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●REC
●REC<23>
しおりを挟む(こんな鏑木くん初めて見たかも♡♡ 興奮してるの?♡♡ 暑いだけ?♡)
汗で張り付いたTシャツには、肩甲骨がくっきり浮かび上がっている。
(男の人の後ろ姿♡♡ ほんとかっこいい……♡♡ 鏑木くんって細いように見えて肩幅あるんだ♡ ゲーマーのくせに姿勢いいのは知ってた……♡ だから、後ろ姿でイケメンバレしちゃうんだよね♡♡)
少々失礼な感想を持たれているとは知らない映像の中の彼は、片手でぱたぱたと顔を扇ぎ、そのあと寝ている私にも同じようにして風を送ってくれた。
「あっつ……♡♡ 紗世ちゃんは平気?♡」
(やっぱり優しい♡♡ 言葉は強いけど、行動はいっつも優しいもんね♡ 誰も見てないとこでもみんなの前とおんなじなんだ♡♡ もっと好きになっちゃうよ…………♡ このときは冷房きかせてなかったのかなあ。――もしかして、私が風邪引かないようにっていう配慮?♡♡ ……やっぱり好きだなあ。こんなことされてるのに……)
「…………平気か♡♡ 意識は夢の世界だし、素っ裸だもんね?♡」
豪快に汗を拭う仕草もさることながら、額の汗を拭った際、一瞬だけ除いた瞳に心臓を鷲掴みにされてしまった。
(獲物を見る目みたい♡ 鏑木くん、そんな顔もするんだ……♡♡)
胸焼けがしそうなほど甘い恋心ではなく、つられてお腹の奥が反応してしまいそうな下心でもなく、映像の中の彼はあまり感情の宿らない鋭い目つきで私の寝顔を観察していた。
あるいは値踏みしていたのかもしれないし、最適な調理法について思考を巡らせていたのかもしれない。
「…………俺も全部脱いじゃうか。うん、そうしよう。片方だけずっと服着たままってのも、なんか不公平だしな」
(ええっ!? 何、その基準!?? それ言うなら、私が寝たまま犯しちゃうのはもっと不公平じゃない!? ……でも、鏑木くんには常識が通用しないところあるしなあ……)
しかし、さすがは彼と言うべきか。突っ込みどころ満載の独り言が響いて、思わず声を上げてしまいそうになった。
「…………紗世ちゃん、ごめんね。すぐ済むから、ちょっとだけ待っててくれるかな……♡」
映像の中の彼は長い腕を交差させ、Tシャツをがばっと脱いだ。
(細身な印象だったけど――――……♡♡ 細身ではあるけど、筋肉あるんだ♡♡ しかも、ひとつひとつの塊が大きいんじゃなくて、彫像みたいに細かい筋肉がびっしり……♡♡ 鏑木くんって、『インドアですよ』みたいな顔しておいて、実はめちゃめちゃ鍛えてる人?♡ こんなのちょっと鍛えただけじゃつくはずないよね?♡)
彼の身体を覆う筋肉にうっとりと見惚れていると、背後の彼がさらに寄ってきた気がした。
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