yours-夢の罪過-

片喰 一歌

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恋人遊戯

恋人遊戯<171>

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(……まあ、紗世ちゃんの気持ちもわかる。毎晩何発かヤったとして、ごく低確率で装着とか開封に失敗してダメになっちゃったのがあったとして、何ヶ月先になるのって感じだもんな。でも、紗世ちゃんが心配してるみたいなことにはならないよ。『ストックが全部切れるまで』とは言ったけど、そんな悠長に待てる男じゃないのは先週嫌ってほど思い知った。どうせ免疫ついたらそれっぽい理屈並べてその気にさせて俺のほうから誘うんだよ。……そういう狡い奴だもん、俺は)

 考えがひとしきりまとまったところで彼女の様子を窺ったが――――。
 
(なんか…………なんだ? 心ここにあらずというか、ぽかんとしてる? 言いたいこと言うだけ言って、しかも中身がぐっちゃぐちゃだったもんな……。そりゃこうなるか)
 
 反省を胸に、喉をリラックスさせてえ柔らかい声を作り出す。間違っても猫撫で声を出さないように、細心の注意を払いながら。

「そういうわけだからさ、紗世ちゃんには俺が万全の状態で幸せな瞬間を迎える準備が整うまで待っててほしいなって思ってるんだけど――ダメ?♡♡」

「ううん♡♡ そんなに大切に考えてくれてるなんて思ってなくて、変な拗ね方しちゃってごめんね……。こういうのは気持ちが大事だし、私だって妄想は得意だもん♡ 着けてないつもりですることにする♡ ……だから、『ん?』って思うようなこと言ったりするかもだけど、千尋くんは気にしないでそのまま続けてね♡♡」

 問いに対する答えは少々謎かけめいていた。

(『ん?』って思うようなこと……ってなんだ? 『中に出して♡♡』的なやつ?♡)

 しかし、浮かんだ期待はあえて確定させずそのまま浮かべておくことにして、小さく一回頷いた。

「…………千尋くん?♡♡ 私が一番寂しいなあって思ってるとこ、埋めてくれないの…………?♡」

 そのあとは視線で語らっていたが、しばらくしてから彼女がすべすべの脚を擦り合わせて再開を希望してきた。――そういえば、もう片方の手を繋ぐのも忘れていたが、そちらはもういいのだろうか。

「……ああ、ごめんごめん♡♡ でも、その前にさせてね?♡」
 
 またも疑問を宙に浮かべた俺は、偶然空いていたほうの手を脇腹に添えた。
 
 確認したかったのはもちろんそんな場所ではない。俺を受け入れてくれる部分だ――が、そこだけを突然触るのもなんとなくマナー違反な気がして、脇腹からするすると指を滑らせていく。何も纏っていない状態ならもっとスムーズにクルージングを終えられたとは思うが、生地の引っ掛かりもかえって面白い。

「ぁあ……っ♡♡」

 くちゅ……という音がしたのと、ため息交じりの嬌声が聞こえたのと、どちらが先だっただろう。
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