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●REC
●REC<52>
しおりを挟む「初耳♡♡ だけど、私、これ好きかも……♡♡ このまま寝ちゃえそう…………♡♡」
谷間をちらっと確認したら、その視線を弾くように彼女は再度身体を倒した。顔はこちらに向いたままだ。
「え~?♡♡ まだ寝ないでほしいなあ♡♡ 楽しい時間はここからなのに♡♡」
先週の映像に熱中しているうちに、日は随分と傾いてきていたらしい。
テレビも消してしまったし、光源の限られた部屋の中だというのに、彼女自身が光を放っているのではと疑ってしまうほど彼女の挙動も表情もよく見える。
「…………というか、よく安心して寝れるね?♡ 自分のこと寝てる間に犯した男の胸で。……俺が言うことでもないと思うけどさ」
「確かに。でも、『前もされたことがあるから』とかじゃなくて、鏑木くんなら寝てる私のことも好きにしていいよ?♡ 今は他にしたいこともあるし、このまま寝ちゃおうなんて思ってないけど、もうちょっとうとうとさせてほしいにゃ…………、な……♡♡」
はらりと落ちてきた髪を掬って戻してやると、彼女は大きな瞳をゆっくり開けた。いつもの半分くらいまでしか開いていない瞳は、高頻度でまばたきを繰り返している。まあ、目の閉じてる時間のほうが圧倒的に長いけど。
(めちゃめちゃ眠そう♡♡ お酒の飲みすぎじゃなくて自然な眠気を催したらこんな感じになるのか♡ 紗世ちゃんってほんとどんな状態でも可愛いな♡♡ 何億光年に一人ってレベルの奇跡だよ、俺にとっては♡)
一瞬、白目剥いたのもきっと見間違いじゃないんだろうな♡♡
彼女が無防備な姿を見せてくれていること以上に、眠気をおして俺との会話を続行してくれていることと、このあとのお楽しみのために頑張って起きていようという意思が感じられることが嬉しくて、ついつい話し掛けてしまう。
「言い直したけど、眠くて呂律回ってないじゃん♡♡ まあ、一気に大量の情報摂取して脳も疲れただろうし、目だって酷使しただろうし、しばらくそこで休んでな♡」
「ありが、と……♡ ふあ、あ…………♡♡」
右手を口元に持っていった彼女は、眠そうな瞳を閉じて長いあくびをした。
「紗世ちゃんがあくびしてるとこ見ちゃった♡♡ なんかちょっと喘いでるみたいでエロかったね♡♡」
「我慢したら変な感じになっちゃったの……♡」
必要以上に反論してこないところから察するに、彼女は本当におねむらしい。
(先週みたいに心労と過労から来る寝不足って感じじゃなくて、安心して眠くなっちゃった感じだな――って、ちっちゃい子どもじゃないんだから♡♡ こんな純真無垢なのにスタイルよくてエッチ大好きとか、属性の過積載にも程がある♡)
愛おしさがとめどなく溢れてくるのは、胸のあたりで余っている生地を掴む手に気付いてしまったからだろうか。
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