yours-夢の罪過-

片喰 一歌

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恋人遊戯

恋人遊戯<121>

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「…………ごめん。言っていい? ――じゃあ、その時点でわかれよ♡」

 口調こそいつもの彼と同じだったけれど、つっけんどんな感じではなく外国土産で適当に見繕ってきたチョコレートのごとくざらついた舌触りのとびきり甘い声で囁かれてしまい、手持ちの語彙カードでは表現出来つくれない感情やくに直面した。

(千尋くんってこんなにかっこよかったっけ?♡♡ ……私、今からこんなかっこいい人としちゃうの?♡)
 
 押し倒されて身動きの取れない状態でさえなければ、虫嫌いの人間に殺虫スプレーを大量に吹き付けられてのたうち回る無様な害虫のような醜態すがたを晒していたことだろう。

「私も思ったけど……♡ 見たかったんだもん、千尋くんの立派なおちんちん♡♡」

「…………がっつり映してはなかったけど、映り込んではいたよな?」

「映像でも見えてたけど、もっとちゃんと見たかったし――……♡♡ 見るだけじゃなくて触りたかったし、挿れてほしかったし♡♡」

 今しがた発した台詞の信憑性を少しでも高めるべく、すらっと伸びた脚に自分の脚をそーっと巻き付けた。


 (千尋くんの脚好きだなあ♡♡ 見てるだけでも満足感高いけど、触るともっと……♡♡)

「何にやにやしてるの?♡♡ 『顔に似合わないサイズであればあるほどいい』って?♡♡ 紗世ちゃんがここまで救いようのないスケベ女だなんて初めて知ったよ♡ ――それで?♡♡ 俺のちんぽはご期待に添えそう?♡」

 ちょっとした悪戯を受けた彼は声を弾ませた。この調子で息も弾ませてもらいたいところだ。

「うん♡ 私が好きなとこ全部気持ちよくしてくれそう……♡♡」

 本当は彼の性器ではなく脚にときめいていたのだけど、いい気分に水を差すこともない。迷わず肯定した。

「あはは♡ そうだといいね♡♡ …………ああ、もうコレ以外見えてなかったりする?♡♡」

 すると、彼は性器同士をぴったりくっつけ、彼自身に割れ目の上を移動させた。
 
「ぁ……っ♡♡」

「いい声♡ 俺、元々紗世ちゃんの声可愛くて大好きなんだけど、ベッドの上だともっと可愛い声になっちゃうんだね♡♡ 今日はたくさん啼いてくれるといいなあ♡♡」

 不意打ちを食らって声を上げてしまうと、にやついた彼が同じ動きを繰り返し、追い打ちをかけてきた。

「ん……♡♡ 私がたくさん声出しちゃうかどうかは…………、千尋くんの腕次第……じゃない?♡」

 足指で通気性のいいスウェット生地を撫でた。誘惑にしては控えめすぎただろうか。

(もう!! 私の馬鹿……!! 『たくさん啼いてあげるから、ちゃんと聴いててね?♡♡』とか言えたら、もっと可愛いと思ってもらえたかもしれないのに……!)

「あはははは! 言うねえ、紗世ちゃん♡♡ …………声出なくなるまで啼いてもらうから、覚悟は今のうちに済ませておきなね?♡」

 彼にしては優しい口調がかえって不安を刺激した。しかし、不安以上に大いに高まったのは期待と興奮だった。
 
(私、これからどうなっちゃうんだろう……♡♡)

 ぞくぞくして鳥肌が立ってしまいそうなのをなんとか抑えようと、身を固くした。
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