんだよね。
 
 初心者の彼女と経験者の俺で間を取ってノーマルに決めちゃったけど、ほんとのほんとに未経験なんだもんね。イージーにするべきだったかな?

 それはそうとして、何この可愛い子。絶対に俺が守護まもらなきゃ。この役目は他の誰にも譲れないし譲らない。

「ひ……っ! ひとりずつって! お願い! してる言ってる、のにい……!!」

 俺がこっそり決意を固めている間にも、涙目の紗世ちゃんはゾンビをなるべく直視しないようにしながら頑張って倒そうと奮闘中だった。
 
 こういうところでも頑張り屋さんなの、好感度高いなあ♡♡ 

 …………って、いけないいけない。和んでる場合じゃなかった。

 彼女のショットは全部スカ……ってわけじゃないけど、当たっても手足の末端部(たまにまぐれで心臓とかにも当たってる。筋は悪くなさそうなんだけど、ゾンビを直視できないのが致命的)って感じで、どれも有効打とはいえない。
 
 さすがにかわいそうだから……というか、心臓に毛生えてる俺でも好きな子に薄情で変態などうしようもない男だとは思われるのは御免だから、彼女の選んだプレイヤーキャラに襲い掛かってきたゾンビに一発お見舞いしてあげることにした。
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。