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参の章1590年 暗殺

参の参

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伊達政宗は母、保春院が料理をするため離れた間、書院に戻り執務をこなしていた。

「殿、失礼致します」

「ん?羽黒いかがした?」

黒脛巾組で政宗の警護に当たっているくの一の一人が政宗のいる書院に入る。

「大変申し上げにくい事に御座いますが、保春院様、小次郎様、殿の暗殺を企てております」

書き物をしていた政宗の手が止まり、羽黒を睨み付ける。

「それは誠か?偽りならばその方の首だけでは済まぬぞ」

「保春院様、御側衆のお茶子が殿の椀に薬を仕組むのをこの目で」

「お茶子か、最上の忍び義光の差し金か」

そう言って握っていた筆を両手でへし折り襖へと投げつけ怒りをあらわにする政宗。

「いかが致しましょう?」

「成実と小十郎を登城させ控えさせよ、それと鬼庭綱元には手勢を率いて米沢城に入城し愛と猫を守るよう命じよ、羽黒と鳴子は私の御側衆として、夕食(ゆうげ)の時に控えよ」

「では、その時に殺すのですか?」

「それは相手のでかたしだい」

そう言って、政宗は太刀を抜き刀の状態を確認していた。

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