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第八章 仲間と異世界生活

シューリーとミーラ2

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「よ!ペチャパイ」

「入りなさいよ、ドアの前でペチャパイ、ペチャパイと叫ぶなんて下品なことはやめてよね」

一度しか言ってないからね。

ドアがゆっくりと開く。
シュルリー王女の部屋。
女の子の匂いがする、甘い甘い良い匂い。
イチゴのハウスにでもイチゴ狩りにでも来たかのような匂いに包まれた。
壁もイチゴの絵で埋め尽くされていた。
イチゴの星出身ですか?
中に入ると、これまたイチゴ柄の布地で作られている椅子が四席あった。
あ、マタザも座るのね。
テーブルの上には乾燥したイチゴが瓶に詰められていた。

「ミーラが休んでいた間の事、教えてあげるは。
ミーラが風邪で休んでる間にね、私の身分がバレたのよ。
単純なこと、貴族の跡取り息子がね、城に挨拶に来たのよ。
家督相続願いでね。
そいつが、同期生だったのよ。
そいつ、私をいじめる側の奴だったから、驚きの顔は今でも
覚えているわ。
青ざめた色どころか紫色に変色していたもの。
そんなことは別に良かったのよ。
城育ちの私が少しおかしな言動だったのでしょうね。
だから、イジメた。そんなことぐらいは子供の私にも
理解できていたわ。
でもね、そいつ、次の日から学校で顔を合わせるなり媚び諂ってきたのよ。
気持ち悪かったわ。
あの、悪魔の微笑みのように無理やり作った笑顔。
そいつさ、みんなに言いふらしたわけよ。
だから、その数日で周りの態度は一変したわ。
イジメる対象から、媚び諂う対象に変わる時の奴らの顔。
見ただけで悪寒が走ったわ。
でもね、私には親友がいたのよ。
入学式の時に私のハンカチを拾ってくれたのがきっかけでね、仲良くなった
ミーラがね。
だから通い続けたわ。
そして、休んでたあなたは私に、いつものシューリーの愛称じゃなく、
『シュルリー王女陛下、おはようございます』って言ったのよ。
その時の私の絶望感わかるかしら?
ああ、この人も結局一緒なんだわって思ったわ」

そう話が一区切りすると、イチゴのジャムが添えられた紅茶をメイドが運んできた。
ロシア人でしたか?

「シューリー、私、父が宮殿に勤めていたから聞いていたの、
2年になったころに聞かされていたの、でもね、私は気にしなかったわ、
シューリーはシューリーだって思ってね。
でも、休みから出てきたら周りのみんながあなたへの態度を一変に変えてた。
そんな中、私だけ『シューリー』とは呼べなかったのごめんなさい」

口に運んでいたティーカップを床に滑り落とすシュルリー王女。

「知っていたの?王女だって?それでも、あなたは私に新薬の毒見させていたの?」

おいおい、ミラ何やってる。それはアウトだろ。

「毒見って言うか味見でしょ、あれはお茶だったし」

「激マズのね、そっか、知っていたんだ」

言葉でなくなるシュルリー王女とミラ。

「誤解だったんだよ。
ペチャパイ、お前はついつい同じ物差しでミラを図ってしまった。
だけど、図るべき物差しが別だった。
違うか?」

「そうか、私、ミーラの事をほかの人たちと一緒だって思い込んでいたのか・・・・・・
ごめん」

「私こそ、その、ごめんなさい、あの一言がシューリーを傷つけていたなんて」

手を握りしめる二人。
いいねぇ~青春だね~、おじさんちょっと感動しちゃうよ。

「政宗、一緒に入るわよ」

「はい?」

「だから~一緒にお風呂入るわよ」

なぜそうなる?





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