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“mellow time”~いつか夢で~
“mellow time”~いつか夢で~<11>
しおりを挟む「そっかあ……。でも、生産には携わってなくても、産地とかブランドとかには一家言ありそうだよね? 『和食は素材が大事!』って力説してたし」
「あ、うん。そこは自信あ…………待てよ。作ってもないのに自信あるって変……というか頭が高いな? 『拘りぬいてる』、でいいのかな。お米とかも食べ比べて気に入ったやつを農家さんから買ってるし。白米だけじゃなくて玄米、雑穀米……。他にもなんかあったかな? とにかく色々選べるよ」
お料理の話題になってからの彼は、特に楽しそうだ。
「白米もね、何種類か常備してて、主菜との兼ね合いでその日炊くやつ決めてるんだ。合う合わないがあるからね」
たまたまお米のブランドによる味の比較表を目にする機会があったけれど、私にはさっぱりだった。
(それもこれも主菜の味付けが強すぎるせい……? 鏑木くんに頼んで、レシピ恵んでもらったほうがいいかもしれないなあ……。いいって言ってもらえたら、お料理風景見せてもらお。名付けるほどでもないけど、『見て盗む作戦』!)
好きな炊き具合がなんとなくあるというだけで、銘柄による味わいの差は正直言ってよくわからない。食感の差はかろうじて判別出来るかもしれないけれど。
「すごいね!? もうお店じゃん……! 知る人ぞ知る名店、『お食事処・鏑木亭』…………!?」
「あっははは♡ 紗世ちゃんが来たときにだけ開く鏑木亭か。……いいかもね?♡ 今日は何にする?♡ 家庭料理ならわりとカバーしてるけど♡♡」
視線が交差する。
「う~……。話してるだけで幸せすぎてお腹膨れてきちゃったから、出来れば今度でお願いしたいかも…………!!」
いつの間にか作ってもらう前提で話が進んでいたので、やんわり断りを入れた。
「OK♡ また今度ね! ……でも、もうすぐお昼時なんだよなあ。どうする? 外で食べて帰ってもいいし、まだお腹空いてなかったら出前とかにしちゃおっか?」
「今日は思いっきりイチャイチャしたいから、ご飯食べてから鏑木くんち行きたいな……♡♡」
「了解♡ 実は紗世ちゃんが『なんでもいい』って言ったら、俺もそう言うつもりだった♡ ここからだと……ちょっと久しぶりのとこ行こっか♡♡」
彼は家に向かうのと別方向にハンドルを切った。
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