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第47話 選ばれる勇気──龍之介、覚悟を問われる日
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「誰かを選ぶってことは、
誰かを“選ばない”ってことなんだよな……」
夜の自室。
机の上には白い封筒。
文部科学省、皇族進路指導課からの正式文書。
提出期限は、あと三週間。
「“将来の婚姻に関する意向”…か。
そんなもん、選べるかよ……」
拳を握りしめた。
今までは“選ばれる”ことばかり見てきた。
ヒロインたちの努力、涙、笑顔、そして本気の告白。
「なのに、俺だけ……ずっと、“逃げてた”のかもしれないな」
*
翌朝。
登校中のTX(つくばエクスプレス)の車内。
窓に映る自分の顔は、やけに大人びて見えた。
“皇族”という身分。
“普通”を望んだ高校生活。
だけど、気づけば俺は、誰よりも多くの“愛情”を受けていた。
アリエルの純粋な視線。
夜月の不器用な優しさ。
天照の静かな決意。
レイナの涙。
ユヅリハの強がり。
「……全部、本物だった」
そして――
それに“応える覚悟”を持っていなかったのは、俺だけだった。
*
放課後。
誰もいない教室。
俺は、ノートに何かを書き始めていた。
To:夜月
「お前と一緒にいる時間は、気づけば一番長かった。
でも俺は、“当たり前”になりすぎてて、お前の想いに甘えてたかもしれない。
ちゃんと、向き合いたい」
To:レイナ
「お前の“記録”の中で、俺はどんなふうに見えてた?
でも俺が本当に見たいのは、“記録じゃないお前の本音”だ」
To:天照
「君の信仰と想いがぶつかり合う中で、
俺のことを選んでくれた、その勇気に……ありがとうって、伝えたい」
To:ユヅリハ
「“妹だから”なんて言わせない。
お前が俺の名前を呼ぶたびに、俺は何度も心が揺れた」
To:アリエル
「もう、“観測者”じゃないお前の言葉が、
俺の心に一番届いてた気がする。記録じゃなく、記憶として」
全員に“想い”を伝える。
そのうえで、俺は――ちゃんと選ぶ。
誰かの涙を、誰かの覚悟を、誰かの笑顔を――
“全部受け止めたうえで”選ぶことが、
今の俺にできる、唯一の誠意だと思った。
「よし……まずは、全員と“個別で話す”。
正面から、自分の言葉で──答えを出す」
もう、“選ばれる側”には戻らない。
これからは、“選ぶ側”として、歩いていく。
それが、“本気の恋”に向き合う勇気だ。
(つづく)
誰かを“選ばない”ってことなんだよな……」
夜の自室。
机の上には白い封筒。
文部科学省、皇族進路指導課からの正式文書。
提出期限は、あと三週間。
「“将来の婚姻に関する意向”…か。
そんなもん、選べるかよ……」
拳を握りしめた。
今までは“選ばれる”ことばかり見てきた。
ヒロインたちの努力、涙、笑顔、そして本気の告白。
「なのに、俺だけ……ずっと、“逃げてた”のかもしれないな」
*
翌朝。
登校中のTX(つくばエクスプレス)の車内。
窓に映る自分の顔は、やけに大人びて見えた。
“皇族”という身分。
“普通”を望んだ高校生活。
だけど、気づけば俺は、誰よりも多くの“愛情”を受けていた。
アリエルの純粋な視線。
夜月の不器用な優しさ。
天照の静かな決意。
レイナの涙。
ユヅリハの強がり。
「……全部、本物だった」
そして――
それに“応える覚悟”を持っていなかったのは、俺だけだった。
*
放課後。
誰もいない教室。
俺は、ノートに何かを書き始めていた。
To:夜月
「お前と一緒にいる時間は、気づけば一番長かった。
でも俺は、“当たり前”になりすぎてて、お前の想いに甘えてたかもしれない。
ちゃんと、向き合いたい」
To:レイナ
「お前の“記録”の中で、俺はどんなふうに見えてた?
でも俺が本当に見たいのは、“記録じゃないお前の本音”だ」
To:天照
「君の信仰と想いがぶつかり合う中で、
俺のことを選んでくれた、その勇気に……ありがとうって、伝えたい」
To:ユヅリハ
「“妹だから”なんて言わせない。
お前が俺の名前を呼ぶたびに、俺は何度も心が揺れた」
To:アリエル
「もう、“観測者”じゃないお前の言葉が、
俺の心に一番届いてた気がする。記録じゃなく、記憶として」
全員に“想い”を伝える。
そのうえで、俺は――ちゃんと選ぶ。
誰かの涙を、誰かの覚悟を、誰かの笑顔を――
“全部受け止めたうえで”選ぶことが、
今の俺にできる、唯一の誠意だと思った。
「よし……まずは、全員と“個別で話す”。
正面から、自分の言葉で──答えを出す」
もう、“選ばれる側”には戻らない。
これからは、“選ぶ側”として、歩いていく。
それが、“本気の恋”に向き合う勇気だ。
(つづく)
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