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恋人遊戯
恋人遊戯<115>
しおりを挟む<紗世side>
(千尋くん…………♡♡ ずっと我慢してたみたい♡ 今までのキスは『欲しい』って感じだったけど、今してるキスは『寄越せ』って感じ♡)
口内を這い回る舌が、彼を刻印していく。唾液とともに吸われていくのは、かつて私と頻繁に枕を交わしていた男たちの記憶かもしれない。今、ものすごいスピードで書き換わっている。――刺激するポイントやキスの流れ、唾液の味に至るまで。
(……あげるよ、千尋くんに私を全部♡♡ だから、私にも千尋くんの全部をちょうだい♡♡)
すべてを忘れさせられてしまいそうなキスから解放され、徐々に視界が戻ってくる。
「まあ、これ以上引っ張る理由もないよなあ……♡♡ うん♡ ここらで今日のメインイベント行っちゃおっか♡ でもお待ちかねのとこ悪いけど、ちょっと待っててもらえる……?♡♡」
彼は自身の口を手首のあたりで強引に拭い、小さな袋の中身を片側に寄せて開封するところだった。
「なるべく急ぐけど、慌てて破いちゃったらいけないからさ」
そこまで慎重にしてくれているのはゴムに傷を付けないためだと思うと、いっそう惚れ直した。
(着けてするの久しぶり♡♡ ……あれ?♡ でも、確かあの映像でも挿れる前にしてくれてたような……)
しかし、彼が避妊具を装着するところを私はすでに目撃していたはずだ。目撃したのは先ほどだけれど、行為自体は先週のもので――――。
(忘れてるフリする男も多いのに、千尋くんはそういうとこもちゃんとしてくれて――♡♡)
急がなくて大丈夫だと伝えるように彼の脚をさすった。本当は直接伝えたかったけれど、舌と表情筋が甘い痺れで誤作動を起こしそうだったから。
「『大丈夫』ってこと?♡ ありがと♡ 紗世ちゃんの触り方、気持ちいいよね♡♡ どこ触ってもらってもイイ♡ 着けてる最中に大きくなるとか初体験♡♡」
好奇心に負け、彼の視線を辿ってしまった。――見てしまったら抑えがきかなくなるだろうから、我慢していたのに。
<千尋side>
(あれだけ抱かれたがってたうえにえぐい角度でテンション上がってた紗世ちゃんがちんぽのほう見ようとしないのは不自然だと思ってたけど、やっと見てくれたね♡♡ 『わあ♡ おっきい♡♡』とか言ってくれないかな?♡)
「ほんとについてるんだ♡♡」
しかし、彼女は使い古しの常套句を避け、あまり聞かない感想を漏らした。一応、感嘆の声ではあったけど、思っていたのとはまるで違う。
「…………ん? 『つけてる』じゃなくて『ついてる』?」
避妊具が装着されていることを指して言ったのかと思ったけど別に蕩けるような声で言うことではないし、彼女は何か別のことについて言っているのだろうか。
(ナマだったらわかるけど。紗世ちゃん好きそうじゃん。……いや、これも俺のイメージで、実際どうかはさっぱりだけど)
「え? ……あ、今の口に出ちゃってた?」
彼女は小さいおててで口を覆った。そのリアクション、どういうことか詳しく説明してもらっていいかなあ♡
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