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恋人遊戯
恋人遊戯<187>
しおりを挟む(必死じゃん♡ わざわざ言い直したりして――……♡♡ 紗世ちゃんがこんなに俺を欲しがってくれるなんて、都合よすぎてまだ夢の中にいるみたい♡ こんな夢見たことないけど♡ 夢より現実のほうが幸せとか――♡♡ 今の俺って全世界で一番幸せな男かも♡♡ 紗世ちゃんのことも世界で一番幸せな女の子にしてあげたいな……♡♡ 泣かせる寸前まで焦らしといて何って感じだけど♡)
「…………ねえ、言ってくれなきゃわかんないよ……」
俺からすれば小さな小さな手が握られて、小さな貝のようにぷっくりした爪が背中に当たった。
「ごめんね。俺も頭おかしくなりそうなくらいシたいけど、食べ頃になったなと思ったら食べてあげるから、もうちょっとだけいい子にしてて?♡♡」
「…………じゃあ、お料理で言ったら? 今ってどんな感じ? どのくらい進んでる?」
「今? えっとねえ……♡♡ 煮込み料理で、お肉が柔らかくなるのと美味しい味がスープに溶け出すのを待ってる感じ♡」
「『放置プレイ』ってこと……?♡」
「うーん……。放っておいても大丈夫な料理もないことはないけど、俺が作るのはそばで見ててあげないといけないのが多いかな。単純に火の元に注意してないと火事が怖いっていうのもあるし、様子見て火加減もこまめに調節したいし。鍋の底が焦げ付かないように何分かに一回は必ず掻き混ぜてあげないと。……全部大事っちゃ大事だけど、どれかひとつ選ぶって話なら最後に言ったのが一番大事かな?」
趣向を変えた質問に驚きつつも、どうにか答えることが出来た。彼女は俺の性格の悪さをようやく理解したのか、はたまた期待することをやめたのか、感情の読めない顔で考えている。
(…………冷静になってみると変だな? なんでベッドの上でお料理講座開いてるんだろうな、俺? まあ、紗世ちゃんから振られた話だからいいし答えるけど)
「そうなんだ……?♡ 私も焦れったすぎて焦げちゃいそうなんだけど……♡♡」
少し意識を逸らしている間に彼女は汗を浮かべており、顔全体を紅潮させていた。
(俺より暑そう……。なんで――――って、そうか。俺が邪魔でクーラーの恩恵受けられなくなってるのか。……でも、『どいて』って言ってこないってことは『このままでいたい』ってことだよな?♡♡ ……いや、それも違うな。このままじゃ嫌なんだ。紗世ちゃんが望んでるのは――――♡)
しかし、彼女が暑さを訴えてくることはなく、先ほどの答えになぞらえたフレーズで今より先の行為へと誘いかけてくる。
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