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第30話 落ち着かない自宅です。

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 広い広い家。

この家に住むのは俺と、アリエッタと、ハイトンだけだった。

アリエッタが作ってくれた料理は、西洋風の料理。

それを純和風の部屋でお膳で食べるという和洋折衷。

屋敷には、五右衛門風呂があり体を温めることが出来た。

そして、驚くことにトイレは平成時代の最新式によく似ている。

近づけば蓋が開く。

座れば便座が温かく、音消しの音楽も自動演奏。

洗浄機能は、・・・・・・説明はやめておこう。

ではなく、ウォータースライムナメナメ洗浄機能付き

これは狂気の産物だ。

これを『妄想の具現化』で作り上げるとわ凄いな・・・・・・。

まっ、俺が作ったらしいけど。

夕飯を食べ、風呂に入り敷かれた布団で横になる。

静かだ。

なんの音も聞こえない。

眠りにつくのには良い。

・・・・・・。

と、眠り夜中に目が覚めた。

オシッコをするために廊下に出ると、明かりはなく暗い。

暗い暗い廊下・・・・・・。

慣れない屋敷。

自宅のはずだが記憶がない俺にとっては初めての場所と一緒。

暗い廊下に不安を感じながら進む。

キュッ、キュッ、キュッ

となるうぐいす張りの廊下。

はっきり言おう、まるでお化け屋敷のようだ。

トイレまで行くのが怖く、木戸を開け外でしようとしたら、

ケロロンが俺にすぐ気がついて、目の前まで走ってきて尻尾を振っていた。

うっ、外に出来ないじゃん。

ケロロンの頭を撫でそっと閉める。

くっ、トイレまで行かないと駄目か。

キュッ、キュッ、キュッ

 キュッ、キュッ、キュッ

ん?足音ステレオに鳴っている?

キュッ、キュッ、キュッ

 キュッ、キュッ、キュッ

・・・・・・膀胱貯水率85パーセント

早く放流しなくてわ。

廊下のつきあたりにあるトイレ。

「ぬわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ」

「どうしました?師匠?」

廊下の突き当たりの角にいたのはハイトンだった。

「ハイトンかビックリさせるなよ。危うく決壊してしまうところだった」

と、トイレに入りオシッコを出し、戸を開けるとハイトンが立っていた。

「師匠、間に合いました?」

「うん」

と、言うが実は少しちびった。

「百戦錬磨の師匠が記憶をなくすと暗闇が怖い普通の人になるんですね」

と、言ったあと

「部屋まで付いて行ってあげましょうか?」

と、言う。

なんか、悔しいので断り暗闇の廊下を一人戻った。

「記憶なくす前の俺、廊下に電球くらい付けろよな(怒)」

と、一人言を呟いて眠りに戻った。
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