4 / 88
第一章 過労死から始まる異世界生活

二者択一

しおりを挟む
「ちょっと待ってね、今、浄瑠璃鏡で確認するから」

と、言って着物の胸元から出したのは林檎マークの入ったタブレットだった。
天界もデジタル化ですか、浄瑠璃鏡はアプリですか?
凄いね、あの世がこの世の品を使う?霊界のイメージとあまりにも違うのですが霊界も日々進化しますか?
AIとも言っていたし、天界は現世と連動するのでしょうか?


「あっ、これ?開発者が最近こちらの世界に来たので彼は、天界技術開発部に配属されたのよ。例外的になんだけど。だから、神の一人に加わったと言って良いわね。その神がタブレットを開発してくれたのよ」

・・・・・・いろいろ聞きたいところだけど、そこは触れない方が良いだろう。

「えっと、久慈政宗42歳、後厄年に死亡ね、多いのよね~この年代は体調も心もバランスを崩しやすいから注意が必要な年代なのよ、注意しないとね。あっ!政宗ちゃんは死んだから関係ないか」

ケラケラ笑うその笑顔が痛いです。

「死因はっと、駅のホームで倒れて救急車で運ばれて三日後に死亡。ストレス性高血圧による、多臓器出血、直接的死因くも膜下出血ね。あっ、下血も大量にしているわね。これはかなり稀なな死に方よ」

親父と同じ病気で死亡か、75歳の母ちゃん泣いただろうなぁ、先に死んでしまって、ごめんなさい。


てか、くも膜下出血に下血の組み合わせって何なんだよ。

俺の血管ボロボロだったという訳なのか?

まぁ、予想していた死にかたじゃなくて良かったかも。

「自殺ではなかったんだ」

安心して思わず声に出していた。

「あ~なるほど、それを心配していたのね、大丈夫よ、まぁ~仮に自殺だったとしても地獄に落ちるわけではないから」

ん?地獄に落ちない?自殺は地獄に落ちると言う価値観で育ったのだがと、首をかしげると閻魔ちゃんが続けて話し出す。

「自殺の多くはね、心身が疲弊しきって病気の時にする行為なの、所謂、心身耗弱ね、心身耗弱時の犯罪は日本では無罪でしょ?それと一緒なのよ。悩み苦しみ抜いて自分を捨てる行為に誰が罰を与えられますか?まぁ~地獄その物が無いから行きようがないのだけれど、だからと言ってペナルティーがないわけではないの、選択肢がなく強制的に元の世界に転生するの、もっと過酷な環境でね」

地獄がない?あれ?もっと過酷な環境?戦場とか?

「・・・・・・閻魔ちゃん、地獄無いんですか?え?では、悪人が死んだらどうなるんですか?」

閻魔ちゃんの視線が浄瑠璃鏡と呼んでいるタブレットから俺へと向けられる。

「悪人と言うか悪行をした者は、ミジンコとかアメーバ、プランクトンみたいな生物に転生して一からやり直しよ」

「え?では、輪廻転生を繰り返して最終的に人間になるんですか?」

「そうよ、正解!まぁ~たまに脱落者が出て永遠の混沌の闇の何もない、無の世界に行ってしまうのだけどね」

「それが地獄では?」

「まぁ~そうかも知れないわね。ふふふっ、で、政宗ちゃんはどっちにする?異世界で新生活と、現世地球への輪廻転生、浄瑠璃鏡で見る限り私は異世界をお薦めするわ」

急になんか選択が始まった~二者択一に天国の言葉を聞きたかったがなかった。
異世界と現世の地球の選択肢には困る。

なんと答えて良いのやら悩むしかない。

しばらく沈黙が続くと浄瑠璃鏡を見ていた閻魔ちゃんが話し始める。

「天国や極楽浄土の選択肢を期待していたと思うのだけど残念、魂はリサイクルなのよ、だから、天国や極楽浄土はないの、だって死者が、みんなその世界に行ったらどんだけの広さが必要なのよ?維持費大変でしょ?」 

確かに、毎年何億人と死ぬ魂のほとんどが天国、極楽浄土に送られたら無限大の広さが必要、さらに天国と言えば働かなくても良いイメージがあるから世話人が必要なのではないのか?維持費としたら莫大になる、となるとやはり輪廻転生のが現実的なのか?

「現世地球に転生だと一般的な輪廻転生のイメージで、よろしいのでしょうか?」

「そうね、説明不足でした。現世地球への転生は魂がクリーニングされ記憶や経験値が全てリセットされ、赤ん坊からやり直しよ、だから、一般的に認知されている輪廻転生ね、で、異世界の場合は魂のクリーニングはされず、記憶や経験値を持ったまま必要性が高い異世界に転生されます」

「必要性が高い異世界?」

「はい、大概は悪魔の力と戦っている世界です、悪魔は魂を食らいますからバランスが崩れるのよ。その為、赤ん坊は避けなければならなく、また、悪魔と戦うための戦力としてチートスキルが付与されます、それと肉体は若々しい体です、だから、異世界のほうがメリットあるわよ」

チートスキルってライトノベルやゲームやアニメの話じゃないか、それを手に俺が戦うって、でも、もうあんな仕事地獄は嫌だ、会社に人生をつぎ込むような人生を私は二度と送りたくない、必ずしも日本に輪廻転生とならなくても人間と言う同じ生物間での醜い争いを続ける地球は嫌だ、となると選択は異世界しかないのか、めまぐるしく頭の中で情報を整理して考える、もちろん現世地球と言うか日本に未練がない訳ではないが、その選択肢を選びたくないほど辛い人生を送ってきた。だからこそ今、出す答えは、

「異世界でお願いします」

そう俺が言葉を口にするとニヤリとする美少女閻魔ちゃんの顔が恐かった。

「ご注文承りました~~~」

間違った選択をしてしまったか?ミスったか?取り消しは可能なんだろうか?

「最近の地球は娯楽に溢れてるからみんな地球への転生を希望するのよ、 誰だって悪魔なんかと戦いたくないものね、注文は取り消しは出来ないからね」

「クーリングオフはなし?」

「なしです。ふふふっ」

仕事地獄と戦うのも悪魔と戦うのも対して変わらないと思うし、悪魔がいる異世界に行こうが戦いに参戦せずに、のんびり異世界ライフを楽しめるようにすれば良いだけではないのだろうか?あれ?もしかして今、フラッグ立っててしまったかな?

「では、異世界に転生するにあたって三つのチートスキルもしくは武具・装備が選べます」

話が早いな、次の死者が待っているのだろうか?答えをキャンセルされたくはないのか?させないように急かしているのか?悪徳セールスマン?
ただ、閻魔ちゃんの仕事が早く終わるようには協力はしたいが、ゲームをしない俺としてはチートスキルと言われても悩むしかなかった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について

あかね
恋愛
いつも推しは不遇で、現在の推しの死亡フラグを年末の雑誌で立てられたので、新年に神社で推しの幸せをお願いしたら、翌日異世界に飛ばされた話。無事、推しとは会えましたが、同居とか無理じゃないですか。

処理中です...